ロシア

森有正ドストエフスキー論

森有正『ドストエーフスキー覚書』~日本を代表するフランス文学者によるドストエフスキー論の名著

著者の森有正は1911年生まれの日本を代表するフランス文学者です。

森有正は自身から生まれてくるドストエフスキーへの思いをこの書で述べています。

それは単に知識や学問のためというのではなく、人生を生きる上で森有正自身の現実の問題として立ち現れてくるドストエフスキーとの対峙です。

作品のあらすじや解説を知りたいという方のドストエフスキー入門書としては厳しい本ではありますが、より深くドストエフスキーについて考えてみたいという方にはうってつけの名著であります。

ドストエフスキイの生活ドストエフスキー論

小林秀雄『ドストエフスキイの生活』~日本を代表する批評家による刺激的なドストエフスキー論!

この評論の特徴は E・H・カー『ドストエフスキー』 の伝記を参考にしながら、小林秀雄独自の感性でドストエフスキーを論じていくというところにあります。

小林秀雄の文章の魔力と申しましょうか、やはりこの方の言葉には何かよくわからないが人の感情を揺さぶるような謎の力があります。日本の文学青年から絶大な支持があったのも頷けます。批評の神様と呼ばれる所以をこの本から感じることが出来ました。

評伝ドストエフスキードストエフスキー論

モチューリスキー『評伝ドストエフスキー』~圧倒的な情報量を誇るドストエフスキー評伝の金字塔!

『評伝ドストエフスキー』は1947年にロシア語で出版され、瞬く間に多くの国で翻訳され「あらゆる言語で書かれたドストエフスキー文献のうちもっともすぐれた研究書」と呼ばれるようになりました。

ロシア正教の教義と実践に詳しいモチューリスキーによる詳細な作品解説がこの評伝の最大の特徴です。

この評伝はドストエフスキーを研究する際にものすごくおすすめです。

ドストエフスキードストエフスキー伝記

おすすめドストエフスキー伝記一覧~伝記を読めばドストエフスキーのことが好きになります。

ドストエフスキーは小説作品の面白さもさることながら、ドストエフスキーその人自身が1番面白いのではないかとも言えるのかもしれません。

ぜひ、ドストエフスキーの伝記を手に取って頂けたらなと思います。

ドストエフスキー作品の見え方がきっと変わることでしょう。

アンナの日記ドストエフスキー伝記

ドストエーフスカヤ『ドストエーフスキイ夫人 アンナの日記』~ドストエフスキーのギャンブル中毒による悲惨な生活を知れる第一級の資料

この日記にはドストエフスキーの狂気がとことんまで描かれています。

賭博に狂い、有り金全てを賭けては負け、挙句の果てに結婚指輪まで質に入れ賭博場へと駆け出していくドストエフスキー。

アンナ夫人の日記にはそんな夫を見送る悲しさややるせなさ、憤りが涙と共に記されています。この時のドストエフスキーはまさしく究極のダメ人間です。

もはや壮絶としか言いようがないです。並の小説を読むよりはるかに劇的でショッキングなものになっています。

回想のドストエフスキードストエフスキー伝記

アンナ・ドストエフスカヤ『回想のドストエフスキー』~妻から見た文豪の姿とは。これを読めばドストエフスキーが好きになる!

こちらはドストエフスキーの奥様アンナ夫人によって書かれた回想記で、私はこの本を読んでドストエフスキーを心の底から好きになりました。

ギャンブル中毒になりすってんてんになるダメ人間ドストエフスキー。生活のために苦しみながらも執筆を続けるドストエフスキー、愛妻家、子煩悩のドストエフスキーなど、意外な素顔がたくさん見られる素晴らしい伝記です。ぜひ読んでみて下さい。きっとドストエフスキーのことが好きになります!

ネチャーエワドストエフスキー伝記

V・ネチャーエワ『ドストエフスキー 写真と記録』~写真と絵で学ぶドストエフスキー伝

この伝記は書名にもありますように、写真や絵がとにかく大量に掲載されています。ここにこの伝記の最大の特徴があります。

文字中心のこれまでの伝記とは明らかに一線を画す伝記です。

この伝記を読んでいると中学生や高校生の時にお世話になった日本史の資料集を思い出します。写真とイラストでいっぱいだったあの本です。

これまで見たこともなかったドストエフスキー作品の挿絵やロシアの風景、ドストエフスキーに関わる人たちの顔写真がどんどん出てきます。

参考資料としてとても便利な伝記です

ドリーニンドストエフスキー伝記

ドリーニン編『ドストエフスキー 同時代人の回想』~ドストエフスキーを身近に知る人間の証言を聴ける貴重な参考書

他の伝記ではドストエフスキーの作品や書簡、その他資料によって伝記作者が物語を書いていきますが、今作の著者のドリーニンはそのような方法は取っていません。

すべてドストエフスキーと直接の交流があった人の声で出来上がっている点にこの伝記の特徴があります。

そのため、他の伝記とは異なるドストエフスキーの描写が見られたり、ドストエフスキーが過ごした生活の様子をよりリアルに知ることができます。

特にドストエフスキーが学生だった頃の様子は興味深いものがありました。

ドストエフスキードストエフスキー伝記

ピエール・パスカル『ドストエフスキイ』~キリスト教的な視点から描かれたコンパクトなドストエフスキー伝

ピエール・パスカルはこの伝記でドストエフスキーがいかにキリスト教から影響を受けていたのかということを検証していきます。

ドストエフスキーを理解するにはキリスト教の理解は避けて通れません。しかし、伝記においてそのことにフォーカスしている作品は意外と多くはありません。

伝記の本文もおよそ150Pほどと、分量もお手軽です。ドストエフスキーと宗教について関心のある方におすすめな伝記です。

カードストエフスキー伝記

E・H・カー『ドストエフスキー』~小林秀雄が参考!冷静な記述が魅力のイギリス人作家によるドストエフスキー伝

カーの筆はどこか一歩引いたような冷静な視点です。正直、ところどころ、冷たすぎるんじゃないかと思ってしまったところがあるくらいです。

ですがその代わり過度にドストエフスキーを神格視したり、不当に貶めるようなこともしません。いいところも悪いところも含めて、出来るだけ客観的に資料を分析していくという姿勢が感じられます。