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ナポレオン三世とフランス第二帝政の特徴6つをざっくりと解説!現代社会を形作ったユニークな改革とは

ナポレオン
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ナポレオン三世とフランス第二帝政の特徴6つをざっくりと

本日は鹿島茂氏の『怪帝ナポレオンⅢ世―第二帝政全史』を参考に、後期ドストエフスキー時代に大きな影響を与えたフランス第二帝政についてざっくりとお話ししていきます。

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ナポレオン三世はあのナポレオン・ボナパルトの血を引いていて、フランス二月革命後の政治混乱に乗じて1851年にクーデターを実行、そして1852年からフランス皇帝となった人物です。

ナポレオン三世(1808-1873)Wikipediaより

このナポレオン三世という人物その人もとても興味深いのではありますが、かなり込み入った話になってしまうので、今回は第二帝政時代の特徴にのみスポットを当てていきたいと思います。

では、早速始めていきましょう。

第二帝政の特徴① サン・シモン主義的経済政策

第二帝政時代の1852-1870年というのはフランス経済がこれまでの比ではないほど急激に成長した時代でした。

このバブル経済ともいうべき圧倒的な繁栄がどのように実現されたかというと、このサン・シモン主義的な経済政策があったからなのです。

サン・シモン主義とはざっくり言いますと、

私企業の育成をはかることで産業を無制限に発達させ、それによって民衆の生活水準を向上させようという考え

講談社 鹿島茂『怪帝ナポレオンⅢ世―第二帝政全史』 P25

というものであります。

つまり、それぞれの企業にどんどん金儲けをさせ、圧倒的な資本力を背景にした大企業を作る。そしてその資本力によってさらに巨大な市場を作り出し富の総量を増大させれば、結果的に人々の生活は向上するだろうという考え方です。

さらにざっくりと言うなら「金儲けせよ!それは良いことだ!世のためになるのだからどんどんビジネスに突き進みなさい!金は善なり!」とも言うことができるかもしれません。

今では当たり前のように思える考え方かもしれませんが、当時としてはここまで露骨に莫大なる資本投下をすることはあまり考えられていませんでしたし、仮にしたとしても成功する土壌がまだ整っていなかったのでありました。

お金は確かに身を亡ぼすかもしれません。しかし同時に人間を生かす力も秘めている。圧倒的な経済力は世の中を潤し、苦しむ人の救済になる。こうした理想がサン・シモン主義には描かれているのです。

こうした経済第一主義的な政策によって第二帝政は異常なほどの経済繁栄を誇るようになるのです。

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第二帝政の特徴② 鉄道革命

鉄道自体は、1830年時代にイギリスやアメリカで爆発的に鉄道網が整備されていったように1850年代においてはそれ自体は新しいものというわけではありません。

フランスでもすでにいくつかの鉄道路線がありました。しかしそれはパリと郊外の行楽地を結ぶ観光列車ほどの扱いで、鉄道に対する経済的な価値はほとんど顧みられることはなかったのです。

ですが第二帝政に入ると驚異的なスピードでその鉄道網をフランス中に張り巡らします。

これによってパリはフランス全土と直結することになり、人と物資の輸送が圧倒的に便利になりました。大量の物資の迅速な移動がついに可能になったのです。

これまで馬車で運んでいたものを鉄道で運ぶのですからその輸送効率はもはや比べ物になりません。

鉄道網の完成は私たちの想像するよりはるかに甚大な影響をフランスに与えることになります。

これまではそれぞれの地域で独立して成り立っていたものが、すべてパリの影響下に入ることになるのです。日本で例えるなら、地方の東京化です。それまで地方で完結していた経済や文化が、あらゆる面で東京の影響を強く受けることになります。ビジネスの効率化という名目でどれほど多くの中小企業、小売り店が消えていったかは私たちもイメージしやすいかと思います。

鉄道網の完成は社会のシステムを変えるほどの大きな出来事なのです。

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第二帝政の特徴③ パリ大改造

第二帝政の目玉の一つにパリの大改造が挙げられます。

当時のパリは人口過密で建物も密集し、悪臭や感染症の温床でした。

そこでナポレオン三世はこの街の景観をがらっと変えてしまうパリ大改造を決断します。

彼はオスマンという人物を責任者に抜擢し、パリの密集した建物を破壊し、新たな街並みを作り始めます。

このパリ大改造の結果が今私たちが目にしている美しいパリの街並みなのです。

広い道路やその両側に整然と並ぶパリらしい整った建物。

これらは元からあったものもありますが、その大部分がこの時代にナポレオン3世のパリ大改造を行ったからこそのものなのです。

この大改造によって街並みはきれいになり、道も広くなったことで渋滞も解消、人々も美しい町並みを見ながらゆとりを持って街を散策できるようになりました。

広い通りに面した一等地には巨大な商業施設が出来上がり、経済も活性化していきます。

旧い景観が失われてしまったという批判もありつつも、パリ大改造はパリの繁栄に大きな影響を与えたのでありました。

第二帝政の特徴④ 金融戦争の勃発

4つ目の特徴として金融戦争の勃発を見ていきます。

この時代は株式投資が過熱し、まさしくバブル経済の様相を呈していました。

先に述べたようにこの時代は鉄道網が急激に広まり、パリ大改造という前例のないほどの建築ブームに沸いていました。

ここに投機ブームが広がり、人々は狂ったように株を買い漁りました。

この株は絶対に上がる!

人々はそう信じ、熱狂の渦に身を任せるのでした。

そしてその熱気の裏で巨大銀行同士の激しい戦いが繰り広げられ、前代未聞の金融戦争が勃発していたのです。

この時代はとにかく「お金」です。お金の存在感が圧倒的に強まった時代でした。

これは日本も全く他人事ではありません。日本のバブル経済の熱狂と破綻後の悲惨はすでにこの時代に予言されていたのかもしれません。

フランスの文豪エミール・ゾラはまさしくこの投機バブルを『金』という小説に描いています。

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第二帝政の特徴⑤ パリ万国博覧会の開催

万国博覧会といえば、私たちは大阪のイメージをしてしまいますが、そもそも万国博覧会はいつどこで始まったのでしょうか。

実はそれがパリなのです・・・と言いたいところですが実はその最初は1851年のロンドン万博で、パリ万博は1855年にスタートしています。

万博の大きな特徴は、その開催によって自国の技術や経済的繁栄を世界中に知らしめることができるという点にあります。

つまり国のブランド化が可能になるのです。

自国の産業を発展させるために万博というものが絶大な影響を与えることを第二帝政は強く意識していました。

第二帝政期には1867年にも万博を開いています。

ナポレオン三世がいかに万博を重視しているかが伺えます。

万博についてはドストエフスキーとも直接関係があるので後の記事で改めて取り上げます。

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第二帝政の特徴⑥ デパートの誕生

デパートといえば私たちの身の回りには街の顔となる大きなデパートがいくつもありますよね。

当たり前のように存在しているこのデパートですがその発祥がこの第二帝政期のフランスにあったのです。

広大な売り場面積、圧倒的な品物の量、バラエティ、薄利多売の商売方式など現代のビジネスモデルが生まれてきたのはまさしくこの時代だったのです。

そういう意味でもこの時代のフランスこそ、私たちのライフスタイルとも直結していると言うことができるのです。

デパートについてもこの時代の時代精神を知る上でも非常に重要ですので後の記事で改めて紹介します。

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まとめ

ここまでかなりざっくりとではありますのが第二帝政期の特徴をまとめてきました。

この時代はそれまでのフランスとは一気に様変わりするほどの急激な経済成長を見せます。

バブル経済の熱気は人々を強烈な欲望へと駆り立てます。

「あれもほしい、これもほしい、もっとほしい、もっともっとほしい」とはよく言ったもので、まさしくこの時代は欲望の追求が人々を支配した時代でした。いや、過去形ではなく、それは今もなお私たちの中に強烈に根付いています。

経済が発達することでより多くの人がお金を持つようになります。そうすると今まであきらめていたものや欲しいとすら思わなかったものも欲しくなってくるのです。

そしてより良いものを持つことで自分自身も良くなっているように感じるようになってきます。

となるともっと良いものをたくさん持てばもっと良い人間になれる。

だからこそもっと買わなければならない。自分がもっと良くなるために…

という無限のループが始まっていきます。

フランス第二帝政はそうした人々の熱狂が渦巻く時代だったのです。

ドストエフスキーは逮捕後10年間もシベリアに隔離され、1859年にやっとのことで戻ってきた3年後の1862年、初めてこのパリを訪れます。

その時のドストエフスキーの驚き様、愕然とした様はいかほどのものだったでしょうか。彼はまさしく浦島太郎状態だったのではないかと私は想像しています。

フランス第二帝政の状況を学ぶには今回参考にした鹿島茂氏の『 怪帝ナポレオンⅢ世―第二帝政全史』 は非常におすすめです。読みながら思わず口をぽかんと開けてうわぁ~と何度も呻いてしまったほどです。それくらい意外な発見でいっぱいです。とにかく面白いです。

次の記事ではドストエフスキーとロンドン万博の水晶宮、パリ万博についてお話ししていきます。

以上、「ナポレオン3世とフランス第二帝政の特徴6つをざっくりと」でした。

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この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

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