インド

原始仏教の成立インドにおける仏教

中村元選集第14巻『原始仏教の成立』~仏教はどのようにして生まれたのか。最初期の教団を取り巻く状況を知るのにおすすめ

この本は仏教教団の最初期について解説された作品です。中村元先生は最初期の仏教教団の様子を当時の時代背景や思想界の様相と絡めてこの本でお話ししていきます。

仏教が起こってきた時代背景については以前当ブログでも紹介した中村元著『古代インド』でも語られていました。この『古代インド』は初学者でもわかりやすく読むことができる入門書として非常におすすめな作品ですが、本作『中村元選集〔決定版〕第14巻 原始仏教の成立 原始仏教Ⅳ』ではさらにかっちりと古代インドと原始仏教教団のつながりを見ていくことができます。

古代インドの文明と社会インド思想と文化、歴史

山崎元一『古代インドの文明と社会〈世界の歴史3〉』~インドの思想・宗教が生まれてくる時代背景を学ぶのにおすすめ!

この本は古代インドの歴史や文化を詳しく知ることができるおすすめの解説書です。

「詳しく知ることできる」というと、難しくて読みにくい本というイメージが湧いてくるかもしれませんがこの本は全く違います。ものすごく読みやすく、わかりやすいです。

そして私がこの本を手にったのは仏教が生まれてくる時代背景を知りたかったからでした。なぜ仏教が人々に受け入れられたのかを知るには、思想面だけではなくそれが受け入れられた土壌も知らねばなりません。当時の人々がどんな社会に生き、どんな生活をしていたのか、それを私は知りたかったのです。

この本はそんな私の疑問に答えてくれた素晴らしい作品でした。

仏弟子の生涯インドにおける仏教

中村元選集第13巻『仏弟子の生涯』~最初期のブッダ教団にはどのような人がいたのか。その出自や性格を知るのにおすすめ

仏弟子といえば舎利弗や目犍連、摩訶迦葉を筆頭とした十大弟子が有名ですが、この本では彼ら十大弟子だけではなく、教団に所属していたたくさんの修行者たちの姿も知ることができます。

この作品では最初期のブッダ教団がどのような雰囲気だったのかを知ることができます。原始仏教について学ぶ上で非常にありがたい作品でした。

インド宗教興亡史インド思想と文化、歴史

保坂俊司『インド宗教興亡史』~仏教、ヒンドゥー教、イスラム教だけでなくシク教、ジャイナ教などとの相互関係も知れる参考書!

この本はインドの宗教を学ぶ上で非常にありがたい参考書です。

と言いますのも、この本ではインドに多数ある宗教をそれぞれ別個に見ていくのではなく、その相互関係に着目して語っていく点にその特徴があるからです。

インド古代のバラモン教と仏教、ジャイナ教の関係。そこから時を経てヒンドゥー教とイスラム教が力を増す背景とは何だったのか。なぜ仏教は衰退したのか、そしてその姉妹宗教と言われるジャイナ教はなぜ今も生き残ることができたのか。これらを時代背景や宗教間の相互関係から見ていけるこの本は非常に貴重です。宗教は宗教だけにあらず。歴史や文化、政治経済すべてが関わります。この本ではそんな歴史のダイナミズムを感じることができる非常に刺激的な作品です。

中村元インドにおける仏教

植木雅俊『仏教学者 中村元 求道のことばと思想』~日本を代表する仏教学者の桁外れのスケールと生涯を知るのにおすすめ!

実は私はこの本を読むまで、中村元先生その人のことをほとんど知りませんでした。ですが、この本を読んで驚いたのですがまさに異次元とも言える業績を残された方でありました。

この本を読んで、大きな視点で世界を見ていく中村元先生のあり方に私も心打たれるものがありました。

この本は仏教とは何かを考えさせられる、非常に大きな意味を持った作品です。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。先生の異次元の業績に驚くこと間違いなしです。

ヒンドゥー聖地インド思想と文化、歴史

宮本久義『ヒンドゥー聖地 思索の旅』~巡礼者が訪れるインドの秘境やガンジスの聖地を知るのにおすすめ

ヒンドゥー教において聖地巡礼は非常に大きな意味を持っています。インドにおける聖地として有名なのはバラナシのガンジス川ですが、他にも多くの聖地があります。この本では私達日本人にとってあまり馴染みのない聖地が出てきます。特に5000メートルを超える山々にある聖地はそこに行くだけでも非常に過酷です。時には命がけの巡礼にもなるこうした聖地をインドの人々はどんな思いで歩いているのか。体の弱い私には不可能であろうインドのあまりにディープな世界をこの本では知ることができます。

古代インドインドにおける仏教

中村元『古代インド』~仏教が生まれたインドの風土や歴史を深く広く知れるおすすめ参考書!

この本はまずインドの先史時代から始まり、インダス文明、アーリア人の侵入、バラモン教の発展など、仏教が生まれ、衰退するまでの過程を詳しく知ることができます。なぜ仏教は生まれたのか、どのような人にブッダの教えが響いたのか、どのようにして仏教教団がインドに広がっていき、最後には衰退することになってしまったのか、それらの大きな流れをわかりやすく学ぶことになります。

仏教の教えや思想を解説する本はそれこそ無数にありますが、それらの思想が生まれてきた時代背景や気候風土をわかりやすくまとめた本は意外と少ないです。この本は私達日本人にとって意外な発見が山ほどある貴重な作品です。これを読めばきっと驚くと思います。

古代インドの思想インド思想と文化、歴史

山下博司『古代インドの思想―自然・文明・宗教』~インドの気候・風土からその思想や文化の成り立ちを知れるおすすめ参考書

この本ではインドの思想がその独特な気候や風土から大きな影響を受けていることを知ることができます。インドではなぜ無限の宇宙的な哲学が生まれたのか、なぜインド人は多神教的な宗教を信仰するのか、そうしたことを自然や風土という切り口から見ていけるこの作品は非常に刺激的です。

文化や思想、宗教は自然環境と無縁ではいられない。この解説には思わず「なるほど!」と膝を打ってしまいました。

この本では他にもモンスーン気候や乾季、雨季、森などインド思想を考える上で非常に興味深いことが語られます。

これは面白いです。インドだけでなく、あらゆる宗教、思想、文化を考える上でもとても重要な示唆を与えてくれる一冊です。

思想の自由とジャイナ教インドにおける仏教

中村元選集第10巻『思想の自由とジャイナ教』~六師外道の思想やジャイナ教と仏教のつながりを知るのにおすすめ!

中村元先生は思想だけではなく、その時代背景も詳しく語ってくれる先生です。ですので六師外道が生まれてきた背景やそこからブッダが活躍するまでの流れもこの本では知ることができます。ブッダもたったひとりで全ての思想を生み出したわけではありません。六師外道をはじめとした優れた思想家たちとの切磋琢磨を経て思想を生み出しています。こうした思想形成の流れを知る上でも六師外道やジャイナ教を学ぶことは大きな意味があると思います。

ぜひおすすめしたい作品です。

インド文化入門インド思想と文化、歴史

辛島昇『インド文化入門』~謎の国インドを映画、食、物語、言語など様々な切り口で見ていくおすすめ入門書

この本はインド初学者でも楽しく読み進めることができるとても面白い作品です。語られる内容も多岐にわたっていますので、きっと読者ひとりひとりにぐっと来る章が必ずあると思います。

私の中で一番印象に残ったのは第十章の「カレー文化論―南アジアの統一性」です。インドといえば「カレー」というのは私もイメージとして強くあったのですが、ではいざ「そのカレーってそもそも何なのだろう」と聞かれるとなかなか難しい。漠然としか「カレー」という存在を考えたことのなかった私にとってこの章はとても刺激的でした。まさかカレーがインド文化そのものを知る大きな鍵となっていたとは!

とても刺激的で面白い作品です!