マルクス主義

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

松村昌家『幕末維新使節団のイギリス往還記―ヴィクトリアン・インパクト』~幕末明治の日本人が見たイギリスとは!

この作品では、幕末維新期の使節団から見たヴィクトリア朝、万国博覧会を見ていくことになります。鎖国していた日本から飛び出て、初めて見るヨーロッパの機械文明を見た我らが使節団はどのような反応をしたのでしょうか。普通のイギリス史とは違った視点から見るヴィクトリア朝をこの本では知ることができます。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

松村昌家『大英帝国博覧会の歴史 ロンドン・マンチェスター二都物語』~万博とマンチェスターのつながりを知れる1冊!

この本はロンドン万博とマンチェスター名宝博のつながりを大きな視点で見ていき、さらにはそこから日本とのつながりも見ていく作品になります。

産業革命の悲惨な結果として見られがちなマンチェスターですが、実はこのマンチェスター名宝博こそ、国民の生活向上を目指す運動とも関わってくるものでした。

マルクスは1849年から、エンゲルスに関してはそれよりもはるかに長くイギリスに滞在しています。彼らの思想が生まれてくる背景にはイギリスの社会情勢があります。そうしたイギリスの社会事情を知る上でもこの本は非常に参考になりました

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

松村昌家『十九世紀ロンドン生活の光と影―リージェンシーとディケンズの時代』~ヴィクトリア朝繁栄の背景を知るのにおすすめ!

この本で語られるリージェンシー時代は1811年から1820年までの10年という短い期間のことですが、この時代が後のヴィクトリア朝につながる重要な時期であると著者は述べます。

たった一本の路地を隔てることによって世界が変わっていく。光と闇が同居するような、そんな矛盾をはらんだ街が世界の大都市ロンドンでした。

この本ではそうしたリージェンシー時代からヴィクトリア朝初期に至るロンドンの時代背景を見ていくことができます。

この本は19世紀前半から中頃のロンドンを知るのに最適な1冊です。非常に興味深い内容が満載でした。おすすめです!

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

海野弘他『レンズが撮らえた19世紀ヨーロッパ』~19世紀西欧を写真で概観するおすすめガイドブック!

この本では同時代の国家間のつながりはどのようなものだったのか、それぞれの国の特徴はどのようなものだったのかということを知ることができます。しかも写真が大量にありますのでとてもイメージしやすいです。

そしてこの本のタイトルにもありますように、カメラと写真技術そのものの歴史も知ることができます。カメラの技術が発明されたのが1839年で、そこからあっという間にその技術は進歩し1840年代にはかなり性能のよいカメラ技術も出てきます。

これは刺激的な1冊です!

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

『写真で見る ヴィクトリア朝ロンドンの都市と生活』~ディケンズも見た19世紀後半のロンドンを知るのにおすすめ!

この本では19世紀中頃から後半にかけてのロンドンの姿を大量の写真で見ることができます。
この本の特徴は19世紀イギリスの偉大な文豪ディケンズと絡めてロンドンの街が語られる点にあります。
たくさんの写真と一緒にディケンズ作品との関わりも解説されていきますのでディケンズファンにはたまらない構成となっています。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

田中亮三、増田彰久『イギリスの近代化遺産』~イギリス産業革命の歴史的スポットを知るのにおすすめ!

この本の特徴はまずその美しい写真にあります。見開き一杯に写真が掲載され、そこに解説も添えられています。

イギリスの産業革命の遺産を満遍なく学べるのもこの本のありがたい所です。

この本の後半ではイギリスの産業革命についてのわかりやすい解説が説かれます。これまで産業革命について知識がなかった人でも楽しく読めるような、とても丁寧な解説です。これも非常にありがたい点でした。

この本は産業革命時代の遺産を素晴らしいビジュアルと共に学べる1冊です。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

サイモン・フォーティー『産業革命歴史図鑑 100の発明と技術革新』~産業革命の歴史と発明品を学ぶのにおすすめ

この本の特徴は何といっても資料の豊富さです。書名にもありますように、100の発明が写真、イラストと共にわかりやすく解説されます。

産業革命について書かれた本が意外と少ない中で、この本は非常にありがたい作品です。タイトルに「歴史図鑑」とありますように、写真やイラストが豊富なのも素晴らしい点です。解説もとてもわかりやすいです。

産業革命の歴史を学ぶ入門書としてこれはかなりおすすめな一冊です。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

カール・B・フレイ『テクノロジーの世界経済史』~産業革命の歴史と社会のつながりを学ぶのにおすすめ!

私がこの本を手に取ったのは、マルクスを学ぶ上で産業革命の歴史と現代に至るテクノロジーの歴史を知りたいと思ったからでした。

この本ではなぜイギリスで産業革命が起きたのか、そしてそれにより社会はどのように変わっていったのかを知ることができます。

マルクスとエンゲルスは、機械化が続けば労働者は貧しいままだという理論を述べました。

たしかに彼らが生きていた時代にはそうした現象が見られていましたが、現実にはその理論は間違っていたと著者は述べます。

この伝記は産業革命とテクノロジーの歴史を知るのに非常におすすめな1冊となっています。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

長縄光男『評伝ゲルツェン』~おすすめ伝記!ロシアの革命家の波乱の人生とは

ゲルツェンはドストエフスキーやツルゲーネフなど、ロシアの文豪のことを調べていると必ず出てくる人物でありますし、今更新を続けているマルクスにも関係のある人物です。

この本を読むと意外な事実が驚くほど出てきます。革命家ゲルツェンがとてつもない大金持ちで、その資産運用をロスチャイルドに委託していたという事実も出てきます。これには私もびっくりでした。人間としても危険な革命家というわけではなく、あくまで穏健で理性的な人だったということも明らかになります。

ぜひぜひおすすめしたい1冊です。

マルクス・エンゲルス著作と関連作品

『アウグスティヌス『神の国』を読む―その構想と神学』~マルクスの歴史観にもつながるキリスト教教父の思想とは

ローマ帝国の崩壊のきっかけとなる蛮族の侵入とアウグスティヌスの『神の国』が関係しているというのはとても驚きでした。

そしてアウグスティヌスが歴史を「神の永遠の計画が実現される歩み」であるとしている点は非常に重要です。これはまさしくヘーゲルの歴史観とつながってくるところです。マルクスも神ではありませんがそうした歴史観に非常に影響を受けています。

この本を読むことでヘーゲル、マルクスがいかにプラトンやアウグスティヌスに影響を受けていたかがよくわかります。これは非常に興味深い読書になりました