日本

パウッダインドにおける仏教

中村元、三枝充悳『バウッダ[佛教]』~阿含経とは何か、大乗経典の成立伝播の過程を学ぶのにおすすめの参考書

この本は日本ではあまり馴染みのない阿含経典についてや大乗仏教の成立伝播の過程を学べる参考書となっています。

私も阿含経典とはどのようなものなのか、いつどのようにして日本に入りどのように読まれてきたのかということに興味があったのでこの本は非常にありがたいものがありました。詳しいながらもわかりやすい解説ですので仏教をより深く学びたい方にも読み応え抜群だと思います。

大乗仏教についてもその成立と伝播の過程がわかりやすく解説されます。日本に伝わってきた仏教がどのようなものだったのか、また日本で信仰されてきた仏教とインドの原始仏教との違いがこの本で明らかにされます。

仏教とは何かを考える上で素晴らしい参考書であるのは間違いありません。

生活の世界歴史5インド思想と文化、歴史

辛島昇・奈良康明『生活の世界歴史5 インドの顔』~インド人の本音と建て前。生活レベルの精神性を幅広く知れるおすすめ本!

実際の生活には「本音と建て前」があります。これを無視してどちらかだけを取り上げてしまうと全く別のものが出来上がってしまうという著者の指摘にはたしかに「なるほど」と頷けるものがありました。

本書ではこうした宗教面だけでなく、カーストや芸術、カレーをはじめとした食べ物、政治、言語、都市と農村、性愛などなどとにかく多岐にわたって「インドの生活」が説かれます。仏教が生まれ、そしてヒンドゥー教世界に吸収されていったその流れを考える上でもこの本は非常に興味深い作品でした。

中村元インドにおける仏教

植木雅俊『仏教学者 中村元 求道のことばと思想』~日本を代表する仏教学者の桁外れのスケールと生涯を知るのにおすすめ!

実は私はこの本を読むまで、中村元先生その人のことをほとんど知りませんでした。ですが、この本を読んで驚いたのですがまさに異次元とも言える業績を残された方でありました。

この本を読んで、大きな視点で世界を見ていく中村元先生のあり方に私も心打たれるものがありました。

この本は仏教とは何かを考えさせられる、非常に大きな意味を持った作品です。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。先生の異次元の業績に驚くこと間違いなしです。

中村元の仏教入門インドにおける仏教

中村元『中村元の仏教入門』~仏教の基本を学べるおすすめ入門書!初学者にもうってつけの名著

本書は中村元先生の講義録を基にして作られた作品です。中村元先生は1999年に亡くなられました。その中村元先生の講義の雰囲気を感じられる本書はまさに貴重な一冊となっています。

中村元先生の教えは仏教を思想だけでなく、時代背景や実際にインドを訪れた体験を通して語るところにその特徴があります。初学者でもわかりやすい言葉で興味深い内容をたくさん語ってくれる中村元先生です。仏教の入門書としてまず間違いないでしょう。

この本は仏教の基本を学びたい方への格好の入門書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

名作の宝庫・シェイクスピア

網野善彦『異形の王権』~バフチンの理論にもつながる中世の日本文化を知るのにおすすめ

これまで「親鸞とドストエフスキー」をテーマに世界文学を含めて学んできましたが、やはり最後は日本の歴史・文化とも繋がってきます。海外のことを学んだ上で日本の歴史・文化を改めて見直してみることで新たなものが見えてくることでしょう。私も楽しみです。

シェイクスピア、蜷川幸雄、バフチン、日本の中世と様々な人物・文化が繋がった興味深い読書になりました。かなりマニアックな内容ですが、日本の文化を知る上でも興味深い作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

秋に記す夏の印象~パリ・ジョージアの旅

(17)フェルメールの故郷デルフトのゆかりの地をご紹介!顕微鏡で有名なレーウェンフックとのつながりも!

この記事ではオランダを代表する光の画家フェルメールのゆかりの地デルフトをご紹介します。

フェルメールは生涯のほとんどをこの町で暮らし、数々の名画を生み出しました。そんなデルフトには今も残るゆかりの地がいくつもあります。

また、フェルメールと全く同じ1632年にこの町で生まれたもう一人の天才レーウェンフックについてもこの記事でお話しします。顕微鏡で微生物を発見したことで有名な彼とフェルメールはご近所さんでした。レンズを通して「見えない世界」を探究した二人の偉人の存在には驚くしかありません。

ローマ帝国の興亡とバチカン、ローマカトリック

佐藤彰一『宣教のヨーロッパ』~イエズス会創立の流れやザビエルについて知るのにおすすめ!ベルニーニとのつながりも

イエズス会の創始者イグナティウス・デ・ロヨラの瞑想法がベルニーニの独創的な作品に大きな影響を与えていた。

これは宗教を学んでいる私にとっても非常に興味深いものでした。

で、あるならばそのイグナティウス・デ・ロヨラやイエズス会そのものについてもっと知ってみたい。

そんな思いを持ったからこそ私はこの佐藤彰一著『宣教のヨーロッパ』を手に取ったのでした。

イエズス会やイグナティウス・デ・ロヨラ、ザビエルに興味のある方にぜひおすすめしたい作品です。

イタリアルネサンスと知の革命

A・モンロー『紙と人との歴史』~紙の発明と普及が世界をどのように変えたのか~仏教や中国、日本の歴史を知るためにも

この作品はとにかく情報量がはんぱないです!

2世紀前半に中国で発明された紙がいかに普及していったのか、そしてそれが世界に広がっていく過程でどんなことが起こったのかというのをこれでもかというくらい詳しく見ていきます。

そもそも紙が発明される前の段階、つまり文字がどのように生み出されたのかというお話しから中国の歴史、道教、仏教、イスラム教、キリスト教などとにかく多岐にわたって紙の歴史が語られます。

この本はとにかくスケールが大きいです。読めばきっと驚くと思います。ぜひおすすめしたい逸品です!

フランス文学と歴史・文化

村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』あらすじと感想~私の読書遍歴はこの作品から始まった

今振り返れば、私はこの作品をきっかけに本格的に本の虫になり始めたように思えます。高校時代は受験勉強がメインだったので私はそこまで本を読むことができないでいました。もちろん、本自体は好きだったのですが、やはり大学入学直後の新鮮な時期にガツンと『ダンス・ダンス・ダンス』の洗礼を受けたことが私の読書遍歴を形作ったのではないかと思います。

そんな私の学生時代や20代を思い出させるのが『ダンス・ダンス・ダンス』です。この作品は今の私にとっても宝物です。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

松村昌家『幕末維新使節団のイギリス往還記―ヴィクトリアン・インパクト』~幕末明治の日本人が見たイギリスとは!

この作品では、幕末維新期の使節団から見たヴィクトリア朝、万国博覧会を見ていくことになります。鎖国していた日本から飛び出て、初めて見るヨーロッパの機械文明を見た我らが使節団はどのような反応をしたのでしょうか。普通のイギリス史とは違った視点から見るヴィクトリア朝をこの本では知ることができます。