Chizuko Hashimoto, "Nihilism and Nothingness - Intercultural Clarification of Schopenhauer/Nietzsche and Indian Thought" - recommended for learning the connection between nihilism and Buddhist thought.

Nietzsche and Dostoevsky

橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』概要と感想~ショーペンハウアー、ニーチェのニヒリズムと仏教思想の繋がりを学ぶのにおすすめ!

Friedrich Nietzsche (1844-1900)wikipedia.

今回ご紹介するのは2004年に京都大学学術出版会より発行された橋本智津子著『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』です。

Let's take a quick look at the book.

西洋近代哲学の二大巨人・ショーペンハウアーとニーチェの「無」と「ニヒリズム」の思想は、キリスト教との激烈な相剋によって形成されたものと一面的に捉えられてきたが、実は東洋のインド思想との出会いによってさらに促されたことを実証的に論証したものである。特に、ニーチェとインド思想との邂逅はこれまで見過ごされてきただけに刺激的である。

京都大学学術出版会商品紹介ページより

In this book we will look at the connection between Schopenhauer and Nietzsche's Indian thought.

The influence of Indian thought is evident in Schopenhauer's The World as Will and Representation and On Happiness.

Nietzsche, who was strongly influenced by Schopenhauer, was also interested in Buddhist thought. In his later works, Nietzsche made numerous references to Buddhism, and the same Nietzsche who had harsh opinions about Christianity expressed a favorable view of Buddhism.

In this book, we will see which Indian philosophical and Buddhist texts Schopenhauer and Nietzsche actually consulted and used as food for their own thought.

It is easy to say, "They were influenced by Indian philosophy and Buddhism," but when it comes to which literature and reference books they actually read, it is a difficult question.

そもそもインド哲学や仏教がヨーロッパ、特にドイツに紹介され話題になり始めたのが19世紀初頭であり、まだまだ資料もほとんどない状態でした。ショーペンハウアーが主著の『意志と表象としての世界』を完成させたのが1818年。つまりショーペンハウアーは当時としてはかなり先端を行く研究をしていたことになります。

著者もこの件について次のように述べています。

ショーぺンハウアーやニーチェがそれぞれの時代に東洋思想から何をくみ取り、それが彼らの思想にどう影響したのかを知るためには、彼ら自身が読んだ東洋思想の文献を研究するより他に、方法はない。というのも、19世紀に入って初めてヨーロッパで本格的な学術研究が始まったインド学は、19世紀前半と後半を比較しただけでも内容がずいぶん異なるものであるし、ましてや当時より格段に研究が進んだ今日のインド学に比べると、その差異は非常に大きいといえるからである。それに、例えばひとくちに仏教といっても、今日知られる仏教思想をニーチェと比較する際には、どの仏教思想との比較であるのかを明らかにしてから、すなわち上座部仏教なのか大乗仏教なのか、竜樹の思想なのか道元の思想なのか、といった細かい区別をしてまず特定の立場を明確にしてからでなくてはならない。しかし、ショーぺンハウアーやニーチェの時代には、そのような区別はほとんどなされていなかったし、彼らはどの宗派だとか誰の思想だとかも知らず、ただ一括して「仏教思想」というものについて言及しているのである。

以上の点を考慮すると、19世紀ヨーロッパにおけるインド学の内容を把握し、これとショーぺンハウアー、ニーチェの思想との関連を研究することは、ニヒリズム思想成立の背景とニヒリズムの内容を把握する一つの重要な契機になると考えられる。したがって本書では、ショーペンハウアーとニーチェが実際に当時読んだ東洋思想の文献を資料に用い、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、両者の思想上の関係を解明するという方法を取るのである。

京都大学学術出版会、橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』P7-8

たしかに一口に仏教と言っても時代や地域によってかなり異なったものになります。そうした事情を考慮した上でショーペンハウアーやニーチェがどのように仏教を理解したのかを探ることは非常に意義深いことだと思います。

私はこの本を読んで仏教経典を読みたくなりうずうずしてきました。「空」の思想を大成した竜樹の経典は大学院時代に読んだきりで久しく目を通していません。現在のドストエフスキー研究が一段落すれば今度は仏教研究に入っていく予定です。その時がものすごく楽しみになってきました。

仏教が世界の思想と繋がっていく過程を知れるのは非常に興味深いことです。仏教が西洋に与えたインパクトはとてつもないものだったのでしょう。そうした視点からも仏教を学ぶのもこれからの学びにきっと生きてくるのではないかと感じました。

This is a good book for those who want to learn more about the connection between nihilism and Buddhism.

以上、「橋本智津子『ニヒリズムと無ーショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明』」でした。

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