フィレンツェ

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

江村洋『カール五世 ハプスブルク栄光の日々』~スペイン最盛期の王カール五世の生涯と当時の西欧事情を知れるおすすめ作品

「この男をもって、ハプスブルク家は最盛期を迎える。若きスペイン王として君臨し、皇帝の冠を抱いたのちは、ヨーロッパだけでは飽きたらず、アフリカにまでその手を伸ばした戦いと栄光の日々。しかし、王家と自身の黄昏は、静かに忍び寄っていた―。ハプスブルク家が光に満ちた最後の姿を描いた傑作評伝」

この本はサッコ・ディ・ローマ事件について知りたかった私にとって非常にありがたい作品でした。中世ヨーロッパに君臨した巨大な王の生涯を知れる素晴らしい一冊です。

イタリアルネサンスと知の革命

石鍋真澄『フィレンツェの世紀』~メディチ家やフィレンツェの政治状況と美術の流れを知れるおすすめ参考書

この作品はフィレンツェの芸術作品そのものよりもその作品が生み出された時代背景に注目していく点にその特徴があります。

フィレンツェには有名な建築や芸術作品がありすぎて何を見ればいいのか混乱してしまいます。ですがこの本ではそれを時代順に見ていくことになるので頭がすっきりします。歴史の流れとセットで作品の背景まで見えてくるのでこれまで本や映像で漠然と見ていたフィレンツェがまた違って見えてきます。

フィレンツェの歴史や魅力を知るのにこの本は非常におすすめです。

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松田隆美『煉獄と地獄 ヨーロッパ中世文学と一般信徒の死生観』~ダンテ『神曲』の参考書としてもおすすめ!

この本ではなぜ煉獄が生まれてきたのかということを時代背景からとてもわかりやすく解説してくれます。

やはり思想というのは何もないところからぽんと生まれてくるものではありません。必要とされる時代背景があるからこそ生まれてくるのだということをこの本では感じることができます。

煉獄が生まれてきたのは12世紀頃とこの本では語られます。

そしてダンテが『神曲』を書いたのが14世紀初頭ということで200年ほどのスパンがあります。

この本を読めばダンテが何を参考にして作品を作り上げていったのかがわかるおすすめの参考書です

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ダンテ『神曲 天国篇』あらすじと感想~「天国・浄土の生活はつまらない」問題について考えてみた

ダンテの『神曲』は中世の人々の死生観を考える上でものすごく興味深い作品でありました。

この記事では「天国・お浄土はつまらない」問題について考えていきます。

『地獄篇』『煉獄篇』『天国篇』と続けて読んできましたが日本の地獄と浄土と比べながら読むのもとても刺激的なものになると思います。ぜひ仏教とセットで読んで頂けましたら幸いでございます。

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ダンテ『神曲 煉獄篇』あらすじと感想~煉獄はいつから説かれるようになったのか。中世ヨーロッパの死生観とは

前作『地獄篇』で案内人ウェルギリウスと共に地獄を巡ったダンテは、今作で煉獄という場所を巡ることになります。 煉獄は天国でも地獄でもなく、いわばその中間にある場所です。天国へ入る前に身を清めるための場として煉獄はあったのでした。 この記事では作品の流れと、その煉獄とはいかなるものかについてお話ししていきます。

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近藤恒一『ペトラルカ-生涯と文学』~読書のカリスマ!ルネッサンスをもたらしたイタリアの大文学者の生涯と思想とは

ルネサンスの始まり、「読書のカリスマ」ペトラルカ。このお方は非常に興味深い人物です。

そんなペトラルカの生涯や思想を知るのに近藤恒一著『ペトラルカ-生涯と文学』は最高の一冊です。

ルネサンスだけでなく、読書とは何かということも感じられる名著です。読書人の皆様にはぜひおすすめしたいです。読書狂の先達がここにいます。読書のカリスマがここにいます。ぜひペトラルカという人物と出会ってみてはいかがでしょうか。

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A・バルベーロ『近世ヨーロッパ軍事史 ルネッサンスからナポレオンまで』~マキャヴェリ時代から近代戦争への流れを知るのにおすすめ

この本はコンパクトでありながら深い考察もなされた優れた作品となっています。軍事史といいますと、固有名詞や専門用語がずらりと並んで堅苦しく難しいというイメージがあるかもしれませんがこの本は全く違います。

当時の時代背景や戦争の実態を物語風にわかりやすく語ってくれるこの本は非常に読みやすいです。

「中世における戦争ってこういうものだったのか」ときっと驚くことになるでしょう。とても刺激的で面白い作品でした。

当時の時代背景やナポレオンの特徴まで知れるこの作品はぜひぜひおすすめしたい逸品となっています

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マキャヴェッリ『君主論』あらすじと感想~ダ・ヴィンチと同時代のフィレンツェ人による政治論

マキャヴェッリの『君主論』といえばマキャヴェリズムという言葉があるように、厳しい現実の中で勝ち抜くためには冷酷無比、権謀術数、なんでもござれの現実主義的なものというイメージがどうしても先行してしまいます。

たしかに『君主論』の中でそうしたことが語られるのは事実です。

ですが、「マキャヴェッリがなぜそのようなことを述べなければならなかったのか」という背景は見過ごされがちです。

当時のイタリアの政治状況はかなり特殊な状況です。

そのことについてこの記事では考えていきます

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サマセット・モーム『昔も今も』あらすじと感想~マキャヴェリの『君主論』のモデル、チェーザレ・ボルジアを知るのにおすすめ!

2人の天才、マキャヴェリとチェーザレ・ボルジアが織りなす濃密な人間ドラマ!そして彼らが生きたイタリアの時代背景も知れます。ドラマチックなストーリー展開の中に『君主論』を思わせる名言が出てきたり、人間臭いマキャヴェリの姿も知れたりと非常に盛りだくさんな作品となっています。

『昔も今も』はそれ自体でも極上の歴史小説ですが、『君主論』の手引書としてもぜひおすすめしたいです。非常に面白い作品でした。ルネッサンスの時代背景を知る上でもとても参考になります。

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高階秀爾『フィレンツェ 初期ルネッサンス美術の運命』メディチ家やイタリアの時代背景を知るのにおすすめ!

この本ではルネッサンスが生まれてくるその時代背景、政治状況を詳しく知ることができます。フィレンツェといえばダ・ヴィンチのイメージもありますが、彼自身はここで芸術家として成長したものの、その才能を完全に発揮させたのはこの街ではありませんでした。なぜフィレンツェではなく他の街でそうなったのか。それもこの街の政治情勢やフィレンツェ人の気質などが関係しています。

ダ・ヴィンチを通してルネッサンスやフィレンツェに興味を抱くようになった私ですが、これまで学んできた色々なものとつながってくる非常に興味深い読書になりました。