原始仏教

原始仏教の生活倫理インドにおける仏教

中村元選集第17巻『原始仏教の生活倫理』~当時のインド社会と在俗信者の生活、葬儀事情を知れる名著

この本は原始仏教教団と共にあった在家の人々と仏教の教えについて説かれた参考書です。原始仏教教団は言うまでもなく出家者の教団です。世俗の生活とは全く離れた修行生活がその本義です。

ですがその教団は出家者だけで成り立つわけではありません。在家信者として生活する一般の人々あってこその出家教団でもあります。この本ではその一般の人々がどのように仏教と共に生きていたかを知ることができます。

また、原始仏教は葬式をしたのかどうかという問題もこの本では詳しく説かれます。葬式仏教批判に対する答えとしてもこの本は大きな意味があると思います。

原始仏教の思想インドにおける仏教

中村元選集第15,16巻『原始仏教の思想Ⅰ、Ⅱ』~最初期の仏教を思想面で見ていく参考書

今作の分量はなんと二冊合わせておよそ1800ページという驚異の大ボリュームです。

仏教の入門書としては正直おすすめすることはできませんが、原始仏教についてより深く学ぶには非常におすすめな作品です。

この本は原始仏教における思想を原典に即して見ていくところにその特徴があります。最初期の仏教教団はどのようなことを説いていたのか、そしてどのように思想が発展、体系化されていったのかを原典を読みながら解説していきます。原典の引用がとにかく膨大です。

思想面にフォーカスしてがっちり説かれるこの本は読みごたえ抜群の名著です。

原始仏教の成立インドにおける仏教

中村元選集第14巻『原始仏教の成立』~仏教はどのようにして生まれたのか。最初期の教団を取り巻く状況を知るのにおすすめ

この本は仏教教団の最初期について解説された作品です。中村元先生は最初期の仏教教団の様子を当時の時代背景や思想界の様相と絡めてこの本でお話ししていきます。

仏教が起こってきた時代背景については以前当ブログでも紹介した中村元著『古代インド』でも語られていました。この『古代インド』は初学者でもわかりやすく読むことができる入門書として非常におすすめな作品ですが、本作『中村元選集〔決定版〕第14巻 原始仏教の成立 原始仏教Ⅳ』ではさらにかっちりと古代インドと原始仏教教団のつながりを見ていくことができます。

仏弟子の生涯インドにおける仏教

中村元選集第13巻『仏弟子の生涯』~最初期のブッダ教団にはどのような人がいたのか。その出自や性格を知るのにおすすめ

仏弟子といえば舎利弗や目犍連、摩訶迦葉を筆頭とした十大弟子が有名ですが、この本では彼ら十大弟子だけではなく、教団に所属していたたくさんの修行者たちの姿も知ることができます。

この作品では最初期のブッダ教団がどのような雰囲気だったのかを知ることができます。原始仏教について学ぶ上で非常にありがたい作品でした。

中村元インドにおける仏教

植木雅俊『仏教学者 中村元 求道のことばと思想』~日本を代表する仏教学者の桁外れのスケールと生涯を知るのにおすすめ!

実は私はこの本を読むまで、中村元先生その人のことをほとんど知りませんでした。ですが、この本を読んで驚いたのですがまさに異次元とも言える業績を残された方でありました。

この本を読んで、大きな視点で世界を見ていく中村元先生のあり方に私も心打たれるものがありました。

この本は仏教とは何かを考えさせられる、非常に大きな意味を持った作品です。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。先生の異次元の業績に驚くこと間違いなしです。

中村元の仏教入門インドにおける仏教

中村元『中村元の仏教入門』~仏教の基本を学べるおすすめ入門書!初学者にもうってつけの名著

本書は中村元先生の講義録を基にして作られた作品です。中村元先生は1999年に亡くなられました。その中村元先生の講義の雰囲気を感じられる本書はまさに貴重な一冊となっています。

中村元先生の教えは仏教を思想だけでなく、時代背景や実際にインドを訪れた体験を通して語るところにその特徴があります。初学者でもわかりやすい言葉で興味深い内容をたくさん語ってくれる中村元先生です。仏教の入門書としてまず間違いないでしょう。

この本は仏教の基本を学びたい方への格好の入門書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

ゴータマ・ブッタインドにおける仏教

中村元『ゴータマ・ブッダ』~原典を駆使して「人間ブッダ」を明らかにした伝記。神話化されていないブッダの姿とは

神話化されていない仏伝。それがこちらの『ゴータマ・ブッダ〈普及版〉』です。

正直、私たちが普段馴染んでいる仏伝や思想とは異なるものも書かれていますので、驚くこともあるかもしれません。まして日本の僧侶側からすると都合の悪い点もないとは言い切れません。ですがそうして都合の悪いことを隠したりごまかしたりしては思想の発展や仏道は閉ざされてしまいかねません。歴史を検証できる今だからこそそうした事実に向き合い、改めて私自身のあり方を問うことが大切なのではないでしょうか。

ブッダの真理のことば仏教コラム・法話

中村元訳『ブッダの真理のことば』~簡潔で心に響く原始仏教のエッセンスを知るならこの1冊!

『真理のことば』はひとつひとつの文が簡潔で、非常にわかりやすいです。哲学的なものというより生活実践としての言葉がそのほとんどを占めます。ですのでとてもわかりやすく、すっと心に染み入ってきます。

そうしたわかりやすさ、率直さ、簡潔さがあったからこそこのお経が世界中で親しまれることになったのです。

仏教入門としてこのお経は非常に優れています。お釈迦様が説かれていた教えに触れるにはこのお経が非常におすすめです。

ショーペンハウアー哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

生きる意味とは?絶望の時代にどう生きる―ショーペンハウアーを読んで感じたこと

ショーペンハウアーの本を読み、考え、記事にするのはなかなかに厳しい時間でした。普段の数倍疲労感がたまり、気持ちも落ち込みました。

しかしだからこそショーペンハウアーの悲観主義を乗り超えねばならぬとも感じました。ドストエフスキーやトルストイはその偉大なる先達なのだと改めて感じたのでありました。あの時代の文豪たちがなぜあそこまで本気で「生きること」について思索し続けていたのかが少しわかったような気がしました。

絶望の時代だったからこそ彼らは「生きること」に真剣になっていたのだと。そしてその葛藤を文学にぶつけていたのだと。

幸福について哲学者ショーペンハウアーに学ぶ

ショーペンハウアー『幸福について』あらすじと感想~仏教に強い影響を受けたショーペンハウアー流人生論

「幸福は蜃気楼である。迷妄である」

『幸福について』というタイトルから「人生を幸福なものにするための方法」を教えてもらえるのかと思いきや、いきなり幸福など幻に過ぎぬとばっさり切ってしまうあたりショーペンハウアーらしさ全開です。

この本ではショーペンハウアーが「人々の信じる幸福の幻影」を木っ端みじんにし、どう生きればよいのか、真の幸福とは何かを語っていきます。

彼の主著『意志と表象としての世界』と違って、話も短く具体的でとても読みやすくなっています。ショーペンハウアー入門として最適です。