ロシアの歴史・文化に学ぶ

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

『スターリン伝』から見たゴーリキー~ソ連のプロパガンダ作家としてのゴーリキー

『スターリン伝』で読んだゴーリキー像は佐藤清郎氏の『ゴーリキーの生涯』とはだいぶ違った姿でした。

とは言え、ゴーリキーが幼い頃から苦労し、作家となってからも自身の考える理想を追求していたのも事実です。そしてロシア革命後にはレーニンの独裁に反対し、国も去っています。ですので、佐藤清郎氏によって書かれたゴーリキー像もそういう点では間違いではないと思います。

ただ、スターリンがあまりに狡猾だったということが言えるのではないでしょうか。ゴーリキーを自身の手元に置き、利用した。それも自身の意図に気づかれることもなく、ゴーリキーがスターリンのソ連が素晴らしいものだと思い込むように仕向けた。このスターリンの手法は恐るべきものだと思います。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

佐藤清郎『ゴーリキーの生涯』~ソ連を代表する作家の波乱万丈な人生を知るのにおすすめの伝記

この本ではゴーリキーの人生が幼少期からかなり詳しく書かれていますが、公的記録が乏しい若きゴーリキーに関してはその多くの部分がゴーリキー自身によって書かれた自伝的小説が基になっています。ですのでゴーリキーをもっともっと知りたい方は『人々の中で』など、自伝的小説を読むのをおすすめします。

ゴーリキーが幼少の頃からいかにとてつもない生活を送っていたかがこの伝記では明らかになります。

彼の代表作『どん底』はまさしく彼自身が社会のどん底で生き抜いた経験があったからこそでした。そこから作家として大成するというのは驚くべきことです。この伝記を読んで本当に驚きました。並の人物ではありません。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

帝政末期・ソ連時代を代表する作家ゴーリキーとドストエフスキー

ドストエフスキーは『悪霊』や『カラマーゾフの兄弟』で社会主義思想によって人々の自由が失われる時代が来ることを予言しました。

そして実際にロシアはその通りになってしまったのです。ドストエフスキーがあれだけ危惧して読者に語りかけていたにも関わらず、そうなってしまったのです。そしてドストエフスキーは国民からもあまり読まれなくなった・・・

これは文学の敗北、思想の敗北なのではないかと私はふと思ってしまいました。いくら文学や思想を述べても、権力や武力で脅されたら私たちは無力なのではないか・・・そんなことを私は感じてしまったのです。

そのためこうした時代を学ぶために、まずはソ連を代表する作家ゴーリキーを読んでみようと私は思ったのでした。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

ソ連とドストエフスキー~なぜ私がソ連を学ぶのかー今後のブログ更新について

ドストエフスキーは『悪霊』や『カラマーゾフの兄弟』で来るべき全体主義の悲惨な世界を予言していました

文学は圧倒的な権力の前では無力なのか。思想は銃の前では無意味なのか。

私はやはりソ連の歴史も学ばねばならない。ここを素通りすることはできないと感じました。だからこそ私はドストエフスキー亡き後の世界も学ぼうとしたのでした。

ハリストス正教会ロシアの歴史・文化とドストエフスキー

函館ハリストス正教会を訪ねて~ロシア正教の祈りとガンガン寺の鐘の音

ハリストス正教会は日本で初めて建てられたロシア正教の教会で、函館のシンボルともなっている教会です

ロシア正教は同じキリスト教といってもカトリックやプロテスタントとはその教えや祈り方、文化がかなり違います。

そしてそのロシア正教が初めて日本に上陸し根付いたのがここ函館だったのです。日本に布教にやって来たニコライ神父はドストエフスキーとも面識があったと言われています。

ドストエフスキーを愛する私としては何か不思議なご縁を感じます。私が住む函館がロシア正教を学ぶ上で非常に大きな意味をもっていることに運命のようなものを感じてしまいました。

天使のためのウヴェルテュールロシアの歴史・文化とドストエフスキー

跳魚@ロシア史と露様『天使のためのウヴェルテュール前編(アレクサンドル1世紹介漫画) 』~ロシア皇帝アレクサンドル1世を漫画で紹介!

跳魚さんの『天使のためのウヴェルテュール前編 』ではあの無敵のナポレオンを敗走させたアレクサンドル1世について彼の波乱万丈の生涯をわかりやすく漫画で紹介して下さっています。

ロシアの皇帝というとかなりいかついイメージがあるかもしれませんが、跳魚さんのイラストは非常に繊細で美しくて、とっつきにくいロシア史のイメージが変わると思います。

ヒングリーロシアの歴史・文化とドストエフスキー

R・ヒングリー『19世紀ロシアの作家と社会』~知られざるロシア社会と文学者のつながりを網羅した名著

ドストエフスキーをはじめとしたロシア文学がなぜこうも私たちの心を打つのか。

それは彼らの人生に対する真剣さにあったのだ。

著者のヒングリーはそう述べます。

この本は19世紀のロシア社会やその文化と作家たちのつながりを解説しています。

文学論や哲学講義としてはよく出てくる19世紀ロシアですが、その社会事情や文化面はなかなか話に上ってくることがありません。そういう意味でこの本は非常に興味深い視点を与えてくれます。

マッカーターロシアの歴史・文化とドストエフスキー

R・マッカーター『名建築は体験が9割』~建造物に込められた意味を知るのにおすすめの解説書

建築は外観だけではなく、内部空間で感じる体験こそ人を感動させるのだということをこの本では教えてくれます。

写真や映像で見るだけでなく実際にその場に行ってみないとわからない感覚がある。

だからこそ現地に行って直接体験することには大きな意味がある。

そのことをこの本を読んで改めて感じました。

神野正史ロシアの歴史・文化とドストエフスキー

神野正史『世界史劇場 日清・日露戦争はこうして起こった』なぜ日露戦争は勃発したのか―ウラジオストクとシベリア鉄道との関係

この本ではまず眠れる獅子清国がいかに繁栄しいかにして衰退していったのかが書かれ、それに伴い朝鮮や日本がどのように動いていったのかが描かれます。

その時日本はまさに幕末。外国勢力の圧力が否が応にも増し、開国か攘夷かで揺れていた時期です。

この頃の日本の混乱や、その当時の中国、朝鮮、ヨーロッパ情勢が神野先生によってわかりやすく解説されます。かなり意外な発見もありとても楽しく読むことができます。

神野先生のお話を聞くと、つくづく「世界は複雑極まりなく、単純なものなどひとつもない」と思わされます。

ロシアロシアの歴史・文化とドストエフスキー

川端香男里『ロシア その民族と心』~ロシアの精神的風土を学ぶのにおすすめの入門書!

この本では「どの項目にかんしても、他の書ではなかなか見いだせないような興味深い内容や斬新な見方が伴って」います。

ロシアに関する本には文学論や思想論はたくさんあるのですが意外とこの本のようなロシア人の素朴な生活や気候、風土からその精神に迫っていく本は数少ないです。

ロシア人の精神がどのようなところにその根っこがあるかを知るのは非常に興味深いです。ましてそこからさらにロシア文学へと絡めてお話ししてくれるので非常にわかりやすいです。