中国

ARCレポートスリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

『ARCレポート スリランカ2023/2024』~最新のスリランカ情勢がまとめられた政治経済の報告書

なんとかスリランカ最新の状況を知ることができないか。2022年の経済危機と暴動は何だったのか。中国の一帯一路はどうなっているのか、インド、アメリカ、日本との関係はどうなっているのか。

インドと違ってスリランカの最新情勢が書かれた本というのはなかなかありません。というより、ほとんど見かけません。

そんな中ようやくヒットしたのが本書『ARCレポート スリランカ2023/2024』でした。

タイトルの通り、まさに最新の最新。2023年版のスリランカの政治経済の報告書が本書になります。

茶の世界史スリランカ、ネパール、東南アジアの仏教

角山栄『茶の世界史』~紅茶はなぜイギリスで人気になったのか。茶から見る世界覇権の歴史を学ぶのにおすすめ!

本作はイギリスの紅茶の歴史と文化を知るのにおすすめの作品です。

しかも単にイギリスの紅茶史の変遷を見ていくのではなく、日本や中国、インド・スリランカといった世界とのつながりからその流れを見ていけるのが本書の特徴です。

これは面白い本です。茶を通して世界の歴史を学べる素晴らしい一冊です。

インドやスリランカの紅茶について知りたいと思い手に取った本書ですが、これは大当たりでした。ぜひぜひおすすめしたい作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

民衆の古代史日本仏教とその歴史

吉田一彦『民衆の古代史』~『日本霊異記』から見えてくる古代の仏教と人々の生活を知るのにおすすめ!

今作は奈良時代の僧景戒によって書かれた『日本霊異記』をもとに当時の人々の生活を見ていく作品です。

本書では奈良時代にしてすでに人々の間で仏教信仰が根付いていたことが明らかにされます。そしてその信仰がどのようなものだったのかということも知ることになります。貴族や僧侶たちではなく、民衆が求めた仏教の救いとは何だったのかということも本書では考えさせられることになります。

日本仏教を考える上でも非常にありがたい作品でした。ぜひぜひおすすめしたい作品です。

聖武天皇日本仏教とその歴史

吉川真司『天皇の歴史02巻 聖武天皇と仏都平城京』~奈良時代の歴史と仏教の流れを知るのにおすすめ!

この本の後半で語られる平城京から平安京遷都の経緯の箇所はとても刺激的でした。平城京から平安京への遷都は仏教勢力から距離を置くためとよく言われますが、実際にはそうではなく、天皇の皇統転換が大きな要因だったというのは興味深かったです。

また仏都平城京と政治都市平安京の役目の違いなど、ふだんなかなか考えない視点から奈良、平安時代を見ていけるのも面白いです。

本自体もとても読みやすく、すらすら読むことができました。

奈良、平安初期の全体像を掴むためのおすすめの参考書です。

古代仏教日本仏教とその歴史

吉田一彦『古代仏教をよみなおす』~仏教伝来と聖徳太子、天皇と国家について学ぶのにおすすめの参考書!

この本ではまさに目から鱗の興味深い指摘がどんどんなされます。聖徳太子と国家形成の流れや神仏習合についての解説は特にそれが際立っています。ものすごく面白いです。

私は浄土真宗の僧侶です。浄土真宗の開祖親鸞は平安末期から鎌倉時代に生きた僧侶でした。開祖が生きた時代についてはよく宗門の講義や法話でよく聴く機会があるのですが、それよりもさらに遡った奈良平安以前の時代背景や仏教についてはなかなかそういう機会もありません。そんな私にとって日本仏教の礎ともなったこの時代の仏教と時代背景を知れたのは非常にありがたいものがありました。

新アジア仏教史11日本仏教とその歴史

『新アジア仏教史11 日本Ⅰ 日本仏教の礎』~日本の仏教受容や聖徳太子についての驚きの事実を知れるおすすめ参考書!

まず言わせてください。

本書『新アジア仏教史11 日本Ⅰ 日本仏教の礎』はものすごく面白いです!

これまで当ブログでは『新アジア仏教史』シリーズの第一弾である『新アジア仏教史01インドⅠ 仏教出現の背景』から何冊も紹介してきましたが、その全てが「え!?そうなの!?」という驚きが満載の参考書でした。

そしてその中でも今作『新アジア仏教史11 日本Ⅰ 日本仏教の礎』はトップクラスに刺激的で興味深い内容が語られていました。

日本仏教の基礎を学ぶ上でこの本は非常に素晴らしい一冊です。ぜひぜひおすすめしたい名著です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

梁の武帝中国仏教と思想・歴史

森三樹三郎『梁の武帝 仏教王朝の悲劇』~仏教信仰に篤かった中国王の善政とその悲劇を知るのにおすすめ!曇鸞とのつながりも

本書では梁武帝の政治と宗教の問題を詳しく見ていくことになります。武帝は当時としては考えられないほどの善政を行っていました。武帝の仏教的な平和文化路線は明らかに人々の生活を豊かにしました。しかしその善政そのものに国の崩壊の原因があったというのは何たる悲しい皮肉ではないでしょうか。

本書ではそんな武帝の善政と国家の崩壊を詳しく見ていくことになります。上の引用にありましたように、国が滅亡していく様はものすごく悲しくなります。武帝自身も脇の甘さと言いますか、失策がもちろんないわけではないのですがそれでもやはり「歴史のもし」を想像したくなります。

また、今作の主人公梁の武帝は浄土真宗にとっても実は非常に深いつながりのある存在です。そうした意味でも本書はとてもおすすめな作品です。

鳩摩羅什中国仏教と思想・歴史

横超慧日、諏訪義純『人物 中国の仏教 羅什』~翻訳僧鳩摩羅什の波乱万丈の人生を知るのにおすすめ!

。鳩摩羅什の苦難の人生は有名ですが、そのひとつひとつの苦難をこの本では詳しく見ていくことになります。

後世を生きる私たちは鳩摩羅什や数々の翻訳僧が遺した経典を当たり前のように享受していますが、その翻訳がなされるまでにどれだけの御苦労があったかをこの本では感じることになります。

以前当ブログで紹介した船山徹著『仏典はどう漢訳されたのか スートラが経典になるとき』とセットでぜひおすすめしたい一冊です。

仏典はどう漢訳されたのか中国仏教と思想・歴史

船山徹『仏典はどう漢訳されたのか スートラが経典になるとき』~お経とは何かを考える上でもおすすめの刺激的な参考書!

古代インドの言葉で作られた経典がいかにして中国語に変換されたのか。

普段なかなか考えることすらない「漢訳の過程」ではありますが、いざその実態を見てみるとこれが面白いのなんの!「ほお!そうやってお経が作られていったのか」と驚くこと間違いなしです。これは刺激的です。

中国仏教や日本仏教を考える上でもこの本は大きな示唆を与えてくれる作品です。

新アジア仏教史07中国仏教と思想・歴史

『新アジア仏教史07 中国Ⅱ 隋唐 興隆・発展する仏教』~道綽・善導についての興味深い事実を知れるおすすめ作品

宗教は宗教だけにあらず。当時の時代背景、政治経済、あらゆる要因が絡んで宗教は変化生成されていきます。

中国は特に国家との関係性が強かったという事情があります。では翻って日本はどうでしょうか。

こうしたことを考える上でも本書は非常に良い思考実験になります。

そして本書を読んで一番興味深かったのは中国浄土教の流れが解説されていた箇所でした。特に道綽と善導という浄土真宗でも七高僧として崇められている二人の高僧についてのお話には刺激を受けました。

この道綽、善導の生涯や人柄についてはなかなか知る機会がないのでこの本で語られる内容はとにかく驚きでした