大乗仏教

インド宗教興亡史インド思想と文化、歴史

保坂俊司『インド宗教興亡史』~仏教、ヒンドゥー教、イスラム教だけでなくシク教、ジャイナ教などとの相互関係も知れる参考書!

この本はインドの宗教を学ぶ上で非常にありがたい参考書です。

と言いますのも、この本ではインドに多数ある宗教をそれぞれ別個に見ていくのではなく、その相互関係に着目して語っていく点にその特徴があるからです。

インド古代のバラモン教と仏教、ジャイナ教の関係。そこから時を経てヒンドゥー教とイスラム教が力を増す背景とは何だったのか。なぜ仏教は衰退したのか、そしてその姉妹宗教と言われるジャイナ教はなぜ今も生き残ることができたのか。これらを時代背景や宗教間の相互関係から見ていけるこの本は非常に貴重です。宗教は宗教だけにあらず。歴史や文化、政治経済すべてが関わります。この本ではそんな歴史のダイナミズムを感じることができる非常に刺激的な作品です。

中村元インドにおける仏教

植木雅俊『仏教学者 中村元 求道のことばと思想』~日本を代表する仏教学者の桁外れのスケールと生涯を知るのにおすすめ!

実は私はこの本を読むまで、中村元先生その人のことをほとんど知りませんでした。ですが、この本を読んで驚いたのですがまさに異次元とも言える業績を残された方でありました。

この本を読んで、大きな視点で世界を見ていく中村元先生のあり方に私も心打たれるものがありました。

この本は仏教とは何かを考えさせられる、非常に大きな意味を持った作品です。ぜひぜひおすすめしたい一冊です。先生の異次元の業績に驚くこと間違いなしです。

古代インドインドにおける仏教

中村元『古代インド』~仏教が生まれたインドの風土や歴史を深く広く知れるおすすめ参考書!

この本はまずインドの先史時代から始まり、インダス文明、アーリア人の侵入、バラモン教の発展など、仏教が生まれ、衰退するまでの過程を詳しく知ることができます。なぜ仏教は生まれたのか、どのような人にブッダの教えが響いたのか、どのようにして仏教教団がインドに広がっていき、最後には衰退することになってしまったのか、それらの大きな流れをわかりやすく学ぶことになります。

仏教の教えや思想を解説する本はそれこそ無数にありますが、それらの思想が生まれてきた時代背景や気候風土をわかりやすくまとめた本は意外と少ないです。この本は私達日本人にとって意外な発見が山ほどある貴重な作品です。これを読めばきっと驚くと思います。

インド文化入門インド思想と文化、歴史

辛島昇『インド文化入門』~謎の国インドを映画、食、物語、言語など様々な切り口で見ていくおすすめ入門書

この本はインド初学者でも楽しく読み進めることができるとても面白い作品です。語られる内容も多岐にわたっていますので、きっと読者ひとりひとりにぐっと来る章が必ずあると思います。

私の中で一番印象に残ったのは第十章の「カレー文化論―南アジアの統一性」です。インドといえば「カレー」というのは私もイメージとして強くあったのですが、ではいざ「そのカレーってそもそも何なのだろう」と聞かれるとなかなか難しい。漠然としか「カレー」という存在を考えたことのなかった私にとってこの章はとても刺激的でした。まさかカレーがインド文化そのものを知る大きな鍵となっていたとは!

とても刺激的で面白い作品です!

中村元の仏教入門インドにおける仏教

中村元『中村元の仏教入門』~仏教の基本を学べるおすすめ入門書!初学者にもうってつけの名著

本書は中村元先生の講義録を基にして作られた作品です。中村元先生は1999年に亡くなられました。その中村元先生の講義の雰囲気を感じられる本書はまさに貴重な一冊となっています。

中村元先生の教えは仏教を思想だけでなく、時代背景や実際にインドを訪れた体験を通して語るところにその特徴があります。初学者でもわかりやすい言葉で興味深い内容をたくさん語ってくれる中村元先生です。仏教の入門書としてまず間違いないでしょう。

この本は仏教の基本を学びたい方への格好の入門書です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

ゴータマ・ブッタインドにおける仏教

中村元『ゴータマ・ブッダ』~原典を駆使して「人間ブッダ」を明らかにした伝記。神話化されていないブッダの姿とは

神話化されていない仏伝。それがこちらの『ゴータマ・ブッダ〈普及版〉』です。

正直、私たちが普段馴染んでいる仏伝や思想とは異なるものも書かれていますので、驚くこともあるかもしれません。まして日本の僧侶側からすると都合の悪い点もないとは言い切れません。ですがそうして都合の悪いことを隠したりごまかしたりしては思想の発展や仏道は閉ざされてしまいかねません。歴史を検証できる今だからこそそうした事実に向き合い、改めて私自身のあり方を問うことが大切なのではないでしょうか。