ウィーン最高の思い出、カールス教会でのクラシックコンサート。本場の音楽を初体験 釈隆弘の世界一周記―オーストリア編⑤

オーストリア編

ウィーンで自由に動くことのできる時間はたったの1日のみ。

その1日の最後をどう締めくくろうか。

悩んだ末にぼくが出した答えは、教会コンサートなるものだった。

ウィーンはクラシック音楽の本場。

クラシックのクの字もわからないぼくではあったが、やはり本場のクラシックというものを聴いてみたい。

しかし、いきなりドレスコードが必要な本格的なコンサートに行くのは気が引ける。

そこで色々と調べてみると、ウィーンでは毎日いたるところでコンサートが行われているというのだ。

その中でもおすすめと出ていたのがカールス教会でのコンサート。

まず、教会自体がとても美しい。

そしてそこで行われているコンサートの質も信頼できるとのことだった。

開演時間は20時15分。

30分前に着くように出かけたのだが、外は夕暮れ時。

夕日に照らされたウィーンの街を歩く。

奥に見える建物がカールス教会だ。

シュテファン大聖堂のある街の中心部からも歩いて20分少々で着くことができる距離だ。

地下鉄を使うよりも、歩きながらゆっくりとウィーンの美しい街並みを堪能することをお勧めする。

カールス教会に到着。

2本の塔と神殿のような入り口が特徴的な教会だ。

実に美しい。

これまで見てきた教会とはまた違った姿をしている。

この教会も1713年から建築が始まったバロック建築の教会だそうだ。

さて、今日ぼくが聴く演目はヴィヴァルディの四季。

たぶん、聴けば「あぁ、この曲か!」となるだろうと思いつつ、予習もせずここまで来てしまった。

チケットはあらかじめカールス教会のHPで予約購入済み。

チケットはカテゴリー1から4までの3つの料金がある。

一番良い席のカテゴリー1で40ユーロ。その次のカテゴリー2で32ユーロ、立見席のカテゴリー4で12ユーロだが、ぼくは断然カテゴリー1をおすすめする。

カテゴリー1のみ指定席で前方13列までを確約してくれる。

他のカテゴリーだと自由席なので早くから教会に着いていないと席探しだけで大変なことになる。

他にもぼくがカテゴリー1を勧める理由は他にもあるのだが、ここはまず教会に入場してみよう。

まず驚いたのは宙に吊るされた巨大な球体と工事の足場。

そしてさらに驚いたのはそのお客さんの数だ。

広い教会内にびっしりとお客さんが座っている。

この写真ではわかりにくいが、少なくとも400人以上はいるだろう。

横に20人ほど、そして前方からは25列ほどもあるように見えた。

それがほとんど満席なのだ。

それもそのはず、HPで調べてみるとここでの演奏はかなり本格的なオーケストラによって演奏されているようだ。

期待が高まる。

ぼくは前方から8列目。見やすくて良い位置だ。

開演時間になると、演奏者が入場してくる。

9人が弦楽器。そして一人がピアノのような楽器、という編成だった。

最初は、聴こえてくる音が少し小さく感じられ、ぼくは少し不安になった。

大丈夫なのかこれは・・・本当にすごい人達なのか?

しかし、そんな不安も全くの杞憂であることがすぐにわかった。

いつの間にかその音量にも耳が慣れ始める。

そしてソリストが中央に出てくる。

この方の演奏はまさしく踊るようなバイオリンだった。

曲のリズムや音に合わせて、まるで踊っているかのように体を大きく動かす。

自分が演奏していない時も、周りのリズムに合わせて体を揺らしたり、楽しそうに合いの手を入れていた。

そう、とても楽しそうに演奏していたのだ。

ぼくはいつの間にか自分がそのソリストの演奏に引き込まれていることに気づいた。

そして、自分がこのコンサートをとても楽しんでいることにも。

1曲1曲が終わるのが名残惜しい。

ずっと聴いていたい。

素直にそう思えた。

ぼくはクラシックがわからない。

誰が上手くて、何ができれば上手いという判断基準も持ち合わせていない。

でも、この演奏は楽しかった。そしてずっと聴いていたいと思った。

自分が明らかにこの演奏に引き込まれているのがわかる。

だとしたら何が上手いとかそんなのは気にしなくていいじゃないか。

だって、こんなに楽しいのだから。

演奏は1時間ほどで終了。

演奏の終了と同時に、会場は盛大な拍手に包まれた。

周りを見渡すと、ほとんど皆がスタンディングオベーションだ。

ぼくも乗り遅れまいと立ち上がって、力の限りの拍手で応えた。

皆がこれだけ感動して拍手を送ったのだ。

きっとこの演奏は本当に素晴らしいものだったのだろう。


教会から帰るときに、改めて天井を見上げてみる。

それにしてもこの球体の存在感たるやものすごいものがある。

なぜこれがここにあるのかまったくわからない。

しかし悔しいかな、これが本当に美しい。

大小二つの球体が生み出す立体感と奥行き、そして天井画。

隣に工事の足場があってもまったくそれを感じさせない。

いや、その足場でさえアートと感じさせられてしまう。

これには恐れ入ってしまった。

外に出ると、そこはもう夜のウィーンだった。

ライトアップされた教会がぼくを見送る。

目の前にある池に、教会の姿が映っている。

本当に水の中にこの建物があるのではないかと錯覚してしまうほどくっきりと、そして立体感を持って水面に映っていた。

目の前の光景は、しばらくその場から動けなくなるほどの美しさだった。

なんと満足感に満ち溢れた帰り道だったことだろう。

本当に素晴らしいコンサートだった・・・

街中、見えるもの全てが美しい。

なんだ、、、ずいぶんと君もいいとこあるじゃないか・・・

自分がウィーンに対して抱いていた気持ちがずいぶんと変わっていることに気づく。

プラハとの別れから悲観的になっていたぼくの心が、どうやらようやく立ち直り始めたらしい。

国立オペラ座

ライトアップされた街並みをそぞろ歩きながら、ぼくはホテルへと帰って行く。

何はともあれ、ウィーン最後の夜はこうして終わりを迎えた。

非常に素晴らしいコンサートだった。

おかげでウィーンを楽しい思い出と共に終えることができた。

次の目的地はボスニア・ヘルツェゴヴィナ。

第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件。

そして1990年代に起こったボスニア紛争。

ぼくにとって、この国は宗教や民族のことを考える上では決して避けては通れない国だった。

明日からはサラエボに滞在することになる。

一体どのようなことがぼくを待ち受けているのだろうか。

続く

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