日本

ドイツの大詩人ゲーテを味わう

『戦争と読書 水木しげる出征前手記』~知られざる水木しげるの姿と『ゲーテとの対話』のつながり

この作品は水木しげるが出征前に書いた手記と、それを基に荒俣宏がその手記の背景と、戦前、戦中、戦後の青年たちがどのように読書していたのかということが語られます。

もそもこの本を読むまで私は水木しげるのことを『ゲゲゲの鬼太郎』以外ほとんど知りませんでした。まさか戦争に出征してそこでの体験から様々な作品を書いているとは思ってもいませんでした。

この本は得るものの多い素晴らしい一冊でした。水木しげるをはじめとした青年たちが当時何を思い読書していたのか、そして彼らはどんな思いで戦争時代を生きていたのかを垣間見ることができます。非常におすすめです。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

ソ連兵は何を信じ、なぜ戦い続けたのか~「独ソ戦に学ぶ」記事一覧

この本では一人一人の兵士がどんな状況に置かれ、なぜ戦い続けたかが明らかにされます。

彼ら一人一人は私たちと変わらぬ普通の人間です。

人は何にでもなりうる可能性がある。置かれた状況によっては人はいとも簡単に残虐な行為をすることができる。自分が善人だと思っていても、何をしでかすかわからない。そのことをこの本で考えさせられます。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

(3)ソ連の人海戦術と決死の突撃~戦場における「ウラー!」という叫び声とは

殺しても殺しても次から次へ死を恐れずに突撃してくる。これほどの恐怖はありません。

そして無謀な突撃は案の定壊滅的な被害を出しソ連兵は撤退するのですが、驚くべきことに、撤退する兵士を今度はソ連司令部が殺戮するのです。

ソ連軍において撤退は許されません。この後で紹介しますが、死ぬまで戦えという指令が鉄の掟として存在していたのです。だから撤退して戻ってきた兵士を軍規違反として殺すのです。

ソ連兵はナチス兵に蹂躙され、逃げれば今度はソ連軍にも殺されるのです。

こうして最前線に立たされる無数の兵士の死体が累々と積み重ねられていったのです。「ウラー!」の叫びと共に人海戦術が行われていたのでありました。

独ソ戦~ソ連とナチスの絶滅戦争

富田武『シベリア抑留』~ソ連による戦後の過酷な強制労働の歴史

シベリア抑留と言うと日本人がソ連によって悲惨な目に遭わされたというイメージが浮かんできますが、ソ連の政治体制、独ソ戦の影響が大きく関わっていたことをこの本では知ることができます。

また、本の途中でいくつかコラムが挟まれ、ここでシベリア抑留をより知るためにおすすめな本が紹介されます。過酷な体験を基にした小説や回想録が紹介され、シベリア抑留をもっと知りたい方にとってありがたい情報が満載です。

シベリア抑留の全体像を掴むのにとてもおすすめな一冊です。

独ソ戦~ソ連とナチスの絶滅戦争

S・D・ゴールドマン『ノモンハン1939 第二次世界大戦の知られざる始点』~日本はなぜ悲惨な敗北を繰り返したのか。衝撃の名著!

まず先に言っておきます。この本はものすごいです。

ノモンハン事件という、私たちも名前だけは知っている歴史上の出来事が想像もつかないほど巨大な影響を世界に与えていたということがこの本で明らかにされています。

日本はなぜ悲惨な敗北を繰り返したのか、なぜ軍部が暴走し無謀な戦闘を繰り返したのかもこの本では分析されています。読むとかなりショックを受けると思います。私もこの本を読んでいて何度も「嘘でしょ・・・」と唖然としてしまいました。それほどショッキングな内容となっています。

独ソ戦~ソ連とナチスの絶滅戦争

神野正史『世界史劇場 ナチスはこうして政権を奪取した』~ヒトラーの権力掌握の過程を知るのにおすすめな参考書!

民主主義であったはずのドイツがなぜ全体主義へと突き進んでいったのか。

これは日本においても当てはまる事象です。

ナチスを学ぶことは私達の歴史を学ぶことにもつながります。

この本ではいつものごとく、神野氏の絶妙な解説で進んで行きます。とにかく面白く、読みやすいです。ドイツの流れをまずは知りたいという方には非常におすすめな1冊となっています。

独ソ戦~ソ連とナチスの絶滅戦争

神野正史『世界史劇場 第二次世界大戦 熾烈なるヨーロッパ戦線』~WW2の流れを掴むのにおすすめな1冊

第二次世界大戦とは実際にどのような戦争だったのか。ナチスはどのように動いたのか。スターリン率いるソ連はそれにどのように対抗したのか。イギリス、フランス、アメリカは?

複雑怪奇な国際情勢をこの本では学べます。そして単に出来事の羅列ではなくなぜ歴史がそのように動いたのかという「なぜ」を神野氏は強調していきます。ここが『世界史劇場』シリーズの素晴らしいところだと思います。単なる暗記ではなく、「なぜ」を考える思考力を鍛えてくれるところにこの本の特徴があると私は思っております。非常におすすめな一冊です。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

『やばいデジタル “現実”が飲み込まれる日 』~個人情報が丸裸~情報管理社会の恐怖

友人は「この本はホラー小説を読んでるような気分で一気に読んでしまいました」と薦めてくれましたが、まさにその通り!ホラー小説とはよく言ったもので、ずばりそんな恐怖を感じる本でした。とても面白い本でした。これは今の時代にまさにオススメする1冊です。ぜひ手に取ってみてください。

この本を紹介してくれた友人には大感謝です。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

麻田雅文『シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争』~シベリア出兵について学ぶのにおすすめの参考書

歴史においてあまりクローズアップされないシベリア出兵ですが、実は後の第二次世界大戦にもつながっていく非常に重要な出来事でありました。

共産主義のソヴィエトを警戒する意図だけではなく、欧米諸国からの圧力、そして第一次世界大戦の分け前を得るために欧米諸国にアピールしなければならなかった背景など、この本を読んでいると知らなかった意外な発見に驚くことが多々あります。

そして出兵が泥沼化し悲惨な戦闘が続き、日ソ相互の不審や憎しみが募っていく流れも後の日中戦争を彷彿とさせます。

シベリア出兵は日本の歴史を考える上で実は大きな意味を持った事件だったということをこの本では感じさせられました。

ロシアの歴史・文化とドストエフスキー

榎本武揚『シベリア日記』~幕末の函館ゆかりの偉人がロシア・シベリア横断をしていた!

若い頃にオランダ留学を経験し、そこから戊辰戦争の戦いを経て再び外交官としてヨーロッパへ旅立った榎本武揚。

そんな彼が初めて目にするシベリアの風景や産業、人々の生活をこの本では知ることができます。 彼がペテルブルクを出発したのが1878年。この年はドストエフスキー最晩年で『カラマーゾフの兄弟』を執筆し始めた年になります。まさにドストエフスキーがいたロシアに彼はいたのです。

彼の『シベリア日記』はそんなドストエフスキーと同時代の人々の生活を知る格好の資料にもなります。そうした意味でもこの本はものすごく興味深く読むことができました。

函館ゆかりの偉人である榎本武揚のことを知れてとてもありがたい機会となりました。