サイモン・フォーティー『産業革命歴史図鑑 100の発明と技術革新』産業革命の歴史と発明品を学ぶのにおすすめ
今回ご紹介するのはは2019年に原書房より発行されたサイモン・フォーティー著、大山晶訳の『産業革命歴史図鑑 100の発明と技術革新』です。
早速この本について見ていきましょう。
産業革命がイギリスで起こっていなければ、他の場所で起こっていただろうと考えることはできる。それでもやはり1709年に、コールブルックデールでエイブラハム・ダービーが木炭ではなくコークスを使って銑鉄を製造する方法を発展させたとき、彼は製鉄を進歩させ、産業に変革を起こしたのだ。鉄がなければ、本書に取り上げられている発明や場所の多くは存在しなかっただろう。コークスがなければ、橋から自転車に至るまで、本書に登場する鉄製品の多くの材料となっている鉄は十分に強くなっていなかっただろう。蒸気動力がなければ、製鉄所は水力を使用するほかなく、その有用性は当然不安定で、常に強力さを保つことは難しかっただろう。何もかもが驚異的な150年の間に相次いで起こったのだ。本書はこの第1次産業革命に寄与した、もっとも重要な発明と場所を100件取り上げ、この変革の時代を検証する。
原書房、サイモン・フォーティー、大山晶訳『産業革命歴史図鑑 100の発明と技術革新』
この本の特徴は何といっても資料の豊富さです。書名にもありますように、100の発明が写真、イラストと共にわかりやすく解説されます。


こちらが目次になりますが、いかに多くの発明が第一次産業革命時になされたかがわかります。そしてこの目次からも単に工場機械が生み出されただけでなく、生活のあらゆるジャンルに関わるものが発明されていることがわかります。産業革命によっていかに人々の生活が変わったかがうかがわれます。
産業革命といえば、紡績機械や蒸気機関のイメージがありましたが、他にもまだまだたくさんの発明があったことをこの本で知ることができます。
そしてそれらを時代順にまとめてくれていることもありがたいです。この本を読んでいくことで産業革命の歴史の流れを順繰り追っていくことができます。
正直、何がいつ発明されたというのはなかなか覚えるのは難しいですよね。しかも有名な飛び杼、ジェニー紡績機、アークライト紡績機、ミュール紡績機などは名前も似てますし、さらにややこしい。そうした紛らわしい発明品たちも時代順にわかりやすくまとめられています。
また、移動手段の革命についても多く書かれていることも嬉しいです。鉄道に関する発明や蒸気船、運河、橋、電信など様々なものが語られます。
鉄道のスタートといえば1830年のリヴァプール・マンチェスター鉄道が有名ですが、そのこともわかりやすく解説されています。
移動手段の革命は文化にとてつもない影響を与えました。当ブログでもこれまでドストエフスキーをはじめとしたヨーロッパ文学を学んできましたが、彼らの文学は鉄道があったからこそと言っても過言ではないくらいその影響を受けています。文字通り世界を変えてしまった発明の歴史の流れを見ることができるのはとても興味深かったです。
産業革命について書かれた本が意外と少ない中で、この本は非常にありがたい作品です。タイトルに「歴史図鑑」とありますように、写真やイラストが豊富なのも素晴らしい点です。解説もとてもわかりやすいです。
産業革命の歴史を学ぶ入門書としてこれはかなりおすすめな一冊です。
以上、「サイモン・フォーティー『産業革命歴史図鑑 100の発明と技術革新』産業革命の歴史と発明品を学ぶのにおすすめ」でした。
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