平川彰『インド仏教史』~仏教学の不滅の古典!仏教の歴史や教義が網羅された名著!

インド仏教史 インドにおける仏教

平川彰『インド仏教史』概要と感想~仏教学の不滅の古典!仏教の歴史や教義が網羅された名著!

今回ご紹介するのは1974年に春秋社より発行された平川彰著『インド仏教史』です。

早速この本について見ていきましょう。

仏教研究の一大碩学である著者が四十年の研鑽をもとに、初学者でも容易に通読できるように、平易・明快に説いたインド仏教通史。上巻では、仏陀の生涯、仏教の成立から、原始仏教、部派仏教をへて、初期大乗仏教に至るまでを扱う。

下巻では、仏塔信仰に端を発して大衆の宗教として再出発した大乗の系譜を説き、学問寺として発展した有名寺院の内容を考察すると共に後期の一大勢力となった密教までを概説する。

春秋社商品紹介ページより

本書の著者平川彰先生は仏教学の研究をする上で絶対に避けては通れない大家中の大家です。

この本が出版されたのは1974年ですが、今なお名著中の名著として高く評価されている仏教書です。2011年には新版が出版され、現在においても仏教を深く学びたい方必読の参考書となっています。

本書について平川先生は「はしがき」で次のように述べています。

本書においては、インド仏教史を、切れ目のない、つながりのある流れとして把握することと、初学者にも理解できる平易な仏教史となるようにとの二点に努力した。そのために、原始仏教から部派仏教への教団史的展開や、初期大乗仏教発生の様相、大乗諸経典の内容等について、比較的説明を詳しくした。そして部派仏教の教理や、中観・仏教、あるいは如來蔵思想等についても、平易な説明に意を用いた。

春秋社、平川彰『インド仏教史』上巻P3

ここで平川先生が述べるように、本書は初学者にもわかりやすいように書かれた仏教書になります。

・・・が、実際のところはかなりマニアックな参考書です!(笑)

と言いますのも前半部分は全く問題ないのです。仏教の開祖ブッダが生まれてくる時代背景や仏教成立のお話がわかりやすく説かれますのでものすごく面白いです。読みやすさも抜群です。

ですが後半から部派仏教や大乗仏教の教義面になってくるのですが、ここからかなり詳しく解説されていくことになります。そしてその網羅っぷりが半端なく、この本で書かれていることがすべてわかればもはや恐いものなしというくらいのの網羅ぶりになります。

一つの著作でここまで教えを網羅し、一流れの仏教史として書き上げられた本書は驚異としか言いようがありません。

私自身、恥ずかしながらこの教義面にはかなり苦戦しています。読んで頂ければわかるのですがとにかく濃いです。これを独学で全部学ぶとなるとかなりのものです。

ただ、これだけ網羅された一冊でありますのでやはりこの本が名著中の名著とされているのもわかる気がします。仏教学研究の王道がまさにここにあるという雰囲気です。

また、平川先生といえば大乗仏教仏塔起源説でも有名です。この説は世界中の仏教学者に強い影響を与えましたが、現在はそれを批判する形でグレゴリー・ショペンの『大乗仏教興起時代 インドの僧院生活』が出ています。

こうした仏教学の流れを知る上でも平川先生という巨大な人物の著作を読んでいくのは非常に重要なことではないかと改めて思ったのでありました。

インド仏教史の不滅の古典である平川先生の『インド仏教史』。これはものすごい本です。初学者に気軽におすすめできる本ではありませんが、仏教をより深く学びたいという方にはぜひおすすめしたい一冊です。

以上、「平川彰『インド仏教史』~仏教学の不滅の古典!仏教の歴史や教義が網羅された名著!」でした。

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