インド

略奪の帝国インド思想と文化、歴史

W・ダルリンプル『略奪の帝国 東インド会社の興亡』~現代への警告!大国インドはなぜイギリスの植民地になってしまったのか

この本では巨像インドがイギリスの東インド会社に支配されていく流れを詳しく見ていく作品です。

この本はあまりに衝撃的です。読んでいて恐怖すら感じました。圧倒的な繁栄を誇っていたムガル帝国がなぜこうもあっさりとイギリスの貿易会社に屈することになってしまったのか。この本で語られることは現代日本に生きる私たちにも全く無関係ではありません。この本はまさに私達現代人への警告の書とも言えるでしょう。
私はこの本を読んでつくづく今の日本が怖くなりました。

インド独立史インド思想と文化、歴史

森本達雄『インド独立史』~イギリス植民地支配の歴史とガンディーの戦いを知れる名著!

この本を読むと、日本が明治時代に植民地にならなかったという事実に改めて驚くしかありません。もし植民地になっていたら・・・とぞっとします。そして同時にインドの歴史を見たことで、翻って日本はなぜそうならずに済んだのかということを考えることにもなりました。そして今の日本はどうなのか、これから私たちはどうするべきなのかということも・・・

この本はたしかに重いです。ですがとても大切なことを学ぶことができる名著中の名著です。苦しくとも学ぶべきことがあります。

多重都市デリーインド思想と文化、歴史

荒松雄『多重都市デリー』~イスラームの街としてのデリーやかつての牧歌的な雰囲気を知るのにおすすめ!

この本ではかつてのデリーと90年頃のインドの変化を知ることができます。著者が「毎日通った新宿駅界隈の変化ですら思い起こすのは容易ではない」と述べていたのは印象的でした。たしかにそうですよね。私の住む函館ですら40年前とは全く違う姿になっていると思います。そこにインドの大都市デリーです。その変化たるやものすごいものがあることでしょう。

この本ではそんなデリーの変化を写真つきで見ていくことができます。著者の実体験と絡めて語られるデリーの姿はものすごく刺激的です。旅行記でもあり生活体験記でもある本書です。これは面白いです。

インド・カレー紀行インド思想と文化、歴史

辛島昇『インド・カレー紀行』~カレーとはそもそも何か?奥深いインド文化も知れるおすすめ作品!

「私が本書で展開しているのは、カレーとして理解されるインド料理を素材とした、インド文化についての「文化論」なのである」

この本の素晴らしい点はインドのカレーという私たちにとって親しみやすいテーマからインドの歴史や文化も学べるところにあります。

「へ~!インドのカレーってそういうことだったんだ!」という発見からインドそのものの文化や歴史に自然と繋がっていく流れはお見事としか言いようがないです。これは面白い!

写真も豊富でインド料理やその原料となるスパイスなども具体的にイメージすることができるのもありがたいです。

インド人とのつきあい方インド思想と文化、歴史

清好延『インド人とのつきあい方―インドの常識とビジネスの奥義』~謎の国インドと日本人との違いを知れるおすすめ本!

この本は私たちにとって「謎」としか言いようのないインド人とはどのような人たちなのかを知ることができる作品です。

インド人というと私たちにとっては様々なステレオタイプがあると思います。ターバンやカレー、歌やダンス、頭の良さ、インドのカオスなどなど、どれをとっても何かしら強烈なイメージがあるのではないでしょうか。

そんな強烈なイメージのインド人は一体どのような人たちなのか、それをインドの歴史や生活、文化、ビジネスと絡めて様々な観点から学んでいくのが本書の大筋になります。

モディが変えるインドインド思想と文化、歴史

笠井亮平『モディが変えるインド』~現代インドの政治経済、外交を知るのにおすすめ!

この本では複雑なインド社会をモディ首相という人物を軸に見ていくことになります。

モディ首相の簡単な略歴やその人柄、どのようにしてインド屈指の影響力を持つようになったのかがわかりやすく説かれます。

そしてモディ首相の政策やスローガンを通してインドの実態もあぶり出されてきます。モディ首相はインド国民から熱い支持を受けていますが、もちろん全てが順風満帆でうまくいっているわけではありません。インドという大国の隅から隅まで納得させる一律の政策など不可能です。複雑怪奇とすら言える多様性があるインドです。問題は山積みです。ただ、それでもなお国民に期待を抱かせる存在がこのモディ首相なのでした。

現代インドの政治経済、外交の概要を知る入門書としてこの本は非常に優れていると思います。

インドの正体インド思想と文化、歴史

藤本欣也『インドの正体―好調な発展に潜む危険』~写真も豊富!2006年段階のインドを広く学べるおすすめ本

この本では2006年当時のインド社会を知ることができます。2023年となった今、インドは中国を凌駕する勢いで成長し続ける巨象です。この本はそのインドの2006年当時はどのような状況だったのかを知れる非常に興味深い作品です。

この本では「社会、文化、ビジネス」と様々な視点からインドを見ていきます。写真も豊富ですので非常に読みやすく、現地の状況もイメージしやすいです。また、格差の問題はインドに限った問題ではありませんが、カースト問題が今なお残るインドならではの問題もこの本では知ることができます。

現代インドについて知りたいという方に非常におすすめな作品です。

歴史のなかのカーストインド思想と文化、歴史

藤井毅『歴史の中のカースト 近代インドの〈自画像〉』~カーストはイギリスの植民地政策によって固定化された?

インドにおけるカースト制はとにかく複雑です。

古代インドにもカースト制はありました。ですが、そのインド土着のカースト制を一変させ、より強固なものに変えてしまったのがイギリス植民地政策だったのでした。そしてさらに難しいことに、イギリス植民地統治を生き抜くために自分たちのカーストを利用したという、インド人側からの働きかけもあったことをこの本では知ることになります。

イギリスをはじめとした西欧諸国と現地のインド人、その双方向の作用があって現在のカーストに繋がっている、そのことを詳しく見ていけるこの本はとても貴重です。

著者はインドのカースト制度は単純化されて語られがちであるということを本書で指摘していました。この本ではなぜそうした単純化したカースト制が語られてしまうのかを歴史的な背景から解き明かしてくれます。

インド残酷物語インド思想と文化、歴史

池亀彩『インド残酷物語 世界一たくましい民』~カースト制度の根深い闇。大国インドの現在を学ぶのにおすすめの一冊!

この本は現代インドにおけるカースト制について語られる作品です。この本は著者の現地での調査に基づいた貴重な記録です。机の上で文献を読むだけでは知りえない、リアルな生活がそこにはあります。

この本を読んで、カースト差別が現在でもこれほど強力に残っているのかということに驚いたのはもちろん、「実際にどんな差別を受け、どんな恐怖、屈辱に生きていかなければならないか」を知り、私はそれこそ恐れおののいてしまったのでした。

圧倒的な成長を見せるインドの影をこの本では知ることになります。この本を読めばインドという強烈な存在を通して私たちの生きる日本についても考えることになることでしょう。

原始仏教の思想インドにおける仏教

中村元選集第15,16巻『原始仏教の思想Ⅰ、Ⅱ』~最初期の仏教を思想面で見ていく参考書

今作の分量はなんと二冊合わせておよそ1800ページという驚異の大ボリュームです。

仏教の入門書としては正直おすすめすることはできませんが、原始仏教についてより深く学ぶには非常におすすめな作品です。

この本は原始仏教における思想を原典に即して見ていくところにその特徴があります。最初期の仏教教団はどのようなことを説いていたのか、そしてどのように思想が発展、体系化されていったのかを原典を読みながら解説していきます。原典の引用がとにかく膨大です。

思想面にフォーカスしてがっちり説かれるこの本は読みごたえ抜群の名著です。