2021年10月

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

仲正昌樹『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』~アーレントのおすすめ参考書!

この本ではアーレントの『全体主義の起源』と『エルサレムのアイヒマン』を中心にアーレントの生い立ちや哲学者としての道のり、思想が解説されていきます。読んでいて驚くほどわかりやすいです。初学者でも理解しやすいように書かれているのもありがたいです。「今なぜアーレントを学ぶべきなのか」から学べるおすすめ参考書です。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

B・シュタングネト『エルサレム〈以前〉のアイヒマン 大量殺戮者の平穏な生活』~「悪の陳腐さ(凡庸さ)」論が覆る!?

アーレントの「悪の陳腐さ」論が覆されかねない衝撃の作品です!

この本で明らかにされるアイヒマンは「悪の陳腐さ」とは真逆の姿です。アーレントはエルサレムで周到に計画されたアイヒマンの罠にかかってしまったことがこの本で語られます。アイヒマンは単なる権力の歯車などではなかったのです。恐るべき一冊です。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

アーレント『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』概要と感想~ホロコーストはなぜ起こってしまったのか。人間の闇に迫る一冊

この本はアーレントの有名な「悪の陳腐さ」という言葉が生まれた作品になります。

アーレントはこの作品でナチスのホロコーストにおける恐るべき殺人システムの背景を考察します。

アイヒマンは極悪人ではなく、どこにでもいそうな人間であった。これが世界中を震撼させることになり、同時に激しい論争を引き起こすことになりました。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

アーレントの「悪の陳腐さ」は免罪符になりうるのか~権力の歯車ならば罪は許される?ジェノサイドを考える

アーレントの「悪の陳腐さ」は罪を逃れるための免罪符になってはいないだろうか。これがふとスレブレニツァやルワンダの虐殺を学ぶ過程で私が感じてしまった疑問でした。加害者たちは「仕方がなかった」と自分の行動の責任を考えようとはしません。ですがそれではたしてよいのでしょうか。そのことをこの記事で今一度考えてみました。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

『アイダよ、何処へ?』あらすじと感想~ボスニア紛争の実態を描いたアカデミー賞ノミネート作品

『アイダよ、何処へ?』はボスニア紛争のスレブレニツァの虐殺を題材にした映画です。今年度のアカデミー賞にもノミネートされ、今話題になっています。

スレブレニツァの地は2019年の私の旅の中でも最も印象に残った地です。この映画を観て、あの場所で実際に起きていたのはこういうことだったのかと改めて戦慄しました。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

栁澤寿男『バルカンから響け!歓喜の歌』~バルカンで生き抜く日本人指揮者の驚異の物語

紛争後の複雑な政治情勢や荒廃したインフラ、民族感情など、著者の語る苦労は並々ではありません。
ですがそんな中でも音楽の力を信じ突き進み、奇跡を起こしたこの物語には本当に痺れました・・・!
この本には救いがあります。悲惨な憎しみの世界にあって音楽の力で平和と希望を蘇らせるのだという強いメッセージが伝わってきます。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

『ブラックホークダウン アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録』あらすじと感想~大ヒット映画の原作!ソマリアの惨劇を知るのにおすすめ

この作品はリドリー・スコット監督の大ヒット映画『ブラックホーク・ダウン』の原作となった作品です。

このソマリアでの戦闘は後のアメリカの軍事介入に大きな影響を及ぼすことになりました。

これまで当ブログでも紹介してきたボスニア紛争やルワンダの虐殺で国連の平和維持活動が機能不全に陥ったのもまさにこの事件の影響が非常に大きかったとされています。

それまでのアメリカや先進諸国は圧倒的な武力をもって介入すれば、発展途上国の紛争は簡単に鎮圧できると考えていました。しかしその楽観的な考え方が崩壊した事件こそこのブラックホークダウンだったのです。

この時点でルワンダの虐殺やスレブレニツァの虐殺の最終カウントダウンが始まっていたのかもしれません・・・

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

『隣人が殺人者に変わる時 和解への道―ルワンダ・ジェノサイドの証言』~虐殺者と共存する地獄。赦しとは一体何なのか

この本は『隣人が殺人者に変わる時』三部作の最後を飾る作品です。ラストの作品にふさわしく、この本も凄まじい1冊です。個人的には三部作中最も印象に残った作品です。あまりに厳しい現実をこの本で突きつけられることになりました・・・
平和とは何か。人間とは何か。罪と罰とは何か。善と悪、神の問題。赦しの問題。

人間における根本の問題がここに詰まっています。答えはありません。ですが、極限状態に生きた人たちの声がここにはあります。その声に耳を傾け、自分は何を思うのか。これは非常に重要なことだと思います。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

『隣人が殺人者に変わる時 ルワンダ・ジェノサイドの証言 加害者編』~加害者は虐殺後何を語るのか

前回紹介した本ではルワンダの虐殺の生存者のインタビューが収められていましたが、この作品ではそれとは逆に加害者の声を聞くことになります。

正直、読んでいて暗い気持ちになり、胸がむかむかしてきます・・・被害者は全てを失い、生き残った者も絶望的な苦しみを味わい続けています。しかし、それに対し加害者側はどうなのか。この本をそれを知ることになります。

ボスニア紛争とルワンダ虐殺の悲劇に学ぶ~冷戦後の国際紛争

『隣人が殺人者に変わる時 ルワンダジェノサイド 生存者たちの証言』~衝撃の三部作!ルワンダ虐殺の実態を知るのにおすすめ

この三部作はとにかく衝撃的です。

平和とは何か。人間とは何か。罪と罰とは何か。善と悪、神の問題。赦しの問題。

人間における根本の問題がここに詰まっています。答えはありません。ですが、極限状態に生きた人たちの声がここにはあります。その声に耳を傾け、自分は何を思うのか。これは非常に重要なことだと思います。