スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

ハイジャック犯をたずねてスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

和田朋之『ハイジャック犯をたずねて—スリランカの英雄たち』~スリランカ内戦の経緯が詳しくまとめられたおすすめ作品!

本作『ハイジャック犯をたずねて—スリランカの英雄たち』は1983年から2009年まで続いたスリランカ内戦について知るのに非常におすすめの作品です。

タイトルにありますように、著者自身が遭遇したハイジャックを縁に著者はスリランカへと向かうことになります。ハイジャック犯のセパラという人物とスリランカの現代史が絶妙にクロスして語られるのが本書です。

まさに学術書というよりノンフィクション!内戦の経緯が一般読者にもわかりやすくかつ臨場感たっぷりに語られます。ぐいぐい読ませます。私も一気に読み切ってしまいました。ものすごく面白いです。

スリランカ政治スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

川島耕司『スリランカ政治とカースト』~政治と宗教、ナショナリズムの舞台裏を明らかにする衝撃の名著!

この本は衝撃の一冊です・・・!

今まで顧みられてこなかった資料を丹念に読み込んだ著者ならではの新たなスリランカ政治史がここにあります。

これは政治と宗教を考える上でも非常に重要な作品であると私は強く感じます。

ものすごい本と出会ってしまいました。

スリランカと民族スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

川島耕司『スリランカと民族』~シンハラ・ナショナリズムと民族対立の流れを詳しく知るのにおすすめ!

本作『スリランカと民族―シンハラ・ナショナリズムの形成とマイノリティ集団』は民族対立の形成過程を個々の民族や宗教ごとに詳しく見ていける点にその特徴があります。特に1930年代から40年代にかけての移民排斥運動に着目して本書は論じられていきます。

本書はスリランカ内戦に関する新たな視点を私たちに示してくれます。

この本を読んで「え!そうだったの!?」という事柄が何度も出てきて私自身も驚かされることになりました。

スリランカ内戦や政治の流れを知る上で本書は必読の一冊です。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

スリランカから世界を眺めてスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

A・C・クラーク『スリランカから世界を眺めて』~『2001年宇宙の旅』で有名なSF作家のスリランカ愛を知れるエッセイ集

アーサー・C・クラークはスタンリー・キューブリックと共にあの『2001年宇宙の旅』を手掛けたSF界の巨匠です。

そのアーサー・C・クラークがなっとスリランカを愛し、スリランカへの想いを述べたエッセイを書いていた!

それを知った私は迷うことなくこの一冊を手に取ったのでありました。

セレンディップスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

『セレンディップの三人の王子たち』あらすじと感想~セレンディピティの語源となったスリランカの物語

『セレンディップの三人の王子たち』はセレンディピティの語源となった物語として知られています。

「求めてもいないものを偶然と英知で発見してゆく」

これがセレンディピティという言葉の意味になります。

そして意外なことに、本書『セレンディップの三人の王子たち』自体はスリランカで語られたものではなく、ペルシアで語られていたスリランカのおとぎ話になります。あくまでスリランカは王子たちの出身国でその舞台になったというのにすぎません。ですが当時のペルシア人からしてもスリランカには何かそうした憧れや楽園的なものを想像させるものがあったのでしょう。

有名なセレンディピティという言葉の大元となった作品を読めるというのはなかなかに刺激的な体験です。

スリランカ学の冒険スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

庄野護『スリランカ学の冒険』~意外な視点から見ていくスリランカ入門書!セレンディピティに溢れた一冊!

本書はこの記事のタイトルにありますように意外な切り口から語られるスリランカを知ることができます。目次にある「カシューナッツの流通学」「漱石のカレー学」「カラスの生態学」など、パッと見ただけでは「これのどこがスリランカ?」と思ってしまうかもしれませんがこれが見事にスリランカ世界を知る手掛かりとなるのですからお見事としか言いようがありません。ものすごく面白いです。

セイロン島誌スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

ロバート・ノックス『セイロン島誌』あらすじと感想~ロビンソン・クルーソーのモデルにもなった1600年代後半の驚異の実話!

本作の著者ロバート・ノックス(1641-1720)はイギリス東インド会社の貿易船の船員でした。彼の乗る船はインド洋航海中に嵐に遭い、セイロン島(スリランカ)に1660年に寄港しました。そこから彼らはおよそ20年にわたってスリランカ中央部のキャンディ王国の捕虜として生活することになります。

キャンディ周辺は単に高地であるだけでなく、深いジャングルに覆われており移動は極めて困難でした。いわば陸の孤島です。そんな脱出困難な状態から命からがら20年をかけて脱出したノックスの体験が綴られたのが本書『セイロン島誌』になります。

高僧法顕伝スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

『高僧法顕伝(仏国記)』~中国僧による最古のインド旅行記録!スリランカにも来島した法顕の過酷な求法の旅とは

今回私が法顕のこの作品を読もうと思ったのは、彼が400年代初頭にスリランカを訪れていたということに興味を持ったからでした。

『法顕伝』は非常に簡潔に書かれていながらも彼の人柄が見えてくるような素晴らしい紀行文です。前半の壮絶な旅路を終えると、今度は私達もよく知るインドの仏跡がどんどん出てきてわくわくしてきます。

法顕の旅は10年以上にも及ぶ長旅でした。帰国した頃にはほとんど80歳という驚異のバイタリティーです。信じられません!やはり世界史に名を残す偉人はスケールが違います。

内戦終結後のスリランカ政治スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

荒井悦代『内戦終了後のスリランカ政治』~中国と関係を深めたラージャパクサ政権の仕組みとその後の流れを知るのにおすすめ

本書では1983年から2009年にかけて起きたスリランカでの内戦が終わってから2016年までの政治状況を知ることができます。

特に、本書の主要人物であるラージャパクサ大統領はほとんど独裁レベルで国を支配した政治家でその一族や側近は莫大な富と権力を手にすることになりましたが、この人物についての詳しい解説を聴けるのはとてもありがたいものがありました。まさにこの人物こそ2022年のスリランカの暴動で国外逃亡することになったあの人物です。ニュースでも2022年のスリランカの暴動はよく取り上げられていたことを私も記憶しています。

ARCレポートスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

『ARCレポート スリランカ2023/2024』~最新のスリランカ情勢がまとめられた政治経済の報告書

なんとかスリランカ最新の状況を知ることができないか。2022年の経済危機と暴動は何だったのか。中国の一帯一路はどうなっているのか、インド、アメリカ、日本との関係はどうなっているのか。

インドと違ってスリランカの最新情勢が書かれた本というのはなかなかありません。というより、ほとんど見かけません。

そんな中ようやくヒットしたのが本書『ARCレポート スリランカ2023/2024』でした。

タイトルの通り、まさに最新の最新。2023年版のスリランカの政治経済の報告書が本書になります。