スターリン

ディストピア・SF小説から考える現代社会

伊藤計劃『ハーモニー』あらすじと感想~「命と健康が何より大事」な高度医療社会のディストピア

伊藤計劃さんは34歳という若さで亡くなってしまいました。

伊藤計劃さんはがんの闘病をしながらデビュー作の『虐殺器官』を書き上げ、この作品も末期がんに近い状況で書き上げられました。

いのちとは何か。病とは、死とは。

それをこの作品で突き詰めていきます。

伊藤計劃さん自身の境遇を思うとこの作品の持つ重みがさらに感じられます

ディストピア・SF小説から考える現代社会

長谷敏司『メタルギアソリッド スネークイーター』あらすじと感想~MGSの前史。ビックボスの物語はここから始まる

今作の主人公ネイキッド・スネークは後にビックボスと呼ばれ、メタルギアシリーズにおいて決定的な役割を演じます。

メタルギアシリーズの根幹をなすこの人物は何者なのか。そもそも「スネーク」という存在とはいかなるものなのか。

この作品を読めば冷戦時代の雰囲気も感じることができます。

名作中の名作です!いや~素晴らしい!おすすめです!

ディストピア・SF小説から考える現代社会

面白くてわかりやすいテレビ・ネットの『要約・解説〈ファスト情報〉』の罠!『華氏451度』の世界が現実に

私たちはネットで簡単に情報を得られる便利な世界に暮らしつつも、大きな危険に身を晒しています。

手っ取り早く、簡単で、わかりやすい〈ファスト情報〉が溢れているのが現代です。私たちは多くの情報を知ったつもりになっていますが、その裏で進行している恐ろしい事態があるとしたら・・・?

この記事ではそんな恐るべき現状についてお話ししていきます

ディストピア・SF小説から考える現代社会

香西秀信『レトリックと詭弁』~詭弁の仕組みとその対策法とは~優しい人、真面目な人ほど知ってほしい詭弁や圧力から心を守る術

口が強い人に言いくるめられて、辛い思いをした方はきっとたくさんおられるのではないかと思います。

そして悲しいかな、優しい人や真面目な人ほどそうした相手の言葉に反論できず、自分の中にその苦しみを溜め込んでしまう。

そんな世の中にあって、この本はそれこそそんな苦しみへの処方箋というべき素晴らしい1冊となっています。

ディストピア・SF小説から考える現代社会

オーウェル『動物農場』あらすじと感想~こうして人は騙される。ソ連の全体主義を風刺した傑作寓話

敵を作りだし、憎悪や不安、恐怖を煽って宣伝してくる人たちには気を付けた方がいいです。敵を倒した後に何が起こるのか、それを『動物農場』は教えてくれます。

この作品は150ページほどの短い小説で、読みやすくありながら驚くほどのエッセンスが凝縮されています。衝撃的な読書になること請け合いです。非常におすすめな作品です!

ディストピア・SF小説から考える現代社会

オーウェル『一九八四年』あらすじと感想~全体主義・監視社会の仕組みとはー私たちの今が問われる恐るべき作品

『一九八四年』は非常に恐ろしい作品です。ですがこれほど重要な作品もなかなかありません。現代の必読書の一つであると私は思います。

私はコロナ禍が始まった頃から特にオーウェル的世界に対し恐怖を感じています。この作品は「今私たちはどのような世界に生きているか」を問うてくる恐るべき作品です。今だからこそ特に大事にしたい名作です

クラシック・西洋美術から見るヨーロッパ

ひのまどか『プロコフィエフ―音楽は誰のために?』~ソ連の天才音楽家の苦悩と生涯を知るのにおすすめの伝記!

ソ連抑圧時代を音楽家の視点から描き出したひのまどかさんの筆には驚くしかありません。ただ単に歴史的な事実を並べるだけではなく、物語として鮮明にその過酷な人生が語られています。人物と共に時代背景まで知ることができる「伝記の利点」がこれ以上ないというほど輝いています。ひのまどかさんの著作には読む度に驚かされます。

スターリンとヒトラーの虐殺・ホロコースト

アーレント『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』概要と感想~ホロコーストはなぜ起こってしまったのか。人間の闇に迫る一冊

この本はアーレントの有名な「悪の陳腐さ」という言葉が生まれた作品になります。

アーレントはこの作品でナチスのホロコーストにおける恐るべき殺人システムの背景を考察します。

アイヒマンは極悪人ではなく、どこにでもいそうな人間であった。これが世界中を震撼させることになり、同時に激しい論争を引き起こすことになりました。

冷戦世界の歴史・思想・文学に学ぶ

ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』あらすじと感想~ソ連の強制収容所の実態を告発

この作品は第二次世界大戦後のソ連の強制収容所を舞台にした作品です。ソルジェニーツィンはこの作品を通してソ連の現実そのものを描写しようとしました。

ソルジェニーツィンはソ連生まれの作家でノーベル文学賞作家であります。今回ご紹介する『イワン・デニーソヴィチの一日』はその代表作であり、『収容所群島』でも有名です。

冷戦世界の歴史・思想・文学に学ぶ

『鉄のカーテン 東欧の壊滅1944-56』~戦後のソ連体制下の東欧を知るのにおすすめ!

この本を読んで驚かされたのはソ連の支配が戦後一瞬で完了したのではなく、さぐりさぐりで様々な過程を経て進んでいったということでした。

ソ連が東欧各地を実効支配しそれで鉄のカーテンが完成という単純な話ではなかったのです。

ここまで紆余曲折があって統治をしていたとは思ってもいませんでした。この本では非常に興味深い事実が次々と出てきます。

ソ連がどのように他国を支配下に置いていったかということを知るには素晴らしい1冊です。とてもおすすめです。