三島由紀夫『太陽と鉄・私の遍歴時代』~若き三島の原点を知れる自伝的作品!初の世界一周旅行で太陽を発見する三島とは
あの三島は若い頃どんな日々を過ごしていたのか、どうやって文壇に入り込むことができたのか。これはとても興味深いです。特にあの太宰治との初対面のエピソードはものすごく面白く、三島VS太宰の構図がはっきりとここで語られています。両者の文学スタイルの違いまで語られていて、この箇所だけでも非常に贅沢なエピソードということができるでしょう。
そして前回の『潮騒』の記事でも引用したのですが、私の中では何と言っても三島由紀夫の人生初の世界一周旅行についてのエピソードが最も印象に残っています。彼は朝日新聞の特別通信員という形で1951年末から世界一周の旅に出かけました。その時に三島由紀夫がまさに太陽を発見したというこのエピソードは後の三島文学を決定づけるかのような意味を持っていたのでした。