近くで見ても美しい!イスラム教の聖地、岩のドーム イスラエル編⑬

イスラエル編

近くで見ても美しい!イスラム教の聖地、岩のドーム 僧侶上田隆弘の世界一周記―イスラエル編⑬

4月8日。朝7時。

今日も「寺は朝」の原則を守ることにしよう。

今朝の目的地はイスラム教の聖地、岩のドームだ。

ここは先日、行こうと思っていた時になぜか閉まっていたので後回しになっていた場所だ。

岩のドームは突然このように閉まることがあるそうなので、観光する際には要注意だ。

さらに言えば岩のドームが一般に開放されている時間がそもそも短い。

この日も朝7時半から11時までと13時から16時までだけだった。

そのほかの時間はすべてイスラム教徒のお祈りのために一般人の入場は禁止されるのだ。

これはエルサレム散策初日にオリーブ山から見た岩のドームだ。

遠くからの姿も美しい。今日はいよいよこの岩のドームを間近で見ることができるのだ。期待が膨らむ。

さてさて、岩のドームの入り口は嘆きの壁のすぐそばにある。というより、嘆きの壁の広場の中にある。

というのも、嘆きの壁の向こう側にこの岩のドームがあるからなのだ。

セキュリティチェックを終えると嘆きの壁の上の宙を浮く通路を通って進んでいく。

ここから下を見下ろせば、

斜め上からの嘆きの壁を見ることが出来る。

なぜ嘆きの壁と岩のドームが隣接しているのか。

理由はちゃんとあるのだが、長くなるので今回は割愛させていただく。

嘆きの壁の向こう側の広場に、岩のドームがある。

この通路を上りきると、広大な広場が姿を現す。

さあ、岩のドームはすぐそこだ。

では、ご覧あれ。これが間近から見た岩のドームだ。

何とも言えない迫力がそこにはある。

中央の金の屋根を持つドームを八角形の回廊が囲んでいるという構造だ。

この円形のドーム型の屋根と八角形の回廊の組み合わせが絶妙だ。

青いタイルを見てみると、実に細かく装飾が施されているのがわかる。

実はこの青いタイル、1561年にオスマン帝国のスレイマン帝により寄贈され修復されたものと言われている。

オスマン帝国のスレイマン帝・・・どこかで聞いたことがないだろうか。

そう、以前の記事で紹介したイスタンブールにある、スレイマニエモスクのスレイマン帝だ。

その時のオスマン帝国がいかに強大だったかがわかるエピソードである。

オスマン帝国はここエルサレムも支配していたのだ。

さて、この岩のドームは7世紀末に作られたと言われている。

7世紀末と言えばウマイヤ朝と言われるイスラムの王国がここエルサレムを占領していた時代。

この岩のドームが建てられたのはイスラム教の開祖であるムハンマドが見たという、ある夢がもとになっている。

ムハンマドはある夜、天の馬に乗りエルサレムの神殿の岩から天に昇り、そこで神であるアッラーのもとへ行くことが出来たという夢を見たという。

イスラム教ではこの夢を非常に重んじていて、コーランにもこのことは記載されている。

たかが夢と侮ってはいけない。預言者による夢は神の思し召しによる夢なのだ。

明らかにそこには重大な意味がある。

そしてウマイヤ朝がエルサレムを占領したときに、嘆きの壁に隣接する神殿の丘で発見した大きな岩をムハンマドが昇天した夢の場所とし、岩のドームを築いたのだ。

実は夢の存在は人類の歴史に大きな影響を与えてきた。

太古の昔、人間がまだ文明を持っていなかったような時代から、人間は夢をこの世とあの世をつなぐものと考えていた可能性がある。

なぜなら夢の中ではすでに死んでしまった人間とも出会うことが出来たからだ。

人間が死後の世界というものをイメージできるようになったのも、この夢の力によるものではないかとも言われている。

つまり、死後の世界や見えないものの存在を意識する宗教が起こってきた要因の一つに、夢があるのではないかということなのだ。

私の所属する浄土真宗の開祖、親鸞聖人も夢のお告げによって進むべき道が決定的に変わったとされている。

夢の持つ力はぼく達が想像する以上に強力なものだったのだ。

そこには、夢が人間のコントロールを許さないものだったからということもあっただろう。

自分では夢を見たくても見れない。ましてやコントロールなど不可能だ。

当時の人は疑問に思う。

ではなぜ人間は夢を見るのだろうか。

それは私たちの力をはるかに超えた存在がそうさせるに違いない。

だからこそ当時の人たちに夢は重要視されたのだろう。

ドームの裏側に回ってみる。

どこから見ても美しい。

さすがにまだ朝の8時にもならない時間。人がほとんどいない。

ぼくは塀に腰掛けしばらくの間この景色を眺めながらぼーっと過ごすことにした。

「寺は朝」

これぞ醍醐味である。

続く

次の記事はこちら↓

関連記事

HOME