マルクス主義

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

サイモン・フォーティー『産業革命歴史図鑑 100の発明と技術革新』~産業革命の歴史と発明品を学ぶのにおすすめ

この本の特徴は何といっても資料の豊富さです。書名にもありますように、100の発明が写真、イラストと共にわかりやすく解説されます。

産業革命について書かれた本が意外と少ない中で、この本は非常にありがたい作品です。タイトルに「歴史図鑑」とありますように、写真やイラストが豊富なのも素晴らしい点です。解説もとてもわかりやすいです。

産業革命の歴史を学ぶ入門書としてこれはかなりおすすめな一冊です。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

カール・B・フレイ『テクノロジーの世界経済史』~産業革命の歴史と社会のつながりを学ぶのにおすすめ!

私がこの本を手に取ったのは、マルクスを学ぶ上で産業革命の歴史と現代に至るテクノロジーの歴史を知りたいと思ったからでした。

この本ではなぜイギリスで産業革命が起きたのか、そしてそれにより社会はどのように変わっていったのかを知ることができます。

マルクスとエンゲルスは、機械化が続けば労働者は貧しいままだという理論を述べました。

たしかに彼らが生きていた時代にはそうした現象が見られていましたが、現実にはその理論は間違っていたと著者は述べます。

この伝記は産業革命とテクノロジーの歴史を知るのに非常におすすめな1冊となっています。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

長縄光男『評伝ゲルツェン』~おすすめ伝記!ロシアの革命家の波乱の人生とは

ゲルツェンはドストエフスキーやツルゲーネフなど、ロシアの文豪のことを調べていると必ず出てくる人物でありますし、今更新を続けているマルクスにも関係のある人物です。

この本を読むと意外な事実が驚くほど出てきます。革命家ゲルツェンがとてつもない大金持ちで、その資産運用をロスチャイルドに委託していたという事実も出てきます。これには私もびっくりでした。人間としても危険な革命家というわけではなく、あくまで穏健で理性的な人だったということも明らかになります。

ぜひぜひおすすめしたい1冊です。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

『アウグスティヌス『神の国』を読む―その構想と神学』~マルクスの歴史観にもつながるキリスト教教父の思想とは

ローマ帝国の崩壊のきっかけとなる蛮族の侵入とアウグスティヌスの『神の国』が関係しているというのはとても驚きでした。

そしてアウグスティヌスが歴史を「神の永遠の計画が実現される歩み」であるとしている点は非常に重要です。これはまさしくヘーゲルの歴史観とつながってくるところです。マルクスも神ではありませんがそうした歴史観に非常に影響を受けています。

この本を読むことでヘーゲル、マルクスがいかにプラトンやアウグスティヌスに影響を受けていたかがよくわかります。これは非常に興味深い読書になりました

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

プラトン『ソクラテスの弁明 クリトン』あらすじと感想~ソクラテス・プラトン師弟と法然・親鸞師弟の類似に驚く・・・

プラトンが『国家』を書いたのは、尊敬する師ソクラテスが不当に処刑されてしまったことに対する反発からでした。

そしてそのソクラテスがなぜ処刑されねばならなかったのかについて書かれているのがこの『ソクラテスの弁明』という作品です。

親鸞自身もプラトンと同じように、尊敬する師が理不尽にも処罰を受けなければならないのを身をもって体感しています。

親鸞もそうした理不尽に反論するために主著『教行信証』を書いたという側面があります。

プラトンと親鸞が体験した「無念」という共通点が私にはドキッとくるものがありました。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

トマス・モア『ユートピア』あらすじと感想~ユートピアの始まりからすでにディストピア?

「ユートピア」という言葉は現代を生きる私達にも馴染み深い言葉ですが、この言葉を生み出した人物こそこのトマス・モアです。

ユートピアでは一日の仕事は6時間でそれ以上は労働することはありません。ですが仕事を含めた一日のスケジュールが徹底的な監視の下管理されるという、これが私たちの感覚で言えばなかなかのディストピアっぷりなのです。まさに『一九八四年』のビッグブラザーそのものです。

そうです、ユートピア小説はその始まりからしてディストピアだったのです。これは読んでいて驚きでした。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

『じゅうぶん豊かで、貧しい社会』~資本主義と脱成長、環境問題を問う名著!『人新世の資本論』を読んだらこちらもおすすめ

この本は単に「資本主義が悪い」とか、「資本家が搾取するから悪いのだ」という話に終始するのではなく、より思想的、文学的、人間的に深くその根源を追求していきます。これがこの本の大きな特徴であるように思えました。

斎藤幸平著『人新世の資本論』に魅力を感じた方にはぜひ、あえてこの本も読んでみることをおすすめします。読んでいない人にもぜひおすすめしたい面白い本です。資本主義、マルクス主義だけではなく、「人間とは何か」ということも考えていく非常に興味深い作品です。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

『グローバル経済の誕生 貿易が作り変えたこの世界』~世界市場の歴史を知るのに最適な1冊!マルクス主義を学ぶためにも

マルクス主義においては、「資本主義がこんな世界にしたのだ」と述べられることが多いですが、この本を読めばことはそんなに単純ではないことに気づかされます。

たしかに「資本主義」が多大な影響を与えているのは事実です。ですが個々の場においては様々な事情や要因が働いて社会は成り立っています。単に「資本主義がすべて悪いのだ」で止まってしまったら重要なものを見落としてしまいかねません。

世界は複雑に絡み合って成り立っていることをこの本では学べます。

幅広い視野から貿易の歴史を知ることができるおすすめの1冊です。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

ロバート・オウエン『オウエン自叙伝』~イギリスの空想主義的社会主義者の第一人者による自伝

社会主義者というとマルクスやエンゲルスなどのイメージで革命家とか経済学者、哲学者のイメージがあるかもしれませんが、オーウェンは全く違います。彼は根っからの商人であり、実業家でした。

彼が自分の工場でなした改革は今でも評価されるほど人道的でした。

資本家はあまねく強欲であり、労働者を搾取する悪人だという考え方には明らかに収まりきらないものがオウエンにはあります。

この『オウエン自叙伝』ではそんなオウエンがなぜそのような思想に至るようになったのか、彼の原動力とは何だったのかを知ることができます。読めばきっと驚くこと間違いなしです

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

ユートピア社会主義者フーリエとドストエフスキー~なぜドストエフスキーはフーリエに惹かれたのか

この記事では空想的社会主義者フーリエとドストエフスキーのつながりについて考えていきます。

私の中で「これは」と思った3つのポイントがこちら。

1 フーリエの美的センスとクロード・ロラン

2 フーリエのほとんど狂気じみた同情の能力

3 フーリエの著述の才能~圧倒的なファランジュ(ユートピア)の描写力

これらがドストエフスキーがフーリエに惚れ込んだ背景としてあったのではないかと私は感じました。

また、ドストエフスキーをはじめとしたロシアの青年たちがフーリエ思想をキリスト教の延長として見ているのは非常に興味深い点だと思います。