ドストエフスキー

ローマとドストエフスキー『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(42)ローマ・カトリックを批判したドストエフスキーは美の殿堂・劇場都市ローマに何を思うのだろうか

これまで41回にわたってローマの旅行記を更新してきました。

この旅行記の序文でお伝えしたように、私は「ローマカトリックが嫌いなドストエフスキーではあるが、その本山サンピエトロ大聖堂やローマのベルニーニの舞台芸術に心奪われずにいられるだろうか」という問いを立てローマを巡りました。

私にとってはこのローマの滞在中、片時もドストエフスキーを忘れたことはありませんでした。私はこのヨーロッパ滞在中常にドストエフスキーと共にいました。

ではこのローマ滞在においてドストエフスキーは実際にローマをどう思ったのでしょうか。

本当のところはドストエフスキーが何も書き残していない以上わかりません。ですが、そうではあるものの、私は「ドストエフスキーはローマを好きだけども嫌いになったであろう」という結論に至りました。

パヴロフ産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

『オックスフォード 科学の肖像 パヴロフ』「条件反射」やパヴロフの犬で有名なロシアの偉大な科学者のおすすめ伝記!

「条件反射」や「パブロフの犬」といえば現代の脳科学や神経の研究とも直結してくる内容です。ですのでもっと最近のものであったり、イギリスやドイツ辺りで研究されていたものとすっかり思い込んでいました。

それがまさか19世紀のロシアだったとは!

ドストエフスキーやトルストイが科学をほとんど感じさせない心理的、宗教的著作を描いていたまさにその時、パヴロフが科学的研究に勤しんでいた・・・

これはロシア文学のことだけを考えていると、正直なかなかイメージできないものがありました。そういう意味でこの伝記は当時のロシアを科学といういつもとは違った切り口から見ることができたありがたい作品でありました。

読書 プラハ僧侶の日記

本好き僧侶が薦めるおすすめ小説24選~入門から上級編までレベルごとにおすすめ作品をざっくりご紹介!

今回の記事では読書の初心者から上級者までレベルごとにぜひおすすめしたい小説をご紹介していきます。

基本的にここで紹介する本はどれも私が自信を持っておすすめする名著です。そのいずれもが最高に面白い作品ですので入門編や上級編などの分類を気にせず興味が湧いた本についてはぜひリンク先のページも覗いてみて下さい。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(20)建築家ベルニーニのデビュー作サンタ・ビビアーナ教会へ!最強のパトロン、ウルバヌス八世の存在

ベルニーニは建築家としての第一歩をこの教会からスタートさせました。

ですがなんと!その第一歩目からしてとてつもない偉業を成し遂げていたのでした。

天才ベルニーニの最初の教会建築を堪能できるこの教会はぜひおすすめしたいです。ローマテルミニ駅近くの若干地味で目立たない教会ですが、だからこそ味があって素晴らしいです。

観光客もほとんど来ないのでじっくりベルニーニの世界を味わうことができます。ぜひローマ滞在の折にはここを訪れてみてはいかがでしょうか。

魔の山イギリス・ドイツ文学と歴史・文化

トーマス・マン『魔の山』あらすじと感想~生命とは何なのか!強烈な個性のごった煮!ドイツ文学の傑作!

この小説は私にとって非常に大切な作品です。私の「十大小説」を選ぶとすれば『魔の山』は確実にその中に入ることでしょう。それほどこの作品は力強く、強烈なインパクトがあります。とにかくスケールの大きな作品です!

私がこの本を初めて読んだのは大学院生になってからのことでした。人生問題について書かれた重厚な小説を読んでみたいと思っていた私がふと出会ったのがこの作品だったのです。トーマス・マンについては学生時代に『ヴェニスに死す』を読んだことがあったり、ゲーテとの絡みでその名が出ていたりと元々興味のある存在でした。

そしてこの本と出会い、私は忘れられない一節を心に焼き付けることになったのです。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(7)カラカラ浴場とアッピア街道、クラウディア水道橋を訪問。古代ローマの驚異的な技術力に驚愕

古代ローマの驚異の建築技術を体感しに、私はローマ郊外へと出かけました。

そこで古代ローマ時代の水道橋を見ながらガイドさんが話してくれたことが印象に残っています。

「ギリシア文明も古代エジプト文明も巨大な建造物を作りました。ですがローマ文明はその全てが実用的です。コロッセオ、道路、水道橋、そのどれもが人々の生活に直結するものです。ギリシアの神殿やピラミッドはたしかに大きいです。ですがそれは誰のためのものですか?何の役に立ちますか?ローマは違います。文明が実用性と結びついているのがローマの素晴らしいところです。」

実用性を極めた文明!

なるほど、これはローマ帝国を知る上で非常に重要なポイントではないでしょうか!

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(6)パラティーノの丘からフォロ・ロマーノを一望!サン・ピエトロ大聖堂の大理石はここからやって来た!?

私はこの旅に出る前、古代ローマの栄枯盛衰の物語にそれこそどっぷりはまってしまい、様々な本を読むことになりました。

カエサル、キケロー、ブルータス、アウグストゥス、アントニウス、クレオパトラ、セネカ、カリギュラ、ネロ、トラヤヌス、ハドリアヌス、マルクス・アウレリウス・・・歴史に名を残す錚々たる人物達がここに生きていたのだ。なんと浪漫溢れることだろう!

やはりローマに来たらフォロ・ロマーノは必須だ。ローマに来たならここに来なければならない。

2000年前の驚異の繁栄とその崩壊は歴史ファンでなくともそのスケールの大きさに圧倒されることでしょう。

名作の宝庫・シェイクスピア

ジーン・ベネディティ『スタニスラフスキー伝』~『俳優の仕事』で有名なロシアの伝説的な俳優・演出家のおすすめ伝記

この本では名俳優スタニスラフスキーの生涯を見ていくことになります。スタニスラフスキーは『俳優の仕事(旧訳は『俳優修業』)』という本で有名で世界の演劇界において凄まじい影響力を持ち、日本でもバイブルのように読まれていたそうです。その演劇論は「スタニスラフスキー・システム」と呼ばれ、今でもその影響力は健在なようです。

また、この本は単にスタニスラフスキーの生涯をなぞるのではなく、当時の時代背景も掘り下げていきます。そしてその時代背景においてスタニスラフスキーをはじめとした演劇人がどのように動いていたのかを知ることができます。
ものすごく面白い本でした!

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(4)ミケランジェロが設計したカンピドーリオ~フォロ・ロマーノを一望するローマの象徴的建造物

『「すべての道はローマに通じる」というのはあまりに有名な言葉だが、ローマのどこに通じるのかというと、それはこのカンピドーリオなのである』

漠然と知っていた言葉の背景を知れるのはやはり面白い。

そういう意味でも古代ローマを学ぶのであるならばまずはここからスタートすべきという石鍋真澄の言葉は非常に納得できるものがあります。

そして何と言ってもやはり注目したいのが、現在のカンピドーリオがミケランジェロの設計だという点です。この記事ではそんなカンピドーリオについて見ていきます。

『ローマ旅行記』~劇場都市ローマの魅力とベルニーニ巡礼

(3)ローマの老舗カフェ・グレコへ~ゲーテやアンデルセン、メンデルスゾーンも通った芸術家たちの聖地

ローマのスペイン広場近くにあるカフェ・グレコはあのゲーテやアンデルセン、メンデルスゾーンやベルリオーズなど数え切れないほどの著名人が時を過ごした名店で、文学や絵画、音楽好きにはたまらない聖地となっています。

さすが200年以上の歴史を持つ老舗。ノスタルジーを感じるにも最高です。

私もローマ滞在中何度もここへ足を運びました。何度来てもわくわくする空間です。憧れの偉人たちがここにいたのだという思いに毎回興奮していました。