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ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(8)いよいよ旅の始まりへ~ドストエフスキー夫妻はなぜヨーロッパへ旅立たねばならなかったのか

前回の記事では心理描写の鬼ドストエフスキーも家庭ではどうしようもないただの夫にすぎなかったことを見ていきました。

誰にも理解されず、孤独を味わうアンナ夫人はいよいよ精神的に追い詰められていきます。

そしてついにコップの水が溢れるように、その時は来たのです。

彼女は悲しみあまり泣き崩れてしまうのでした。そしてこれが彼らの4年にもわたる西欧放浪のきっかけとなるのです。

この記事ではドストエフスキー夫妻が旅に出ることになったその顛末をお話ししていきます。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(7)客だらけのドストエフスキー家の家庭状況と新婚早々親類からの嫁いびりに苦しむアンナ夫人

これまでドストエフスキーの経済状況、持病のてんかんと彼の抱える問題を見てきましたがその最後に彼の家庭環境を見ていきます。

実はアンナ夫人の新婚生活にとって最も苦しかったのがこの家庭環境だったのでした。

嫁いびりといえばよくあることのように思えてしまうかもしれませんがそこはあのドストエフスキー家です。やはり一筋縄ではいかない苦難をアンナ夫人は味わうこととなりました。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(6)ドストエフスキーが生涯苦しんだ持病てんかんの発作を目の当たりにするアンナ夫人

前回の記事ではドストエフスキーの経済状況についてお話ししましたが、彼の抱えていた問題は借金だけではありませんでした。

ドストエフスキーのてんかんは彼の代表作『白痴』の主人公ムイシュキン侯爵や『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフを通して描かれています。特に『白痴』はアンナ夫人とのヨーロッパ旅行中に執筆されたものであることも意味深いです。ドストエフスキーは常にてんかんの発作に怯えて生きていかなければならなかったのでした。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(4)文豪ドストエフスキーの一風変わったプロポーズ!アンナ夫人に小説仕立ての愛を告白したドストエフスキーの大勝負!

『賭博者』の執筆は順調に進み、期限までに完成することになります。

しかし、この仕事が終わってしまえばもう二人は今までのように会うこともなくなってしまいます。せっかく恋が芽生え始めたのにそれも終わってしまうのか・・・

さあ、どうするドストエフスキー!

そしてついに、彼は一世一代の大勝負に出ます。

・・・プロポーズだ!

そしてこのプロポーズが何ともドストエフスキーらしくてたまらない。

この記事では文豪ドストエフスキーの一世一代のプロポーズを紹介します。ぜひ彼のプロポーズを皆さんも見届けてください。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(1)妻アンナ夫人と出会うまでのドストエフスキー(1821~1866年「誕生から『罪と罰』頃まで)をざっくりとご紹介

この記事ではドストエフスキーが妻アンナ夫人と出会うまでの前半生をざっくりと振り返っていきます。彼の波乱万丈な人生を短くまとめるのはなかなかに難しいことではありますが、できるだけコンパクトに要点をまとめてみました。

ドストエフスキーがいかに苦しい人生を送ってきたかを知れば、アンナ夫人との出会いがいかに幸運なものであったかがはっきりすることでしょう。

ドストエフスキーの像ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

上田隆弘『ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行』~文豪の運命を変えた妻との一世一代の旅の軌跡を辿る旅

この旅行記は2022年に私が「親鸞とドストエフスキー」をテーマにヨーロッパを旅した際の記録になります。

ドイツ、スイス、イタリア、チェコとドストエフスキー夫妻は旅をしました。その旅路を私も追体験し、彼の人生を変えることになった運命の旅に思いを馳せることになりました。私の渾身の旅行記です。ぜひご一読ください。

ロシアの巨人トルストイ

トルストイおすすめ作品10選と解説書、作品一覧~ロシアの巨人の圧倒的なスケールを体感!

今回の記事ではこれまで当ブログで紹介してきた作品の中から特におすすめの作品を10作まずは紹介し、その後おすすめの解説書とその他作品の一覧を紹介していきたいと思います。

おすすめ作品選から漏れてしまった作品もトルストイを知る上ではどれも外せない作品です。トルストイは意外と作品が多く、当ブログで紹介していない作品もたくさんあります。ですので基本的には当ブログで紹介した作品は本当はすべておすすめ作品という位置づけなのですが、その中でも特にということで10選を選ばせて頂きました。

ロシアの巨人トルストイ

トルストイ『ルツェルン』あらすじと感想~スイスの有名保養地でトルストイ大激怒の事件発生。上流階級を激しく非難する告発の書

ルツェルンは当時世界的に有名な保養地で、多くの著名人もここに滞在しています。トルストイもその一人です。

今作『ルツェルン』ではここを訪れたトルストイが遭遇した「ある事件」がもとになって書かれました。

トルストイが大激怒したルツェルン事件。

短編ながらも非常に大きな意味を持った作品となっています。

フランス文学と歴史・文化

G.ホルムステン『ルソー』~入門書に最適なおすすめ伝記!

この本のありがたいのは絵や写真などのビジュアル資料も豊富な点です。当時の様子などもイメージしやすかったです。

また、伝記としても当時の時代背景などの知識がない人にもわかりやすく伝えるように書かれています。非常に読みやすく、すらすらと進むことができます。波乱万丈なルソーの生涯やその思想の特徴を楽しく学ぶことができます。

これまで当ブログでも紹介してきたヴォルテールも同時代人です。そのヴォルテールとの因縁もこの本では詳しく知ることができます。ヨーロッパ思想を切り開いた両者がなぜ犬猿の仲になったのか、それも非常に興味深かったです。

ニーチェとドストエフスキー

西尾幹二『ニーチェ 第二部』~大学教授、看護兵、高校教師としてのニーチェの意外な素顔を知れるおすすめ作品!

西尾幹二の『ニーチェ 第二部』では様々なニーチェの姿をもっともっと詳しく知ることができます。大学教授となったニーチェの生活、ワーグナーとの運命的な出会い、デビュー作『悲劇の誕生』の成立過程が詳細に語られます。今回の記事ではその一部を紹介しましたが、興味深い事実が満載です。

非常におすすめな1冊です。ニーチェに対する見方が変わるほどの作品です。ぜひ手に取って頂ければと思います。