ロシア

ギリシャ正教ドストエフスキーとキリスト教

高橋保行『ギリシャ正教』~ドストエフスキーとロシア正教を学ぶならこの1冊!おすすめ入門書!

この本の特徴はロシア正教とドストエフスキーについて詳しい解説がなされている点にあります。

この本を読んで私はとても驚きました。キリスト教といえば無意識にローマカトリックやプロテスタントのことを考えていましたが、ロシア正教はそれらとはかなり異なった教えや文化を持っているということをこの本によって知りました。

そもそもロシア正教とは何なのか。

カトリックやプロテスタントと何が違うのか。

それらがこの著書に詳しく書かれています。
ドストエフスキーに関してもかなりの分量を割いて解説されています。

おすすめドストエフスキードストエフスキー論

おすすめドストエフスキー解説書一覧~これを読めばドストエフスキー作品がもっと面白くなる!

この記事ではこれまで紹介してきましたドストエフスキー論を一覧できるようにまとめてみました。

それぞれの著作にはそれぞれの個性があります。

また、読み手の興味関心の方向によってもどの本がおすすめかは変わってくることでしょう。

簡単にですがそれぞれのドストエフスキー論の特徴をまとめましたので、少しでも皆様のお役に立てれば嬉しく思います。

高橋誠一郎ドストエフスキー論

高橋誠一郎『ロシアの近代化と若きドストエフスキー「祖国戦争」からクリミア戦争へ』~ドストエフスキーの青年期に着目

ドストエフスキーに関する参考書はそれこそ無数に存在しますが、その多くはやはり『罪と罰』や『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』などドストエフスキー後期の長編を題材にしていることがほとんどです。

そんな中、この本ではドストエフスキーの若かりし頃の作品を主に論じています。

しかも単にドストエフスキー作品の解説をするのではなく、当時の混沌としたロシア情勢やドストエフスキーがどのようにして作家としての道を歩んでいったのかが詳しく書かれています。

木下豊房ドストエフスキー論

木下豊房『ドストエフスキー その対話的世界』~ドストエーフスキイの会会長によるドストエフスキー論

この著作では国内外の研究をふまえて、作品を論じていきます。これまでドストエフスキーがどのように研究され現在はどのように論じられているかという流れがわかりやすく説かれています。

特に以前紹介したバフチンや、夏目漱石、小林秀雄など日本の文人とドストエフスキーの繋がりの歴史も知ることででき、新しい発見をすることができました。

また著書の後半にドストエフスキーに関するエッセイが多数収録されていますが、その中でもドストエフスキーゆかりの地を巡るシリーズは特に興味深かったです。

ツヴァイクドストエフスキー論

ツヴァイク『三人の巨匠』~バルザック、ディケンズ、ドストエフスキー、比べてわかるその特徴

この本の著者シュテファン・ツヴァイクは1881年にウィーンに生まれ、『マリー・アントワネット』や『バルザック』など世界的ベストセラーを著し、世界的な伝記作家として有名です。

「なぜドストエフスキーは難しくて、どこにドストエフスキー文学の特徴があるのか。」

ツヴァイクはバルザック、ディケンズとの比較を通してそのことを浮き彫りにしていきます。

比べてみると実にわかりやすいですね。さすが世界屈指の伝記作家です。まさに目から鱗でした。

バフチンドストエフスキー論

バフチン『ドストエフスキーの詩学』~ポリフォニー論はここから始まった

『ドストエフスキーの詩学』 も前回紹介したシェストフの『悲劇の哲学』と同じくドストエフスキー研究の古典とされています。

この本の特徴はと言いますと、何といっても「ドストエフスキー作品はポリフォニー小説である」と定義した点にあります。

近年のドストエフスキー関連の書籍を読んでいると、そのほとんどに「ドストエフスキーの小説はポリフォニー的であり・・・」という解説がぽんと出てきます。

こうした有名な概念の起源をこの本では知ることができます

シェストフドストエフスキー論

シェストフ『悲劇の哲学 ドストイェフスキーとニーチェ』~『地下室の手記』に着目したドストエフスキー思想の古典 

ドストエフスキーの思想を研究する上で『地下室の手記』が特に重要視されるようになったのもシェストフの思想による影響が大きいとされています。そのためシェストフの『悲劇の哲学 ドストイェフスキーとニーチェ』はドストエフスキー研究の古典として高く評価されています。

『地下室の手記』と合わせて読むことでドストエフスキー思想の研究に役立つ作品です。

吉村善夫ドストエフスキー論

吉村善夫『ドストエフスキイ 近代精神克服の記録』~ドストエフスキーとキリスト教を学ぶならこの1冊!

吉村善夫『ドストエフスキイ 近代精神克服の記録』概要と感想~ドストエフスキーとキリスト教を学ぶならこの1冊! 本日は新教出版社出版の吉村善夫『ドストエフスキイ 近代精神克服の記録』をご紹介します。 著者の吉村善夫は信州大…

フーデリドストエフスキー論

フーデリ『ドストエフスキイの遺産』~ソ連時代に迫害されたキリスト者による魂のドストエフスキー論

フーデリの『ドストエフスキイの遺産』は、私の目を開かせてくれた書物でありました。

内容も読みやすく、伝記のようにドストエフスキーの生涯に沿って作品を論じています。作品理解を深めるという意味でも非常に懇切丁寧でわかりやすいです。

ロシア正教の宗教者としてのドストエフスキー像を知るにはこの上ない一冊です。

ぜひおすすめしたい一冊です。

森有正ドストエフスキー論

森有正『ドストエーフスキー覚書』~日本を代表するフランス文学者によるドストエフスキー論の名著

著者の森有正は1911年生まれの日本を代表するフランス文学者です。

森有正は自身から生まれてくるドストエフスキーへの思いをこの書で述べています。

それは単に知識や学問のためというのではなく、人生を生きる上で森有正自身の現実の問題として立ち現れてくるドストエフスキーとの対峙です。

作品のあらすじや解説を知りたいという方のドストエフスキー入門書としては厳しい本ではありますが、より深くドストエフスキーについて考えてみたいという方にはうってつけの名著であります。