森本達雄『インド独立史』~イギリス植民地支配の歴史とガンディーの戦いを知れる名著!

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森本達雄『インド独立史』概要と感想~イギリス植民地支配の歴史とガンディーの戦いを知れる名著!

今回ご紹介するのは1972年に中央公論社より発行された森本達雄著『インド独立史』です。

早速この本について見ていきましょう。

第二次大戦後のアジア・アフリカの民族運動の先駆をなすインド・ナシヨナリズムはどのようにして芽生え、いかにして独立運動へと受けつがれ発展していったか。

単にイギリス帝国主義との闘争だけではなく、自治(スワラージ)という民族共通の目標に向かって進む人びとの対立・抗争・友愛・苦悩・逡巡等々、極限状況下における「血と涙」の人間ドラマを描き出し、今日の印・パ紛争の複雑な問題の原点を求める方向で独立への道を辿る。

Amazon商品紹介ページより

はじめに言わせてください。

この本はあまりに重いです・・・。この本で説かれるインド苦難の歴史は想像を絶します。

インドのイギリス植民地からの独立といえばマハトマ・ガンディーを思い浮かべることでしょう。

マハトマ・ガンディー(1869-1948)Wikipediaより

インド独立のリーダー、ガンディー。私達はガンディーの非暴力や非協力、塩の行進など有名な抵抗運動を単語レベルでは知っています。そして彼の活躍によりインドは最終的にイギリスから独立を勝ち取ったということも私たちは知ってはいます。

ですがその背景で何が起こっていたのか。この本では想像を絶するほど複雑な事態があったことを目の当たりにすることになります。

まず、本書の前半でインドがイギリスの植民地へと化していくその過程を見ていくことになります。インドという大国がなぜ遠洋の小国イギリスに勝てなかったのか、その理由がここで明らかになります。いくらイギリスが強かろうとインド本国にいるインド人が数の力で徹底的に攻撃したならばさすがのイギリス人といえど抵抗する術はありません。ですがそうはならなかった。そこには大国インドの弱点とイギリスの狡猾な侵略手法があったのでした。そのことについてまずはじっくりと学んでいくことになります。

イギリスによる悲惨な植民地統治の実態は読んでいて目を反らしたくなります。そしてそれを防ぐことができなかったインドの弱みにも胸が苦しくなりました。

1857年のインド大反乱 Wikipediaより

そしてそこからセポイの反乱とも呼ばれる1857年のインド大反乱について語られます。世界史の授業でも必ず出てくるこの有名な大反乱の背景も詳しく知ることができます。

そしてこうしたことからイギリスが何を恐れ、何を求めて統治していったかも知ることができます。イギリスは単に暴力を以てインドを支配していたのではありません。彼らはインド人同士で団結させないための狡猾な統治手法を洗練させていきます。イギリス人が一方的にインド人を虐げたという単純な構図ではなく、インド人同士で争わせるような状況を作っていったのです。このことは藤井毅著『歴史の中のカースト 近代インドの〈自画像〉』でも語られていたことでした。インドのカースト制度もこうした植民地政策によってより強固なものになったのです。

そして本書の主題であるインド独立の歴史に入っていくのですがこれまた複雑。ガンディーという偉大なリーダーが立ち上がりそれに呼応して全国民が立ち上がったというシンプルな構図では語り切れないものがあります。ガンディーという人物が活躍するまでにもインド独立への大きな流れが存在していました。そしてガンディーが立ち上がり、大きなうねりとなっていた時も様々な立場の人たちが独立へと動いていたのでした。

その複雑なインド情勢について学べるのが本書の素晴らしい点です。ガンディーという稀有なリーダーがいたからこそのインド独立だったのは間違いありません。彼の偉大さ抜きにしてここまでの運動は不可能だったことでしょう。ですが事はそう単純なものではありません。この本ではその複雑な背景を丁寧に追っていくことになります。

この本を読むと、日本が明治時代に植民地にならなかったという事実に改めて驚くしかありません。もし植民地になっていたら・・・とぞっとします。そして同時にインドの歴史を見たことで、翻って日本はなぜそうならずに済んだのかということを考えることにもなりました。そして今の日本はどうなのか、これから私たちはどうするべきなのかということも・・・

この作品は私達の生きる日本についても考えるきっかけとなります。

この記事の冒頭にもお話ししましたが、この本はたしかに重いです。ですがとても大切なことを学ぶことができる名著中の名著です。苦しくとも学ぶべきことがあります。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。

以上、「森本達雄『インド独立史』~イギリス植民地支配の歴史とガンディーの戦いを知れる名著!」でした。

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