フランス

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(15)なぜ『罪と罰』のラスコーリニコフは『ゴリオ爺さん』のラスティニャックにならなかったのだろうか

一週間ほど滞在したパリでの日程もいよいよ終わりを迎えます。

『秋に記す夏の印象』ということでドストエフスキーに倣って私の印象を述べていこうという趣向でありましたが、なかなかドストエフスキー本人についてのことはここまで多くは語れませんでした。

ドストエフスキー自身もパリの名所や芸術などについてはほとんど語りませんでしたが、パリ篇の最後はやはり彼について思ったことを書いていきたいと思います。
この記事のメインテーマは『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフと、バルザックの『ゴリオ爺さん』の主人公ラスティニャックについてです。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(14)パリ郊外メダンのゾラの家へ~フランスの偉大な文豪が愛したセーヌの穏やかな流れと共に

この記事ではパリ郊外メダンにあるゾラの家をご紹介します。

『ナナ』などの大ヒットによって資産を蓄えたゾラが長い年月をかけて完成させたのがこの邸宅になります。

フランスの文豪が愛したセーヌ河畔の静かな住宅地。

小舟を浮かべて時を過ごしたとされる美しきパリ郊外の雰囲気もこの記事では紹介していきます。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(13)モネの『印象・日の出』が好きでたまらない!マルモッタン・モネ美術館でその名画を堪能!

モネの『印象・日の出』は本当に不思議な絵です。全体がぼんやりしているものの、それが心地よい。夕陽とその光の反射の描写はまさに天下一品だと思います。なぜか引き込まれる不思議な魅力がこの絵にはあります。これ以上はうまく言葉にできません。

私がパリで最も好きになった絵画は間違いなくこの作品です。

ありがたいことにこの美術館はルーブルやオルセーと違ってそれほど混雑はしません。だからゆっくりと心行くまで好きな作品に没頭できます。ぜひこの美術館もおすすめしたいです。そして『印象・日の出』をじっくりと堪能していた頂ければ何よりです。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(12)あなたは『サモトラケのニケ』を見逃してはいないだろうか?スルーされがちなルーブルの至宝を解説!

ルーブルの至宝『サモトラケのニケ』。 この作品は1863年にエーゲ海のサモトラケ島で発見された彫刻で、「ニケ」というのは「女神」を意味する言葉です。 そしてこのニケはヘレニズム期の紀元前190年頃に制作されたと考えられています。 この彫刻は私がパリで最も強烈な印象を受けた芸術作品になりました。あまりの美しさに完全に魅了されてしまいました。 この記事ではそんなニケの魅力についてお話ししていきます。

ドストエフスキー論

G・ルカーチ『トルストイとドストイェフスキイ』~「ドストエフスキーは答えではなく問いを与える作家である」

「文学者の任務は答えを与えることでなく、問いを与えるところにある」とルカーチは述べます。そしてそれに最も成功した人物の一人としてドストエフスキーを挙げるのでした。

たしかにドストエフスキーは答えを与えてくれません。読者を混沌に叩き込むがごとく複雑怪奇な世界に私たちを引きずり込みます。

ですがそれこそドストエフスキーの最大の魅力でもあります。

訳者あとがきにもありますようにたしかに問題がある作品であるかもしれませんが、この作品で説かれていることはドストエフスキーをまた違った視点から見られるいい機会になったのではないかと思います。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(11)ルーブル美術館でドストエフスキーが愛した理想風景画家クロード・ロランを発見。同時代の天才プッサンと共にご紹介

パリといえばやはりルーブル美術館を思い浮かべる方も多いと思います。

ですが、ドストエフスキーに関心を持っている私にとっては実はこの美術館はノーマーク。正直、特にこれといってものすごく見たい作品があるというわけでもなかったのです。「有名なルーブルだし、せっかくだし行っておきますか」くらいのものだったのでした。

しかし実際にここを訪ねてみて、そんな軽率なことを思っていた自分を大いに恥じることになりました。この美術館はやはり評価されるべくして評価されている素晴らしい美術館でした。今さら私がこんなことを言うのもおこがましい話ではありますがあえて言いましょう。「やっぱりルーブルはすごかった!」と

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(10)『オペラ座の怪人』でお馴染み!パリのオペラ・ガルニエへ~ファントムの5番ボックス席も発見!

パリといえばやはりオペラ座。この記事ではそんなオペラ座ことオペラ・ガルニエについてお話ししていきます。

『オペラ座の怪人』ファンには間違いなくたまらない場所です。この記事ではあのファントムのボックス席についてもお話ししていきます。

もちろん、『オペラ座の怪人』に詳しくなくともこの見事なナポレオン三世様式は必見です

これはパリ観光の必須ポイントとして間違いありません。ぜひおすすめしたいスポットです。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(9)サクレクール寺院からパリを一望~ゾラ後期の傑作小説『パリ』ゆかりのモンマルトルの丘に立つ巨大な教会

前回の記事ではエミール・ゾラの『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地をご紹介しました。

そして今回の記事では『ルーゴン・マッカール叢書』を書き上げたゾラが満を持して執筆した「三都市双書」の最終巻『パリ』の主要舞台となったサクレクール寺院をご紹介していきます。

パリを一望できる絶景スポットとして有名なこの教会ですが、ゾラファンからするとまったく異なる意味合いを持った場所となります。この教会に対してゾラは何を思ったのか、そのことをこの記事で紹介していきます。

独ソ戦~ソ連とナチスの絶滅戦争

S・マッケイ『ドレスデン爆撃1945 空襲の惨劇から都市の再生まで』~ドイツの美しき古都が消滅した悲惨な爆撃とは

エルベ河畔の宝石箱と謳われたドレスデン。この本ではその古都への爆撃について詳しく語られます。

ドレスデンが爆撃されるまでの英米首脳部の葛藤、兵士たちの精神状況、そしてドレスデンに生きていた人たちの生活。そして爆撃が始まってからの地獄絵図・・・

これは恐るべき作品です。

正直、私は怖いです。歴史を学べば学ぶほど恐怖を感じています。この先、私たちの生きる世界がどうなるのか、改めてこの本を読んで恐れを感じたのでありました。

原爆や大空襲を経験した日本にとってもこの本で提起されている問題は重要な意味を持っているのではないでしょうか。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(8)パリのゾラ『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地を一挙紹介~フランス第二帝政のパリが舞台

今回の記事では私が尊敬する作家エミール・ゾラの代表作『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地を紹介していきます。

『ルーゴン・マッカール叢書』はとにかく面白いです。そしてこの作品群ほど私たちの生きる現代社会の仕組みを暴き出したものはないのではないかと私は思います。

ぜひエミール・ゾラという天才の傑作を一冊でもいいのでまずは手に取ってみてはいかがでしょうか。そしてその強烈な一撃にぜひショックを受けてみて下さい。

『居酒屋』や『ナナ』は文庫本でも手に入りますのでぜひおすすめしたいです。