サン・シモン『産業者の教理問答』概要と感想~空想主義的社会主義者の一人サン・シモンの主著
「世の中は生産者、つまり産業者によって成り立っている。だからこそ産業者の地位が認められなければならない。」
産業者こそ世界を担っていくのだという思想は後の弟子たちに引き継がれ、1852年からのナポレオン三世第二帝政期ではその思想が花開くことになります。
そうした意味でも「産業者こそ世を作るのだ」と宣言したこの著作は大きな意味があります。
「世の中は生産者、つまり産業者によって成り立っている。だからこそ産業者の地位が認められなければならない。」
産業者こそ世界を担っていくのだという思想は後の弟子たちに引き継がれ、1852年からのナポレオン三世第二帝政期ではその思想が花開くことになります。
そうした意味でも「産業者こそ世を作るのだ」と宣言したこの著作は大きな意味があります。
今回の記事では「マルクスとエンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ」シリーズと題して紹介してきた全69回の記事をまとめていきます。
これらを読めばマルクスとエンゲルスの思想が生まれてきた背景をかなり詳しく知ることができます。 そしてこれはマルクス・エンゲルスを知るだけではなく、宗教、思想、文化、政治、いや人間そのもののあり方についても大きな示唆を与えてくれることでしょう。
関連記事も合わせると70記事以上の大所帯になりますが、このシリーズの目次としてこの記事を利用して頂けましたら嬉しく思います。
難解で大部な『資本論』と、簡単でコンパクトな『空想から科学へ』。
この組み合わせがあったからこそマルクス主義が爆発的に広がっていったということができるかもしれません。
「マルクスは宗教的な現象か」というテーマにおいてこの記事では私の結論を述べていきます。エンゲルスはこの作品においてとてつもないことを成し遂げました。
この作品はマルクス思想を考える上で『資本論』と並んで決定的な意味を持つ作品です。ぜひ読んで頂きたい記事となっています
『反デューリング論』はマルクス主義の重要解説書として非常に重視されてきました。マルクスの著作、特に『資本論』は膨大で難解過ぎました。そんな書物のエッセンスを抽出し、マルクス主義をわかりやすく解説したものとして出版されたのがこの本です。
たしかにこの本は読みやすいです。
超難解な『資本論』に対してこうしたわかりやすくてドラマチックな物語が書かれた『反デューリング論』という存在があったことがマルクス主義の伝播にどれほど役に立ったかは計り知れません。
『資本論』はとにかく難しい。これはもはや一つの慣用句のようにすらなっている感もあります。
この作品はこれ単体で読んでも到底太刀打ちできるようなものではありません。
時代背景やこの本が成立した過程、さらにはどのようにこの本が受容されていったかということまで幅広く学んでいく必要があります。
私がマルクスを読もうと思い始めたのは「マルクスは宗教的現象か」というテーマがあったからでした。
ここにたどり着くまで1年以上もかかりましたが、マルクスとエンゲルスを学ぶことができて心の底からよかったなと思います。
ダーウィンと『種の起源』という名は誰もが知っています。
しかし彼がどんな生涯を歩み、どんな時代を生きていたかということはほとんど知られていないのではないでしょうか。かく言う私もその一人でした。
この本はものすごく面白いです。ぜひとも知られざるダーウィンの姿を目の当たりにしてください。
ダーウィンその人や『種の起源』、そしてヴィクトリア朝イギリスの文化を知る上でもこの本は非常におすすめです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
この作品は科学的な本なので当然と言えば当然なのですが、物語的な、読者を惹き込むような語りはほとんどありません。とにかく淡々と言葉が並べられていくのみです。
ですがこうした淡々とした難解な文章の中に時折現れる「自然淘汰」「闘争」「進化」「自然選択」という強力な言葉たち。
これらの言葉たちがこの膨大で難解な書物の「要約」として独り歩きしていくことになります。
私にとって、この本が世界を席巻した理由に思いを馳せながら読んでいくのは非常に興味深い体験となりました。
この本は「ダーヴィンとマルクスがなぜこんなにも世界を席巻したのか」という、私が最も知りたかったことを解説してくれる刺激的な作品でした!これは面白いです!
この作品については以前マルクスの『資本論』を読んだ際にも参考にしました。
『資本論』はあまりに難解で膨大な作品ですが、「その理解不能さが逆に世の中から聖書のように扱われる大きな理由となった」という著者の説は非常に興味深いものがありました。
たしかにこの作品を読んでいて「なるほどなぁ」と思う点もありますし、いかにして搾取が行われているかわかりやすい流れで書かれています。
しかし、それが本当に正しい理論なのかというと、それはかなり厳密に検証していかなければならないものだと思います。
簡単に矛盾を指摘できたりするようなやわな理論だったらここまで世界に影響を与えることなどできなかったでしょう。やはりマルクスの理論は難しい。ですがそれにも関わらず人を動かす圧倒的な煽動力がある。ここにマルクス思想の強さがあるように感じました。
この作品では『資本論』を書いた巨大な思想家マルクスではなく、ジャーナリストマルクスを知ることができます。
1851年12月のクーデターはいかにして起こったのか、そこにどのような裏事情があったのかということを1848年から遡ってマルクスは論じていきます。
社会の流れを読み取り、それを徹底的に分析し、活字にして発表する。
そうしたジャーナリストとしてのマルクスがあったからこそ、後の『資本論』が書き上げられたのだなということを感じました。