エンゲルス

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(11)「我々には全てが許されている」~目的のためにあらゆる手段が正当化されたソ連の暴力の世界

今回の箇所ではレーニンの革命観が端的に示されます。

被搾取者である我々はブルジョアジーに対して何をしても許される。

「なぜなら、われわれは世界で初めて、だれかを隷属化ないし抑圧するためではなく、万人を軛

から解放するために剣を取るからである……。血?血を流そうではないか、もしそれのみが海賊的旧世界の灰・白・黒の旗を深紅に変えることができるなら。」

そう言ったレーニンでしたが、彼が権力を握ったことで結局党幹部は腐敗し、平等を謳いながら餓死者が多数出るほど人々は飢え、格差と抑圧が強まったのも事実でした。そしてスターリン時代には抑圧のシステムがさらに強化されることになります。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(10)ロシア十月革命とレーニンの権力掌握の流れをざっくりと解説

この記事ではレーニンが権力を奪取していく過程をお話ししていきます。

クーデターによって成立したボリシェヴィキ政権が長く生き残ることを当時の誰も想像していなかったというのは、どこかナチスのヒトラー政権の成立を思わせます。

ドイツ国民もまさかヒトラーがあそこまでの権力を持つことになろうとは想像していなかったとされています。

「まさかこうなるとは」というのが歴史の怖い所です。そしてこれは形を変えて繰り返される危険性があります。私たちも他人事ではありません。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(9)第一次世界大戦とレーニン~ドイツの支援と新聞メディアの掌握

なんと、レーニンの政治活動の背後にはドイツ政府の秘密資金があったのでした。しかもその金額が桁外れです。そうした資金があったからこそロシアでのメディア掌握が可能になったのでした。

そもそもロシア二月革命勃発時、スイスに亡命中だったレーニンを封印列車でロシアに送り届けたのもドイツです。

ドイツは戦争からの撤退を主張していたレーニンをロシアに送ることで、ロシア政府が対独戦争から手を引くことを狙っていたのでした。

ですのでドイツは帰国後もレーニンを秘密裏に支援していたのです。

レーニンが権力を掌握できたのもドイツの戦略があったからこそというのは私にとっても驚きでした。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(8)レーニンの黒い資金源~若きギャング、スターリンの暗躍

今回の記事で読んでいく箇所は私にとってもかなりの驚きでした。

こうまで堂々と強盗をしそれを資金源にする集団が政治集団として表舞台にいるという事実。

そしてこの時から影のギャングスターとして暗躍していた後のソ連の独裁者スターリンの存在。

資本家は労働者から収奪していたのだから、我々から収奪されるのは当然だという理屈をレーニンは主張します。まさに「目的は手段を正当化する」というレーニンの思想が表れています。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(7)レーニン・マルクス主義は宗教?政治家レーニン最大の手腕とは

この記事で説かれる箇所はこの本の中でもトップクラスに重大な指摘です。「宗教とは何か」という問題においてこれはかなり突っ込んだ内容です。もちろん、ここで述べられること=宗教と絶対的に言い切れるわけではありませんが、宗教が広まっていく過程をピンポイントで指摘しているようにも思えます。

これは僧侶である私にとっても無視できない問題です。レーニンの生んだ共産主義ソ連は宗教がベースになっている可能性がある。宗教をどう定義するかによっても異なってきますがこれはこの後も考えていかなければならない大きなテーマであると思います。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(5)なぜ口の強い人には勝てないのか~毒舌と暴言を駆使するレーニン流弁論術

レーニンは議論において異様な強さを見せました。その秘訣となったのが彼の毒舌や暴言でした。

権力を掌握するためには圧倒的に敵をやっつけなければならない。筋道通った理屈で話すことも彼にはできましたが、何より効果的だったのは毒舌と暴言で相手をたじたじにしてしまうことでした。

この記事ではそんなレーニンの圧倒的な弁舌についてお話ししていきます。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(4)革命家のバイブル、チェルヌィシェフスキーの『何をなすべきか』に憧れるレーニンとマルクスとの出会い

レーニンは兄の処刑によって革命家の道に進むことになりました。しかし最初からマルクス主義者として出発したのではありませんでした。彼はまずチェルヌイシェフスキーに傾倒します。

レーニンの母は彼が兄と同じ道を辿ることを恐れました。そのため農地経営を彼にさせようとしますが全く興味を示しません。彼は田舎生活を読書三昧で過ごし、自らの思想を練っていたのです。

そしてその後さらに心配した母は今度は弁護士になることを勧めます。そして驚くべきことに通常4年かかるカリキュラムを1年で終え、全ての科目でトップを取るという異次元の頭脳を見せつけました。やはりレーニンは驚くべき人物です。

こうして弁護士としての資格を取得しつつも、彼は革命家としての道を進んで行くことになります

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(2)レーニンの出自~貴族階級で裕福な家庭環境と人生を変えた兄の処刑とは

レーニンといえば、その後のソ連の方向を決定づけた冷酷な独裁者というイメージがありました。しかし彼は裕福で温かな家庭で育った普通の人間でした。そこから兄の処刑、町でのつまはじきなど、これまでの生活ががらりと変わってしまいました。こうした背景があったからこそレーニンが革命家になっていったと知り、それまでの冷酷で残酷な独裁者とはちょっと違った印象を受けることとなりました。

もちろん、レーニンのことを全肯定したとかそういうことではありません。しかし、身内が皇帝に殺されたという背景、家庭が壊されたという被害者意識、周囲の人間たちに手のひら返しをされたことによる人間不信など、様々な要因があってレーニンは革命へと突き進んでいったことを知ったのでありました。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

(1)なぜ今レーニンを学ぶべきなのか~ソ連の巨大な歴史のうねりから私たちは何を学ぶのか

ソ連の崩壊により資本主義が勝利し、資本主義こそが正解であるように思えましたが、その資本主義にもひずみが目立ち始めてきました。経済だけでなく政治的にも混乱し、この状況はかつてレーニンが革命を起こそうとしていた時代に通ずるものがあると著者は述べます。だからこそ今レーニンを学ぶ意義があるのです。血塗られた歴史を繰り返さないためにも。

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

V・セベスチェン『レーニン 権力と愛』~ロシア革命とはどのような革命だったのかを知るのにおすすめの伝記!

この本ではソ連によって神格化されたレーニン像とは違った姿のレーニンを知ることができます。

そして何より、この伝記はとにかく面白いです!なぜロシアで革命は起こったのか、どうやってレーニンは権力を掌握していったのかということがとてもわかりやすく、刺激的に描かれています。筆者の語りがあまりに見事で小説のように読めてしまいます。

この本はとにかくおすすめです。

ロシア革命やレーニンを超えて、人類の歴史や人間そのものを知るのに最高の参考書です。