フランス革命やナポレオンを学ぶのにおすすめの参考書一覧~レミゼの時代背景やフランス史を知るためにも
はじめに
2024年12月からいよいよ『レ・ミゼラブル』のミュージカルが始まります!
これまで当ブログでもレミゼについて様々な記事を更新してきました。
そして今回の記事ではこれらの記事で紹介しきれなかったフランス革命やナポレオンについてのおすすめ本を紹介していきます。『レ・ミゼラブル』の世界は1789年のフランス革命やその後のナポレオン時代と直結しています。これらの歴史を知った上でレミゼを観ると、もっともっと物語を楽しめること間違いなしです。
これから紹介する参考書のリンク先ではより詳しく内容や感想をお話ししていますので、興味のある本があればぜひそちらも覗いてみてください。
では早速始めていきましょう。
神野正史『世界史劇場 フランス革命の激流』
この本はフランス革命の入門書として最適です。
著者は河合塾の世界史講師で、歴史が苦手な人でもいつの間にかのめり込んでしまうような絶妙な語り口で物語を語ってくれます。
肩肘張らずに、まるで映画を見ているかのように読み進めることが出来てしまいます。え!?次はどうなるの!?とページをめくる手が止まらなくなります。
複雑なフランス革命の概要をまずは知りたいという方にとてもおすすめな入門書です。
また、この続編として神野正史『世界史劇場 駆け抜けるナポレオン』もあるので続けて読まれることをおすすめします。
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G・ルフェーヴル『1789年―フランス革命序論』
この本の画期的な点は、フランス革命の過程を単純化せず、様々な要因が重なり合って革命が起きていったことをデータを駆使して詳細に解説していくところにあります。
フランス革命は、知れば知るほど面白いです。とんでもなく背景が入り乱れています。そしてその一つ一つを紐解くことで歴史の流れがまた違った姿を見せてきます。
上でご紹介しました神野正史『世界史劇場 フランス革命の激流』は革命そのもの流れを知るのに最適な入門書でしたが、今回のルフェーブルの作品はそもそもこの革命が起こる背景は何だったのかをさらに詳しく知ることができます。
この2冊の相乗効果は素晴らしいものがあると私は思います。
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P・マクフィー『フランス革命史 自由か死か』
フランス革命はミラボー、アベ・シェイエス、ロベスピエール、ダントンなど、有名人がどんどん出てきます。
フランス革命といえば首都パリを舞台に政治家たちと国王側が繰り広げた闘いがフォーカスされがちですが、事はそんなに単純な話ではありませんでした。
この作品ではそんなフランス革命の複雑さにスポットが当てられています。
この本はかなり骨太な本です。世界のあまりの複雑さに頭がくらくらするほどです。ですが読みにくいとかそういうわけではありませんのでご安心ください。
ただ、フランス革命の入門書としては正直厳しいと思います。ですのでこれまで当ブログでもフランス革命の入門書として紹介した神野正史著『世界史劇場 フランス革命の激流』やルフェーヴルの『1789年―フランス革命序論』などを先に読んでからこの本に取り掛かることをおすすめします。
フランス革命の複雑さ、革命とは何なのかを考えることができるこの本は素晴らしいものがあります。
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P・マクフィー『ロベスピエール』
今作の主人公ロベスピエールはフランス革命の中でも最も有名な人物のひとりです。
ですが彼のイメージは暗く血にまみれたものばかりです。というのもフランス革命の暗黒部分、恐怖政治の独裁者としてこの人物は知られているからです。1793年に公安委員会に任命されてから彼は次々と反対勢力を断頭台に送りました。疑わしければ即刻処刑という恐るべき状態が続きます。最後にはあまりの強行ぶりに逆に自分も断頭台に送られるという凄まじい政治人生を送ったのでした。
そんなロベスピエールについて書かれたのが本書なのですが、この作品を読んで私は驚くことばかりでした。
ロベスピエールはあまりに劇的な最期を遂げたため、死後様々な立場から多種多様に語られてきました。となるとそこに「語る者」の意図がどうしても色濃く反映されてしまいます。
ですが著者のマクフィーは歴史家としてそこからなるべく距離を置こうとします。その姿勢こそ本書の最も特徴的なポイントであり、私が感銘を受けた点でした。
フランス革命の流れをざっくりと頭に入れた上でそれらと比べながら本書を読むとより楽しめること間違いなしです。
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安達正勝『死刑執行人サンソン 国王ルイ16世の首を刎ねた男』
この作品はまさしく処刑人一族という運命を背負ったサンソン家の人間ドラマが描かれています。
処刑人というと、冷酷で血も涙もない野蛮なイメージを持ってしまうかもしれませんが、この本を読めばそのイメージはがらっと変わることになります。
まさに、サンソンほど高潔で人間味あふれる人はいないのではないかと思うほどです。
処刑人という人を殺すことを職業としながら、人を生かす医師としても超一流だったサンソン。
当時、差別され周囲の人々から蔑みの目で見られるこの職業において、それでもなお一人の人間としていかに高潔に生きていくのかを問い続けたサンソン。
フランス革命の激流に巻き込まれながらも懸命に生き、究極の問題を問い続けたこの人物には驚くしかありません。
この作品はフランス革命を普通とは違った目線で知ることができる素晴らしい作品です。
これはぜひおすすめしたい名著です。ものすごく面白いです!こんな人物がいたのかと驚くこと間違いなしです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)
新人物往来社『ビジュアル選書 ナポレオン』
ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)は言わずと知れたヨーロッパ史に残る大人物です。
ナポレオンについては以前当ブログでも神野正史著『世界史劇場 駆け抜けるナポレオン』を参考にその生涯をざっくりと追ってみました。
ナポレオンはヨーロッパの政治経済、軍事、国際情勢にとてつもない影響を与えましたが、その影響は文学にも及んでいます。
トルストイの『戦争と平和』しかり、バルザックの『ゴリオ爺さん』しかり、ユゴーの『レ・ミゼラブル』しかり、そして何と言ってもドストエフスキーの『罪と罰』にも巨大な影響を与えています。
さて、そんなナポレオンとは一体どんな人物だったのか、どんな生涯を送ったのかを知るのにぜひともおすすめしたいのが今回ご紹介する『ビジュアル選書 ナポレオン』になります。
この作品はナポレオンを知る入門書として非常におすすめです。
分量も150ページ弱と、とてもコンパクトなものとなっています。
気軽に手に取れる本でありながらも内容はかなりしっかりしたものとなっていますので安心して読むことができます。
これはぜひぜひおすすめしたい作品です。
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アリステア・ホーン『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』
この本の特徴はナポレオンその人だけでなく、この時代の社会の様子も知れる点にあります。ナポレオンの登場によって社会はどのような影響を受けたのか、人々の暮らしはどのように変わったのかということを知ることができます。
軍人ナポレオンの足跡はもちろん、文化面まで幅広く見ていけるのはとてもありがたいです。
特に第5章の建築や、第7章の娯楽については他の参考書ではなかなか見ることがない内容だったのでこれは興味深かったです。
また、ナポレオンその人の特徴について語られた箇所もとても面白かったです。上の監修者序文にもありましたように、「堅苦しさもなく、楽しく読める。」まさにこれです。文章も読みやすくスイスイ読んでいけるのでナポレオン入門としてとても優れた作品であることは間違いありません。
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ナポレオン時代 – 英雄は何を遺したか (中公新書 2466)
コレンクール『ナポレオン ロシア大遠征軍潰走の記』
1812年のロシア遠征はナポレオンの運命を決める決定的な出来事になりました。
この本はそのロシア遠征をナポレオンの側近中の側近が記した記録であります。
著者のコレンクールはナポレオンのロシア遠征を最も近くで見ていた人物です。
この本はロシア遠征においてナポレオンが何を考え、どう行動したかを知るのにこの上ない記録です。特に、書名にもありますようにナポレオン軍のモスクワからの無残な敗走の姿をこれでもかと描写しています。
このロシア遠征はフランスだけでなくロシア史にとっても決定的な意味を与えた大事件です。このロシア遠征はトルストイの『戦争と平和』やドストエフスキーの『罪と罰』にも巨大な影響を与えています。
この本はナポレオンのロシア遠征の流れを学ぶのに最適の書です。ナポレオンの運命が変わったこの戦いは『レ・ミゼラブル』にも大きな影響を与えていることは間違いありません。フランス史における大事件を学ぶのにぜひおすすめしたい一冊です。
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マイク・ラポート『ナポレオン戦争』
この本は「ナポレオンの天才的な軍事作戦」を解説するタイプの本ではありません。それよりもこの戦争が起きた背景や、戦争遂行に必要な様々なものをじっくりと見ていく作品になります。
ナポレオン一人の存在で戦争が起こったのではなく、すでに十八世紀の国際状況がそれを誘発するものをはらんでいたということ。そしてナポレオンの天才ぶりばかりが強調されがちな中で、実はその戦勝の背景にある個々の兵士たちの存在が大きな意味を持っていたこと。それらをこの本では学ぶことができます。
「ナポレオンひとりであの戦争が動いていたわけではない。広大な世界の動きはそんな一人の人間に作用されるものではない」という考え方はあの『戦争と平和』を連想してしまいます。
ナポレオン戦争を様々な視点から見ていけるこの本は非常に興味深いものがありました。これは面白いです!
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オクターヴ・オブリ編著『ナポレオン言行録』
この作品はナポレオンが遺した手紙や言葉をパリの歴史家オクターヴ・オブリが編集したものになります。
この作品を読んでいて印象に残ったのはやはりナポレオンの言葉の強さでした。ナポレオンといえば軍人というイメージが強いかもしれませんが、驚くべきことに圧倒的な文才も兼ね備えていたのです。
ナポレオンの伝記では必ずと言ってもいいほど若きナポレオンの猛烈な読書ぶりが紹介されます。
ナポレオンは内気で、クラスの人気者というタイプではありませんでした。そうした性格や彼の置かれた境遇からも彼は本の世界にのめり込みます。
そして後に皇帝となって世界を席巻するようになってからもその読書人ぶりは変わりませんでした。
もちろん、ナポレオンは戦場でも武勇を見せ、兵士たちを鼓舞しました。ですがそのカリスマもやはり彼の思想や言葉があったからこそです。背中を見せるだけではどうしても限界があります。背中を直接見せることができる人数には当然ながら物理的に限界があります。
それでもなおナポレオンがカリスマになれたのは彼の言葉が人々の口や紙媒体を通して一斉に広まっていったからです。ここに言葉の力の偉大さがあります。
フランスの歴史や文化を考える上で非常に興味深い読書になりました。ぜひおすすめしたいです。
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ヴィクトール・デル・リット『スタンダールの生涯』
この伝記では『赤と黒』、『パルムの僧院』などで有名な19世紀フランスの作家スタンダールこと本名アンリ・ベールの波乱万丈な生涯をわかりやすく学ぶことができます。
スタンダールというと、バルザックやユゴーなどと比べると意外と知られていない作家です。『赤と黒』、『パルムの僧院』などの作品は非常に有名ですが、スタンダール自身については謎に包まれた存在です。
私もこの伝記を読んで驚いたことがたくさんありました。
そもそもスタンダールという名前がペンネームであったことや、ナポレオンとのつながりについても非常に興味深いものがありました。
特にスタンダールがあのモスクワ遠征に従軍していたという事実には仰天しました。
あのほぼ全滅とも言ってもよい悲惨な遠征から生還し、そこでも見事な働きをしていたというのは驚きでした。そうした経験を経て書かれたのが『赤と黒』や『パルムの僧院』だと思うと、これまでとはまた違った姿が見えてくるように思えました。
19世紀フランス文学を知る上でもスタンダールは避けては通れない存在です。そのスタンダールの生涯をわかりやすく知れるこの伝記は非常におすすめです。
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スタンダール『赤と黒』
『赤と黒』はサマセット・モームの『世界の十大小説』にも取り上げられた名作です。
この作品ではまさに一九世紀前半から中頃にかけてのフランス青年の成り上がり物語が描かれています。
そして興味深いのがその成り上がりに「恋愛」が大きなウエイトを占めているという点です。
ナポレオンも下級貴族から自分の才覚で皇帝まで成り上がりました。そしてそれと同じように今作の主人公ジュリアン・ソレルも成り上がりを目論みます。その手段として恋愛があり、それを足掛かりに一気に階級上昇を狙うという社会風潮がたしかにあったのがこの時代のフランスだったのでした。
このことについては鹿島茂著『馬車が買いたい!』で詳しく説かれていますのでぜひこちらもご参照ください。
そしてこの『赤と黒』の成り上がりと恋愛のテーマはバルザックの『ゴリオ爺さん』とも非常に重なっています。
バルザックはスタンダールを激賞し、その作品を大いに褒め称えていました。バルザックもこうしたフランスの成り上がり事情をつぶさに観察し、自身も作家としての成り上がりを目指していたのでありました。
一九世紀前半はまさにナポレオン旋風が吹き荒れた時代です。1815年に彼の没落が決定的となった後もこうしてフランスの若者たちを刺激し続けていたのがやはりナポレオンだったのです。
そんなぎらぎらしたフランス事情を知る上でもこの作品は非常に興味深いものがありました。
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バルザック『ゴリオ爺さん』
バルザックは1799年に生まれ、1830年頃からパリで頭角を現し、そこから亡くなるまでの20年間、膨大な作品をこの世に残しました。バルザックの描く作品は当時のフランスを余すことなく暴き出します。
『ゴリオ爺さん』は1830年に出版されたバルザックの代表作で、サマセット・モームの世界十大小説のひとつに入るほどの名作とされています。
当時のフランス社会を知るのに最高の時代絵巻と言える作品がこの『ゴリオ爺さん』です。タイトルこそかなりいかつい作品ですが、読めば驚くこと間違いなしの名著です。ぜひおすすめしたい名作です。
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小倉孝誠『『パリの秘密』の社会史』
この本は十九世紀フランスの出版事情やメディア業界の裏側も知れるものすごく刺激的な作品となっています。
もしウージェーヌ・シューの『パリの秘密』がなければユゴーの『レ・ミゼラブル』もなかったかもしれないというのは驚きでした。日本ではウージェーヌ・シューという人物はあまり知られていませんが、とてつもない影響力を持っていた人物がフランスにいました。
フランス文学だけでなく、ロシア文学やイギリス文学、マルクスを考える上でも非常に興味深い指摘が次々と出てきます。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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『パリの秘密』の社会史―ウージェーヌ・シューと新聞小説の時代
R.J.ゴールドスティーン『政治的検閲』
この本はフランス革命を経てナポレオン時代へと突入して始まった激動の19世紀における検閲の歴史について書かれた作品です。
19世紀には鉄道網の発達によって情報伝達の速度が飛躍的に高まり、それまでの世界とは全く異なる状況が生まれてきた時代でした。
情報伝達の速度、そして人間自身もかつてよりヨーロッパ内の移動が圧倒的に便利になったことで文化の発展も恐るべき速度で進んだのでした。
こうしたテクノロジーの発展や、フランス革命をきっかけとした社会変動があったからこそ19世紀のヨーロッパは文学や音楽などの芸術が花を開いたのでありました。
ですが、だからこそ支配者側は神経をとがらせます。文学や音楽、芸術は国の体制を揺るがしうる危険な存在であることを彼らは実感していたのです。レミゼでも学生たちは街頭演説やビラ配りなどの政治活動をしています。彼らの政治活動について考える材料にもなる作品です。
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政治的検閲: 19世紀ヨーロッパにおける (叢書・ウニベルシタス 776)
トリストラム・ハント『エンゲルス マルクスに将軍と呼ばれた男』
この本は正確にはフランス革命やその後のフランス史についての本ではありません。あくまでマルクスを支えた天才エンゲルスの伝記です。ただ、この本には1800年代中頃からの政治活動家の動きが詳しく語られています。レミゼの作中でも「ABCの友」の学生たちが革命運動を行っていますが、その実態をさらに深堀りして考えていく上でこの本は非常に有益です。
本そのものも刺激的で面白く、実に読みやすいです。私も貪るように読み込みました。あまりにこの本が面白かったので当ブログでもこの本を参考に「マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ」という連続記事を更新したほどです。
フランス革命とは直接の繋がりは薄いですが、その時代を経た後のヨーロッパの動きを知る上でこの本はぜひおすすめしたいものとなっています。
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鹿島茂『新聞王ジラルダン』
ジラルダンは無一文から新聞王に上り詰めたフランス19世紀の大人物です。この本ではそのジラルダンの偉業やその背景についてじっくりと見ていくことになります。
ジラルダンの新聞『プレス』はまさしく革命でした。そしてこの新聞と共に新聞小説全盛の幕が開け、バルザックやジョルジュ・サンド、ウージェーヌ・シューなど文学界のスターたちが大活躍していくことになります。
鹿島茂著『新聞王ジラルダン』ではそんな革命児ジラルダンの生涯を時代背景と共に見ていける名著です。とにかく面白いです。
私達は日常メディア無しではいられないほどテレビや新聞、ネットの情報に囲まれていますが、その商業メディアというのは一体いつから始まったのか、そしてそれは何を意味するのだろうかということをこの本では学ぶことができます。一九世紀中頃のフランスを舞台にしたこの作品ですが現代社会を生きる私たちにも直結する内容がこの本で語られます。
フランス革命、ナポレオン時代を経たフランスの歴史を知る上でも非常に貴重な作品です。
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辻昶『ヴィクトル・ユゴーの生涯』
この作品はフランスの偉大なる文豪ヴィクトル・ユゴーの伝記です。著者の辻昶氏はユゴーの『レ・ミゼラブル』や『九十三年』などの翻訳を手掛けたフランス文学者です。
ユゴーの波乱万丈の生涯を単行本1冊にぎゅぎゅっとまとめたこの作品は非常に貴重なものだと思います。ユゴーは1802年に生まれ、1885年に亡くなるという長寿です。まさに激動の19世紀フランスを生きた偉人です。彼の生涯を通したフランス社会をこの本では体感することができます。読みやすさも抜群ですのでぜひおすすめしたいです。
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カラムジン『ロシア人の見た十八世紀パリ』
一七九〇年三月二十七日、パリ
パリに近づいているのに、「パリはまだか」と、絶えず私は道連れに尋ねるのだった。ついに広々とした平原が開け、遠くにパリが見えた!……われわれは貪るようにこの無限の巨大な建築群を見た―そして目が建物の濃い陰に釘づけになった。心臓がどきどきした。「ほら、パリだ。これこそ何世紀にもわたって全ヨーロッパの手本であった都市、趣味と流行の源泉だ。ヨーロッパ、アジア、アメリカ、アフリカにおいて、学問のある人もない人も、哲学者も洒落者も、芸術家も教養のない人も、うやうやしくその名を言う。私はパリの名前を、自分の名前とほとんど一緒に知った。パリについては小説の中でたくさん読んだし、旅行者から聞いたし、夢みたし、考えもした!……ほら、パリだ!……目に見える、これからその中に入るのだ!」―おお、わが友よ!この瞬間は、私の旅の中で最も楽しい瞬間の一つだった!これほど生き生きした気持ちと好奇心をもって、待ちこがれながら近づいた都市はかつてなかった!
彩流社出版、福住誠訳、ニコライ・カラムジン『ロシア人の見た十八世紀パリ』P11
華の都、パリ。
そのパリを初めて見た時の感動、驚き。
それを表す言葉でこの文章を超えるものはなかなかありません。
この文章の作者はロシアの文学者カラムジン(1765-1826)。
ロシアを代表する文学者で歴史家としても有名で、19世紀ロシア文学の全盛期を導いた偉大な人物であります。ドストエフスキーにも当然、大きな影響を与えています。
フランス革命の1年後にパリを訪れたロシアの文学者の言葉は非常に貴重です。外部の人間から見たパリの光と影をこの本では知ることができます。
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おわりに
以上、フランス革命とナポレオンについてのおすすめの参考書をご紹介しました。
記事後半では直接的には関係が薄い本もご紹介しましたが、当時のフランスを知る上で貴重な示唆を与えてくれる作品であることは間違いありません。
記事の最初にもお話ししましたが、いよいよ2024、25年シーズンの『レ・ミゼラブル』が開幕します。この記事が皆様のレミゼ鑑賞にお役に立てましたら何よりでございます。
以上、「フランス革命やナポレオンを学ぶのにおすすめの参考書一覧~レミゼの時代背景やフランス史を知るためにも」でした。
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