親鸞とドストエフスキー・世界文学

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(69)レーニン・スターリンのマルクス主義について考える~マルクス・エンゲルスは有罪か?

さあ、いよいよ本書の総まとめに入ります。

著者は本書の冒頭で、近年世界中でマルクスの再評価が進んでいる一方、ソ連や中国などの共産国での恐怖政治の責任がエンゲルスに押し付けられているという風潮を指摘していました。

そうした風潮に対し、「エンゲルスは本当に有罪なのか?」ということを検証するべくこの本ではマルクス・エンゲルスの生涯や思想背景を追ってきたのでありました。

この記事ではそんなマルクス・エンゲルスに対する私の思いもお話ししていきます。

トルストイ復活ロシアの巨人トルストイ

トルストイ『復活』あらすじと感想~カチューシャ物語としても有名なトルストイ晩年の大作

この作品は富裕な貴族ネフリュードフ侯爵と、かつて彼が恋して捨てた小間使いの女性カチューシャをめぐる物語です。

この作品はロシアだけでなく世界中で大反響を巻き起こし、トルストイの名を不朽のものにしました。

『復活』はとにかく宗教的で道徳的です。そして社会改良のための批判を徹底的に繰り返します。

そうした高潔な宗教的な信念が劇的な物語と絡み合いながら語られるところに『復活』の偉大さがあるように感じました。

ロシアの巨人トルストイ

トルストイ『シェイクスピア論および演劇論』概要と感想~シェイクスピアを心底嫌ったトルストイ。その理由とは

この論文はシェイクスピア嫌いとして有名なトルストイがその理由を上下二段組で50ページほどかけて延々と述べていくという、ある意味驚異の作品となっています。

私はトルストイと反対にシェイクスピアが大好きですので、これは逆に気になる問題でもありました。「シェイクスピアの何が気に入らないんだろう。こんなに面白いのに」と思わずにはおれません。

この記事ではトルストイがなぜシェイクスピアを嫌うのかということをじっくりと見ていきます。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(68)1895年のエンゲルスの死と莫大な遺産について

エンゲルスの遺産はなんと400万ドル、現代の日本円で軽く4億円以上もあったようです。そこにさらに様々な形の資産もあったでしょうから総額で言えばとてつもないものがあったと思われます。そしてそれらのほとんどはマルクス一族に相続されることになりました。

またエンゲルスは本人の希望により死後海洋散骨されることになります。彼のお墓はこの世に存在しないのです。これには私も驚きました。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(67)大幅な改変も加えながらエンゲルスがなんとか完成させた『資本論』第3巻

マルクス亡き後、彼の思想を広めるために身を粉にして奮闘していたエンゲルス。

そのエンゲルスがマルクスの原稿に手を加え『資本論』第3巻は完成という形となりました。

ただ、はたしてこれがマルクスの作品、思想であると言えるのかは微妙なものなのではないでしょうか。

メモの集積をつなぎ合わせたものを果たしてその人の作品、思想と呼べるのか。

しかもそのメモ自体も、膨大な文献を読んでいたマルクスが無秩序に蓄えていたものにすぎません。思想として体系立ててそれが書かれていたかというと疑問が残るというのが正直なところです

フランス文学と歴史・文化

P・マクフィー『フランス革命史 自由か死か』~フランス革命の背景を大きな視点で捉えるおすすめ解説書

この本を読んで特に感じたのは革命のカオスぶりです。

あまりに多様な人々をどうひとつにまとめていくのか、何かひとつのことをする度に、必ず不利益を被る人が出てくる。そしてその人達は政府の反対者となり、革命の歩みは難しくなる。ではどうするのか?ギロチンか・・・

こうした問題にどうしてもぶつかってしまうのが革命なのかという事を考えさせられました。

また、こうしたことを考えているとどうしても連想してしまうのがレーニンによるロシア革命でした。フランス革命とロシア革命を比べながら考えるのも大切なことなのではないかと思ったのでありました。

フランス文学と歴史・文化

P・マクフィー『ロベスピエール』~フランス革命恐怖政治の独裁者は本当はどんな人物だったのかを追うおすすめ伝記!

ロベスピエールはあまりに劇的な最期を遂げたため、死後様々な立場から多種多様に語られてきました。そこに「語る者」の意図がどうしても色濃く反映されてしまいます。

ですが著者のマクフィーは歴史家としてそこからなるべき距離を置こうとします。

権力に飢えた独裁者、冷酷無比な虐殺者、政敵を無慈悲に断頭台に送り込んだ精神異常者。そんな単純な話で還元できるものではありません。

その姿勢こそ本書の最も特徴的なポイントであり、私が感銘を受けた点でした。

この本は人間の複雑さ、そして置かれた環境によって人間はどうなりうるのかということを考えさせられる名著です。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(66)『資本論』第2巻の編集に苦闘するエンゲルス

エンゲルスは『資本論』第1巻の時点ですでにマルクスの膨大な原稿を編集していました。マルクスが存命の時ですらこの作業に苦戦していたエンゲルスです。

マルクスの死後はどうだったのでしょうか。

その作業は想像を絶する苦難の道となったのでした。

解読困難な悪筆、支離滅裂な文章、無秩序な引用に満ちた膨大な原稿の山。

エンゲルスはこの編集作業によって眼を病んでしまうほどでした

この記事ではその詳しい顛末と『資本論』第2巻、3巻の問題点についてお話ししていきます。

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(65)エンゲルスの『反デューリング論』から生まれた『空想から科学へ』~空想的社会主義者という言葉はここから

誰も読まない、いや読めない難解な『資本論』を一般の人にもわかりやすく広めたことの意義はいくら強調してもし足りないくらい大きなものだと思います。

難解で大部な『資本論』、簡単でコンパクトな『空想から科学へ』。

この組み合わせがあったからこそマルクス主義が爆発的に広がっていったということもできるかもしれません。

ロシアの巨人トルストイ

トルストイ『芸術とは何か』概要と感想~晩年のトルストイの考える「よい芸術」とは何だったのかを知るのにおすすめ

これまで当ブログではトルストイの宗教的著作についていくつか紹介してきました。

そして今回ご紹介する『芸術とはなにか』もその流れにある作品になります。

この作品ではトルストイが思う「芸術とは何か」ということだけでなく、「芸術とはいかにあるべきか」ということが熱く語られます。

この記事ではトルストイが考える「よい芸術」とは何かということを見ていきます。

宗教的転機を迎えた晩年のトルストイの特徴を知る上で非常に重要な作品となっています。