日本

心霊の文化史スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

吉村正和『心霊の文化史 スピリチュアルな英国時代』~スリランカ仏教に影響を与えた神智学協会についても知れる一冊!

心霊主義といいますとオカルトチックで怪しいイメージもありましたが、実は産業革命や世界的な合理主義の流れから生まれてきたという興味深い背景を知ることができる本書は非常に刺激的です。スリランカを学ぶ上でも非常にありがたい作品でした。スリランカの仏教者ダルマパーラと神智学協会について知りたかった私にとって非常に有益な情報が満載でした。

単にオカルトと侮るなかれ。ものすごく現実的な問題が目の前に迫ってきます。これは面白いです。

パニワラルスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

D・G・ディサーナーヤカ『パニワラル―駐日スリランカ大使が見たニッポンー』~スリランカ人から見た日本とは!

本作はスリランカ人から見た日本を知れる刺激的な一冊です。

私は今スリランカについて様々な本を読んで学び、様々なことを考えているわけですが、それは逆も然り。スリランカ側からも日本は見られています。

同じ仏教徒であるスリランカと日本では仏教のスタイルも生活文化も全く異なります。同じ仏教徒でありながらまるで違うスリランカ人が見た日本とはどのようなものなのか、これは興味深いテーマです。

ラジオの戦争責任スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

坂本慎一『ラジオの戦争責任』~メディアが煽るナショナリズム。戦争のメカニズムを学ぶためにも非常におすすめ!

かつて日本でもラジオにおいて仏教学者や演説、説法の達人が仏教を語り多くの人に強い影響を与えていたというのは驚きでした。

また、松下幸之助についての驚きの事実や、政治家松岡洋右の圧倒的な演説力、玉音放送を手掛け戦争を終結させた影の立役者下村宏の偉業など次から次へと驚異の事実をこの本では目にしていくことになります。

とにかく読んでみて下さい。それも一刻も早く!これほどの本に出会えるのはそうそうありません。世界が非常に不安定になっている今こそ読むべき名著中の名著です。

大唐西域記インドにおける仏教

玄奘『大唐西域記』~『西遊記』のモデルになった玄奘三蔵のインド求法の旅!

今作『大唐西域記』はあの『西遊記』のモデルとなった作品です。

「三蔵法師=玄奘」というくらい日本で有名な高僧ですが、彼が世界的に有名になったのは三蔵(経、律、論という経典群)を求めて中国からはるばるインドへ旅し、大量の経典を無事中国へもたらしたという偉業にありました。

本作『大唐西域記』はそうした玄奘の旅路が記された書物になります。

ただ、この本を読み始めてすぐに気づくのですが、その語りがあまりに淡白・・・

私達がイメージする刺激的な冒険譚とはかなり趣が異なるのです・・・

ARCレポートスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

『ARCレポート スリランカ2023/2024』~最新のスリランカ情勢がまとめられた政治経済の報告書

なんとかスリランカ最新の状況を知ることができないか。2022年の経済危機と暴動は何だったのか。中国の一帯一路はどうなっているのか、インド、アメリカ、日本との関係はどうなっているのか。

インドと違ってスリランカの最新情勢が書かれた本というのはなかなかありません。というより、ほとんど見かけません。

そんな中ようやくヒットしたのが本書『ARCレポート スリランカ2023/2024』でした。

タイトルの通り、まさに最新の最新。2023年版のスリランカの政治経済の報告書が本書になります。

茶の世界史スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

角山栄『茶の世界史』~紅茶はなぜイギリスで人気になったのか。茶から見る世界覇権の歴史を学ぶのにおすすめ!

本作はイギリスの紅茶の歴史と文化を知るのにおすすめの作品です。

しかも単にイギリスの紅茶史の変遷を見ていくのではなく、日本や中国、インド・スリランカといった世界とのつながりからその流れを見ていけるのが本書の特徴です。

これは面白い本です。茶を通して世界の歴史を学べる素晴らしい一冊です。

インドやスリランカの紅茶について知りたいと思い手に取った本書ですが、これは大当たりでした。ぜひぜひおすすめしたい作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

覚醒のネットワークスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

上田紀行『覚醒のネットワーク』~私達の生きにくさはどこから?今こそ読みたい名著!

私達は何に苦しんでいるのか、なぜ苦しいのか、どうすればそこから解放されるのか、そのことをこの本で見ていくことになります。きっと目から鱗の新しい知見を得られると思います。

ぜひ多くの方に読んで頂きたい名著です!私はこの本を仏教書としても推薦したいです。この本で語られることは仏教用語で語らない仏教だと私は感じました。上田先生がフィールドワークをしたスリランカはまさに仏教国です。この後に『がんばれ仏教』を執筆された上田先生の原点をこの本で感じることができました。『がんばれ仏教』に大きなパワーを頂いた私にとっても実に嬉しい読書となりました。

荘園日本仏教とその歴史

伊藤俊一『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』~荘園から見る日本史!寺院と荘園の関係を知るのにもおすすめ

本作『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』は書名通り、日本の歴史に大きな影響を与えた「荘園」にスポットを当てた作品です。「荘園」という切り口から日本史を眺めていくというのはありそうでなかなか目がいかない興味深い視点ですよね。

寺院と荘園のつながりは日本仏教を考える上でも大きな意味があります。宗教は宗教だけにあらず。政治経済や時代背景、すべてのものが繋がっています。そうした意味でも大きな経済基盤となり、また情報や技術が発展していく現場となった荘園は大きなポイントとなってくるのではないでしょうか。

民衆の古代史日本仏教とその歴史

吉田一彦『民衆の古代史』~『日本霊異記』から見えてくる古代の仏教と人々の生活を知るのにおすすめ!

今作は奈良時代の僧景戒によって書かれた『日本霊異記』をもとに当時の人々の生活を見ていく作品です。

本書では奈良時代にしてすでに人々の間で仏教信仰が根付いていたことが明らかにされます。そしてその信仰がどのようなものだったのかということも知ることになります。貴族や僧侶たちではなく、民衆が求めた仏教の救いとは何だったのかということも本書では考えさせられることになります。

日本仏教を考える上でも非常にありがたい作品でした。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

聖武天皇日本仏教とその歴史

吉川真司『天皇の歴史02巻 聖武天皇と仏都平城京』~奈良時代の歴史と仏教の流れを知るのにおすすめ!

この本の後半で語られる平城京から平安京遷都の経緯の箇所はとても刺激的でした。平城京から平安京への遷都は仏教勢力から距離を置くためとよく言われますが、実際にはそうではなく、天皇の皇統転換が大きな要因だったというのは興味深かったです。

また仏都平城京と政治都市平安京の役目の違いなど、ふだんなかなか考えない視点から奈良、平安時代を見ていけるのも面白いです。

本自体もとても読みやすく、すらすら読むことができました。

奈良、平安初期の全体像を掴むためのおすすめの参考書です。