親鸞とドストエフスキー・世界文学

ドストエフスキー論

G・ルカーチ『トルストイとドストイェフスキイ』~「ドストエフスキーは答えではなく問いを与える作家である」

「文学者の任務は答えを与えることでなく、問いを与えるところにある」とルカーチは述べます。そしてそれに最も成功した人物の一人としてドストエフスキーを挙げるのでした。

たしかにドストエフスキーは答えを与えてくれません。読者を混沌に叩き込むがごとく複雑怪奇な世界に私たちを引きずり込みます。

ですがそれこそドストエフスキーの最大の魅力でもあります。

訳者あとがきにもありますようにたしかに問題がある作品であるかもしれませんが、この作品で説かれていることはドストエフスキーをまた違った視点から見られるいい機会になったのではないかと思います。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(11)ルーブル美術館でドストエフスキーが愛した理想風景画家クロード・ロランを発見。同時代の天才プッサンと共にご紹介

パリといえばやはりルーブル美術館を思い浮かべる方も多いと思います。

ですが、ドストエフスキーに関心を持っている私にとっては実はこの美術館はノーマーク。正直、特にこれといってものすごく見たい作品があるというわけでもなかったのです。「有名なルーブルだし、せっかくだし行っておきますか」くらいのものだったのでした。

しかし実際にここを訪ねてみて、そんな軽率なことを思っていた自分を大いに恥じることになりました。この美術館はやはり評価されるべくして評価されている素晴らしい美術館でした。今さら私がこんなことを言うのもおこがましい話ではありますがあえて言いましょう。「やっぱりルーブルはすごかった!」と

ドストエフスキーとキリスト教

エフドキーモフ『ロシア思想におけるキリスト』~『悪霊』ティーホン主教のモデルになったザドンスクの聖ティーホンとは

この作品はタイトルにも書きましたようにロシアにおけるキリスト教の歴史や思想の概略を示してくれる作品となっています。

そしてこの本で一番ありがたかったのはザドーンスクの聖ティーホンについての解説の存在です。

この人物はドストエフスキーの『悪霊』に出てくる主教ティーホンと『カラマーゾフの兄弟』のゾシマ長老の造形に大きな影響を与えた人物として知られています。

この作品ではドストエフスキーについても語られますしトルストイやゴーゴリなどロシア文学を代表する人物達とキリスト教の関係を知ることができます。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(10)『オペラ座の怪人』でお馴染み!パリのオペラ・ガルニエへ~ファントムの5番ボックス席も発見!

パリといえばやはりオペラ座。この記事ではそんなオペラ座ことオペラ・ガルニエについてお話ししていきます。

『オペラ座の怪人』ファンには間違いなくたまらない場所です。この記事ではあのファントムのボックス席についてもお話ししていきます。

もちろん、『オペラ座の怪人』に詳しくなくともこの見事なナポレオン三世様式は必見です

これはパリ観光の必須ポイントとして間違いありません。ぜひおすすめしたいスポットです。

ドストエフスキーとキリスト教

ローテル『無名の巡礼者 あるロシア人巡礼の手記』~ドストエフスキーに大きな影響を与えた巡礼の精神を知るのにおすすめの作品

この本はドストエフスキーやトルストイにも大きな影響を与えた「ロシアの巡礼」について知るためにうってつけの作品となっています。この本が初めて出たのはドストエフスキーが亡くなった1881年より数年後ですので直接彼がこれを読んでいたわけではありませんが、当時ロシアにいた巡礼者がどのような教えの下生きていたのかということを知ることができます。

私はこの作品を読んで何度も驚かされました。

この本で語られる祈りや瞑想の方法が仏教で説かれることとそっくりな部分がいくつもあったのです。信仰と祈りについて学ぶのに素晴らしい作品です。ぜひおすすめしたい一冊です。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(9)サクレクール寺院からパリを一望~ゾラ後期の傑作小説『パリ』ゆかりのモンマルトルの丘に立つ巨大な教会

前回の記事ではエミール・ゾラの『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地をご紹介しました。

そして今回の記事では『ルーゴン・マッカール叢書』を書き上げたゾラが満を持して執筆した「三都市双書」の最終巻『パリ』の主要舞台となったサクレクール寺院をご紹介していきます。

パリを一望できる絶景スポットとして有名なこの教会ですが、ゾラファンからするとまったく異なる意味合いを持った場所となります。この教会に対してゾラは何を思ったのか、そのことをこの記事で紹介していきます。

独ソ戦~ソ連とナチスの絶滅戦争

S・マッケイ『ドレスデン爆撃1945 空襲の惨劇から都市の再生まで』~ドイツの美しき古都が消滅した悲惨な爆撃とは

エルベ河畔の宝石箱と謳われたドレスデン。この本ではその古都への爆撃について詳しく語られます。

ドレスデンが爆撃されるまでの英米首脳部の葛藤、兵士たちの精神状況、そしてドレスデンに生きていた人たちの生活。そして爆撃が始まってからの地獄絵図・・・

これは恐るべき作品です。

正直、私は怖いです。歴史を学べば学ぶほど恐怖を感じています。この先、私たちの生きる世界がどうなるのか、改めてこの本を読んで恐れを感じたのでありました。

原爆や大空襲を経験した日本にとってもこの本で提起されている問題は重要な意味を持っているのではないでしょうか。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(8)パリのゾラ『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地を一挙紹介~フランス第二帝政のパリが舞台

今回の記事では私が尊敬する作家エミール・ゾラの代表作『ルーゴン・マッカール叢書』ゆかりの地を紹介していきます。

『ルーゴン・マッカール叢書』はとにかく面白いです。そしてこの作品群ほど私たちの生きる現代社会の仕組みを暴き出したものはないのではないかと私は思います。

ぜひエミール・ゾラという天才の傑作を一冊でもいいのでまずは手に取ってみてはいかがでしょうか。そしてその強烈な一撃にぜひショックを受けてみて下さい。

『居酒屋』や『ナナ』は文庫本でも手に入りますのでぜひおすすめしたいです。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

宮下規久朗『ヴェネツィア 美の都の一千年』~観光ガイドにもおすすめ!歴史と美術の流れを知るのに便利な1冊!

ヴェネツィアは言わずと知れた美の都ですよね。私も一度は訪れてみたいと思っていた場所です。

この街と文学のつながりといえばやはりシェイクスピアの『ヴェニスの商人』やトマス・マンの『ヴェニスに死す』も有名です。

そして我らがドストエフスキーもこの街を奥様と一緒に訪れていて、ヴェネツィアの美しさを絶賛しています。

そしてそんなヴェネツィアの歴史や文化を知るのに今作『ヴェネツィア 美の都の一千年』は非常におすすめな参考書となっています。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(7)パリ下水道博物館~レミゼのジャン・ヴァルジャンが踏破した怪獣のはらわたを体験!その他ゆかりの地についても

今回のパリ散策において、マニアックながらも一般の方にぜひおすすめしたいスポットがあります。

それが今回ご紹介するパリの下水道博物館になります。

私の大好きな『レ・ミゼラブル』の主人公ジャン・ヴァルジャンはこのパリの下水道を踏破しマリユスを救います。

ですが当時のパリはすさまじい悪臭と汚物の都市として知られていました。しかも下水道はほとんど迷宮と化し人が立ち入ることさえ危険な魔窟でした。ジャン・ヴァルジャンが踏破したこの闇と汚染の世界を少しでも感じられるならと私はこの博物館に向かったのでありました。