阿刀田高『ホメロスを楽しむために』~ギリシャ神話『イリアス』、『オデュッセイア』のおすすめ入門書!

この本は非常におすすめです。とにかく面白く、わかりやすい!しかも深い所まで連れて行ってくれます。内容はかなり本格的です。巻末の里中満智子氏による解説でもそのことは絶賛されていました。

これを読めば『イリアス』『オデュッセイア』の流れをかなりがっちりつかむことができます。逆に言えばもしこの本を読んでいなければ『ジュリアス・シーザー』の時と同じように挫折していたかもしれません。この本のありがたさが身に沁みます。

ぜひぜひおすすめしたい作品です。

トルストイ『戦争と平和』あらすじ解説と感想~ナポレオン戦争を舞台にしたトルストイの代表作

ドストエフスキーが人間の内面の奥深く奥深くの深淵に潜っていく感じだとすれば、トルストイは空高く、はるか彼方まで広がっていくような空間の広がりを感じます。

深く深く潜っていくドストエフスキーと高く広く世界を掴もうとするトルストイ。

二人の違いがものすごく感じられたのが『戦争と平和』という作品でした。

万人におすすめできる作品ではありませんが、凄まじい作品であることに間違いはありません。一度読んだら忘れられない圧倒的なスケールです。巨人トルストイを感じるならこの作品です。

川端香男里『100分de名著 トルストイ『戦争と平和』』~あの大作をコンパクトかつわかりやすく解説した奇跡の参考書!

この本は『戦争と平和』を読む際の必読書と言っていいのではないでしょうか!

トルストイの『戦争と平和』は名著中の名著として名高い作品です。

ですが川端香男里先生のこの解説書も素晴らしい名著だと私は思います。この大作をここまでコンパクトかつわかりやすく解説したこの本は奇跡です!しかも単にわかりやすいだけでなく、ものすごく深い所まで連れて行ってくれます。「すごい!」としか言いようがありません。この記事の最初でも申しましたが私はこの本を読んで感動しました。もう脱帽です。

トルストイ『ルツェルン』あらすじと感想~スイスの有名保養地でトルストイ大激怒の事件発生。上流階級を激しく非難する告発の書

ルツェルンは当時世界的に有名な保養地で、多くの著名人もここに滞在しています。トルストイもその一人です。

今作『ルツェルン』ではここを訪れたトルストイが遭遇した「ある事件」がもとになって書かれました。

トルストイが大激怒したルツェルン事件。

短編ながらも非常に大きな意味を持った作品となっています。

パリでギロチン処刑を見てショックを受けるトルストイ~非暴力主義の源泉とユゴー、ドストエフスキーとの共通点

クリミア戦争から帰還したトルストイはしばらくロシアに滞在したものの、そこで知識人や上流階級の人々に嫌気がさし、1857年にパリに向けて出発します。

そしてそこで目にしたギロチン処刑にショックを受けたのでありました。

19世紀ヨーロッパを代表する3人の文豪、トルストイ、ユゴー、ドストエフスキー。

この3人に「死刑」という共通点があるというのは非常に興味深いものがありました。

創元社『メソポタミア文明』~メソポタミア文明の全体像を知るのにおすすめの解説書。楔形文字解読への流れに驚く

「メソポタミア文明は楔形文字を使用していました」

教科書的に語られてしまえばたったこれだけのことです。

ですが実際に遺跡が発掘されて目の前に現れてきた謎の文字。

当然、最初は解読の方法などまったくありません。そこから研究者たちはどうやってこの謎の文字を解読していったのか。これはものすごく面白かったです。

研究者たちの執念といいますか、その頭脳には驚くしかありません。どうやって古代文字を解読していたのかというのは私も意外と盲点でした。

面白いドキュメンタリー番組を見ているかのようでとても楽しかったです。

アラン・パジェス『ドレフュス事件 真実と伝説』~国家による文書改竄、証拠捏造~ドレフュス事件をもっと学ぶならこの1冊!

この作品では多種多様な観点からドレフュス事件を見ていきます。

エミール・ゾラとドレフュス事件についてのつながりもこの本では知ることができます。

そして嬉しいのは映画『オフィサー・アンド・スパイ』についても言及がある点です。この映画はフランスで2019年に公開されたものなので、その映画の内容も踏まえて加筆されたのが邦訳出版された今作になります。

映画を観た時の記憶と重ね合わせながらこの本を読むのは非常に興味深いものがありました。これはぜひおすすめしたいです!

(48)イギリスで上流階級となったエンゲルスの優雅な社交生活とは

ここまでエンゲルスの生涯を見てきましたが、やはり彼は実務に非常に長けていて、社交的才能もあるということで実業界ではかなり優秀な人物でした。だからこそマンチェスターの社交界でも信頼され数々の役職を果たすことになりました。

矛盾に満ちた奇妙な人物ですが、やはりスケールの大きさと言いますか、魅力的なものがあるなというのはどうしても感じざるを得ません。

エンゲルスのブルジョワ社交家としての顔を見れたこの箇所は非常に興味深いものでした。

(47)1852年『ルイ=ボナパルトのブリュメール十八日』を発表するマルクスとその反響

驚くことに、この作品は今となっては非常に有名ですが、出版直後はほとんど反響がなかったようです。

今から数十年前までバイブルのごとく読まれていた『共産党宣言』ですら、出版直後はほとんど反響がなかったくらいです。この作品があまり広まらなかったのは仕方ないことかもしれません。

ただ、そこから時を経てマルクスが亡くなった後から彼の作品が異様なほど評価されていったというのは注目に価します。生前評価されなかった作家が死後になって巨大な存在になって君臨する。その典型がマルクスと言えるかもしれません。

小林登志子『シュメルー人類最古の文明』~メソポタミア文明初期に繁栄したシュメル人とは何者なのかを知るのにおすすめの入門書

シュメル文明単独で書かれた本というのは意外と少ないです。そんな中でシュメル文明とは何かということの全体像をわかりやすく語ってくれる本書は非常にありがたい作品です。

今から5000年前にこんな世界があったのかと読んでいて驚くばかりでした。

楔形文字の発明や神話というメジャーな話題だけでなく、気候や地理、政治経済などそれらが生まれてくる背景も語られるのでこれは非常に興味深いものがありました。