ドイツ

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(2)1932年ウクライナの悲惨な飢饉をもたらしたレーニンボリシェビズムと宗教の関係とは

ソ連社会では宗教はタブーとされていましたがそのソ連の仕組みそのものが宗教的なものの上に成り立っているという何というパラドックス。宗教とは何かということをテーマにこれまでも色々と考えてきましたがこれは非常に示唆に富む場面でした。

そしてスターリン政権下では少なくとも400万から500万にも人が餓死をしたというのです。それも人為的なものによって・・・

スターリン時代にこういうことが起きていたのです。しかもスターリン政権下ではそれすらも「素晴らしい新世界」を作るために正当化されたのでした・・・もはや想像を絶する規模の話と化してきました・・・

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(1)スターリンとは何者なのか~今私たちがスターリンを学ぶ意義とは 

スターリン自身が「私だってスターリンじゃない」と述べた。

これは非常に重要な言葉だと思います。

スターリンはソ連の独裁者だとされてきました。しかしそのスターリン自身もソヴィエトというシステムを動かす一つの歯車に過ぎなかったのではないか。スターリンが全てを動かしているようで実はそのスターリン自身もシステムに動かされていたのではないかという視点は非常に興味深いものでした。

独裁者とは何かを考える上でこの箇所は非常に重要であると思います。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

モンテフィオーリ『スターリン 赤い皇帝と廷臣たち』~ソ連の独裁者スターリンとは何者だったかを知るのにおすすめの参考書!

この作品の特徴は何と言っても人間スターリンの実像にこれでもかと迫ろうとする姿勢にあります。スターリンだけでなく彼の家族、周囲の廷臣に至るまで細かく描写されます。

スターリンとは何者だったのか、彼は何を考え、何をしようとしていたのか。そして彼がどのような方法で独裁者へと上り詰めたのかということが語られます。

この本は上下巻合わせて1200ページほどの大作です。ですが読んでいて全く飽きません。小説のような語り口によってどんどん引き込まれます。

読むにもなかなか骨が折れる大作ですがこれは読む価値ありです。面白いです!

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

ロバート・サーヴィス『レーニン』~世界的に評価されたレーニン伝の傑作

ヴィクター・セヴェスチェンの『レーニン 権力と愛』と比べると、より硬派で伝記らしい語り口が特徴となっている1冊。

読み物として驚くほど面白かったヴィクター・セヴェスチェンの『レーニン 権力と愛』とはまた少し違った視点から語られるレーニンをこの本では知ることとなりました。

やはり同じ人物について違う伝記を読むと言うのはとても参考になります。

レーニン伝の決定版としてこの本は世界中で評価されています。硬派な、伝記らしい伝記です。こちらもおすすめな伝記となっています。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(12)1918年のサンクトペテルブルクからモスクワへの首都移転と食料危機

1918年3月、第一次世界大戦は今なお続き、ドイツ軍は首都サンクトペテルブルク(ペトログラード)に迫っていました。

そこでレーニンは首都をモスクワへ移転することに決定します。

また、第一次世界大戦と革命によって農村は荒廃し、輸送システムも崩壊したためロシアの食糧事情はすでに危険な状態でした。そしてそこに凶作が重なりさらなる危機が迫っていました。 政権を握ったレーニンは早くも重大な局面に立たされます。

そこでレーニンが取ったのは強制的な食糧徴発という方法だったのです。

この記事ではそんな窮地のレーニンが取った政策をお話ししていきます。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(10)ロシア十月革命とレーニンの権力掌握の流れをざっくりと解説

この記事ではレーニンが権力を奪取していく過程をお話ししていきます。

クーデターによって成立したボリシェヴィキ政権が長く生き残ることを当時の誰も想像していなかったというのは、どこかナチスのヒトラー政権の成立を思わせます。

ドイツ国民もまさかヒトラーがあそこまでの権力を持つことになろうとは想像していなかったとされています。

「まさかこうなるとは」というのが歴史の怖い所です。そしてこれは形を変えて繰り返される危険性があります。私たちも他人事ではありません。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(9)第一次世界大戦とレーニン~ドイツの支援と新聞メディアの掌握

なんと、レーニンの政治活動の背後にはドイツ政府の秘密資金があったのでした。しかもその金額が桁外れです。そうした資金があったからこそロシアでのメディア掌握が可能になったのでした。

そもそもロシア二月革命勃発時、スイスに亡命中だったレーニンを封印列車でロシアに送り届けたのもドイツです。

ドイツは戦争からの撤退を主張していたレーニンをロシアに送ることで、ロシア政府が対独戦争から手を引くことを狙っていたのでした。

ですのでドイツは帰国後もレーニンを秘密裏に支援していたのです。

レーニンが権力を掌握できたのもドイツの戦略があったからこそというのは私にとっても驚きでした。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(6)レーニンが受けた寛大なシベリア流刑~過酷なドストエフスキー流刑時代との違いとは

レーニンは海外旅行から帰国後の1895年12月、革命活動の容疑で逮捕されます。これが彼にとっての初めての逮捕となりました。

ですが想像以上に監獄は緩かったようです。むしろ快適とさえ言えたかもしれません。レーニンはこの監獄期間を利用したくさんの本を読み、政治的著作の執筆まで行っています。

差し入れも自由で、監視をかいくぐっての秘密のメッセージ交換までしていました。

これでは革命家を捕まえて監獄に入れた方が政府にとっては都合が悪いのではないかと思ってしまうほどです。

ドストエフスキーが逮捕された1849年の時とはまるで違う状況です。その頃の留置はかなり過酷で発狂する者や命を落とす者もいたというのですからその違いは歴然であるかと思われます。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

V・セベスチェン『レーニン 権力と愛』~ロシア革命とはどのような革命だったのかを知るのにおすすめの伝記!

この本ではソ連によって神格化されたレーニン像とは違った姿のレーニンを知ることができます。

そして何より、この伝記はとにかく面白いです!なぜロシアで革命は起こったのか、どうやってレーニンは権力を掌握していったのかということがとてもわかりやすく、刺激的に描かれています。筆者の語りがあまりに見事で小説のように読めてしまいます。

この本はとにかくおすすめです。

ロシア革命やレーニンを超えて、人類の歴史や人間そのものを知るのに最高の参考書です。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

S.P.メリグーノフ『ソヴィエト=ロシアにおける赤色テロル(1918~1923)』~レーニン時代の凄惨な弾圧システムに衝撃を受ける…

ソ連時代に一体何が起きていたのか、それを知るために私はこの本を読んだのですが、想像をはるかに超えた悲惨さでした。人間はここまで残酷に、暴力的になれるのかとおののくばかりでした。

私は2019年にアウシュヴィッツを訪れました。その時も人間の残虐さをまざまざと感じました。ですがそれに匹敵する規模の虐殺がレーニン・スターリン時代には行われていたということを改めて知ることになりました。

この本はかなり衝撃的です。読んでいて目を反らしたくなるほどのものでした。