ドイツ

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

神野正史『世界史劇場 第一次世界大戦の衝撃』―この戦争がなければロシア革命もなかった

前回の記事に引き続き神野正史氏の著作をご紹介していきます。

というのも、ロシア革命は第一次世界大戦がなければ起こっていなかったかもしれないほどこの戦争と密接につながった出来事でありました。

『世界史劇場 ロシア革命の激震』でもそのあたりの事情は詳しく書かれているのですが、やはりこの大戦そのものの流れや世界情勢に与えた影響を知ることでよりこの革命のことを知ることができます。

単なる年号と出来事の暗記ではなく、歴史がどのように動いていったのかを知るのにも最高な入門書です。しかもとにかく面白くて一気に読めてしまう。これは本当にありがたい本です。

ロシア革命や当時のロシアが置かれていた状況を知る上でもこの本はおすすめです。

チェーホフ論ロシアの大作家チェーホフの名作たち

トーマス・マン『チェーホフ論』~ドイツのノーベル賞作家が語る『退屈な話』の魅力とは

『魔の山』、『ヴェニスに死す』などで有名なドイツのノーベル賞作家トーマス・マンは『チェーホフ論』という論文を書いています。その中で彼は一番好きな作品として『退屈な話』を挙げています。

今回の記事ではその『チェーホフ論』を見ていきながら、彼の『退屈な話』評を見ていきたいと思います。

退屈な話ロシアの大作家チェーホフの名作たち

チェーホフ『退屈な話』あらすじと感想~トルストイも絶賛した名作短編

この作品のタイトルは『退屈な話』ですが、読んでみると退屈どころではありません。とてつもない作品です。

地位や名誉を手に入れた老教授の悲しい老境が淡々と手記の形で綴られていきます。

『魔の山』で有名なドイツの文豪トーマス・マンが「『退屈な』とみずから名乗りながら読む者を圧倒し去る物語」とこの作品を評したのはあまりに絶妙であるなと思います。まさしくその通りです。この作品は読む者を圧倒します。

そしてあのトルストイもこの作品の持つ力に驚嘆しています。ぜひおすすめしたい名著です

チェーホフロシアの大作家チェーホフの名作たち

帝政ロシア末期を代表する作家チェーホフ―ドストエフスキー亡き後のロシアを知るために

チェーホフは1860年生まれの作家です。つまりこうしたロシア文学の絶頂期の中で若き日を過ごし、成人して作家としてデビューする頃には時代の変化がまざまざと感じられるような中にいたのです。

チェーホフを学ぶことで当時の時代背景や、ドストエフスキーやトルストイがどのようにロシア人に受け止められていたかが見えてくるようになります。これはドストエフスキーを学ぶ上でも大きな意味があります。

そして何より、チェーホフ自身が圧倒的に魅力的な作家であること。これに尽きます。

ショーペンハウアー哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

生きる意味とは?絶望の時代にどう生きる―ショーペンハウアーを読んで感じたこと

ショーペンハウアーの本を読み、考え、記事にするのはなかなかに厳しい時間でした。普段の数倍疲労感がたまり、気持ちも落ち込みました。

しかしだからこそショーペンハウアーの悲観主義を乗り超えねばならぬとも感じました。ドストエフスキーやトルストイはその偉大なる先達なのだと改めて感じたのでありました。あの時代の文豪たちがなぜあそこまで本気で「生きること」について思索し続けていたのかが少しわかったような気がしました。

絶望の時代だったからこそ彼らは「生きること」に真剣になっていたのだと。そしてその葛藤を文学にぶつけていたのだと。

読書について哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

ショーペンハウアー『読書について』あらすじと感想~良い本とは?私たちは何を読むべきか

読書は質か量か。何を読めばいいのか。そもそも読書に意味はあるのだろうか。なぜ読書をしなければならないのか。

そんな読書についての疑問にショーペンハウアーが鋭い意見を述べていきます。かなり辛口です。ショーペンハウアー節を味わうのに格好の一冊です
「本を読むこと」についてはっとさせられるような言葉と出会うことになるでしょう

自殺について哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

ショーペンハウアー『自殺について』あらすじと感想~なぜ自殺はいけないのか―キリスト教の死生観への反論

当時のキリスト教の教義では自殺が禁じられていて、自殺したものは正規の葬儀も行ってもらえず罪人として扱われてしまっていたのでした。

ですがショーペンハウアーはこれに疑問を投げかけます。この論稿はそうしたショーペンハウアーの自殺についての考察が展開されていきます

150年以上も前に書かれた本ですがこの本に書かれた問題は今もなお重大な意味を持っています。

幸福について哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

ショーペンハウアー『幸福について』あらすじと感想~仏教に強い影響を受けたショーペンハウアー流人生論

「幸福は蜃気楼である。迷妄である」

『幸福について』というタイトルから「人生を幸福なものにするための方法」を教えてもらえるのかと思いきや、いきなり幸福など幻に過ぎぬとばっさり切ってしまうあたりショーペンハウアーらしさ全開です。

この本ではショーペンハウアーが「人々の信じる幸福の幻影」を木っ端みじんにし、どう生きればよいのか、真の幸福とは何かを語っていきます。

彼の主著『意志と表象としての世界』と違って、話も短く具体的でとても読みやすくなっています。ショーペンハウアー入門として最適です。

意志と表象としての世界哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』を読んで

『意志と表象としての世界』はかなりの大作です。これを完全に理解するのは当時の人たちにとっても現代の私達にとっても至難の業です。

しかも驚くべきことに著者のショーペンハウアー自身が序文でとてつもないことを述べるのです。

彼はまず言います。この本は2回読まねばわからぬと。

こんな難しくてしかも長い本を2回も読めと。しかも1回目はまずわからないだろうから忍耐が必要だと最初から宣言するのです。さすがショーペンハウアー、言うことが違います。

他にも驚きの言葉がどんどん出てきます。やはりこの作品は一筋縄ではいきません

ショーペンハウアー哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

厭世思想(ペシミズム)の大家ショーペンハウアーとドストエフスキー

不思議なことにドストエフスキーその人にはあまりショーペンハウアーの影がありません。同時代のツルゲーネフやトルストイは彼に強い関心を持っていたのにドストエフスキーはそうではなかった。この事実は逆に興味をそそります。

また、ショーペンハウアーは仏教の影響を受けた哲学者としても有名です。いつか読んでみたいと思ってはいたのですがそれが延び延びになってしまっていた哲学者です。

これもいい機会ですのでこれよりショーペンハウアーを読んでいきたいと思います。