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(55)マリユスはクールフェラックの家に居候していたのではない?彼の貧乏暮らしの始まりについて

ユゴーの原作『レ・ミゼラブル』を読む
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「ユゴーの原作『レ・ミゼラブル』を読む」(55)マリユスはクールフェラックの家に居候していたのではない?彼の貧乏暮らしの始まりについて

第三部 マリユス 第四章 ABCの友 ⑸

コンブフェールに完膚なきまでに論破され、アンジョルラス以外のメンバーから総スカンを食らったマリユス。場違いな大演説をぶってしまった彼にも落ち度はありますが、見ているこっちも気の毒になってしまうほどマリユスは凹んでしまったのでした。

さて、そんなマリユスでありましたが、彼にも現実の生活というものがあります。

ジルノルマン氏の家を飛び出してからは「うちに来たまえ」と言ってくれたクールフェラックの隣室に彼は滞在していました。

そしてある日、その家の主人から「お金を頂きたいんですが」と言われます。

私はこの箇所を読んだ時、「ん?」と混乱してしまいました。てっきりマリユスはクールフェラックの家に居候させてもらっているものだと私は思いこんでいたのですが、どうもそうではないようなのです。

この後クールフェラックもやって来てお金の計算や今後の生活についての話になるのですが、「ホテルの勘定はどうする?」というクールフェラックの言葉で私もはっきりしました。マリユスはクールフェラックの隣の部屋を借りていたのです。クールフェラックが「うちに来たまえ」と言ったのは、「俺の住むホテルはおすすめだぞ」という意味だったのです!なんと紛らわしい!

私は以前、会って間もないマリユスに「うちに来たまえ」と言ってのけたクールフェラックを男前だと書きましたが、これではだいぶその印象が変わってしまいますよね。少なくとも、男前感がだいぶ下がりました笑。まあ、彼が陽気で人の良い人間であることは変わりませんが、ちょっとびっくりな事実でありました。

マリユスはクールフェラックの助けもあり、手持ちの古着と時計を売ってなんとか宿代を払うことができました。ですが、これ以上はもう無理です。ここを出ていくしかありません。

ただ、くしくもこのタイミングで叔母がマリユスの居場所を突き止め、この宿に小箱が届けられました。この小箱には祖父から預かった600フランが入っていました。このお金があれば当分ここに住み続けることができます。

・・・が、マリユスは意地でもそれを受け取ろうとしません。このお金を丁重に送り返したのでありました。

こうして彼はほとんど一文無しの状態でこのホテルを引き払い、極貧暮らしがスタートしていきます。そして最終的に行きついたのがジョンドレッド一家(テナルディエ一家)が住むゴルボー屋敷だったのです。やっと物語が繋がり始めました。

そして次の章からマリユスの貧乏暮らしの様相やユゴーの貧乏論が展開されていきます。

続く

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この記事を書いた人

2019年「宗教とは何か」をテーマに80日間で13カ国を巡り、その旅をもとにした世界一周記を全国9紙で連載。
現在は北海道新聞「みなみ風」で『インド・スリランカ仏跡紀行』を連載中。

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