トルストイ

レーニン・スターリン時代のソ連の歴史

ジェフリー・ロバーツ『スターリンの図書室』~読書という視点から見る斬新なスターリン伝。彼はドストエフスキーをどう見たのか。

「嫌っているだけでは、彼がなぜ、いかにしてあのような所業に走ったのかを説明することはできない。」

これは著者による非常に重要な指摘です。スターリンを単なる大悪人と片付けてしまったらそこで思考は終了です。

なぜスターリンは独裁者となれたのか、その背景となったものは何だったのか、それを「読書」という観点から見ていく本書は非常に刺激的です。「読書」というある意味独裁者と結びつきにくいマイナーな切り口から攻めていく著者の勇気には驚くしかありません。非常に斬新です。

ロシアの巨人トルストイ

クラムスコイ『トルストイの肖像』制作エピソード~トルストイの射貫くような眼差しはこうして描かれた!

この肖像画で描かれたトルストイのまなざしの鋭さには驚かされます。

トルストイといえば晩年の白いひげを生やした姿を連想しがちですが、この肖像画が描かれた1873年はトルストイ45歳の年です。4年前には『戦争と平和』の連載が完了し大ヒット。そしてこの年には『アンナ・カレーニナ』を書いていました。つまり、作家としてバリバリの時期です。その時の鋭い眼光がこの肖像画で描かれています。

そして興味深いことに、トルストイとクラムスコイの出会いは『アンナ・カレーニナ』の執筆にも影響を与えることになりました。

僧侶の日記

ようこそお越しくださいました。初めて当ブログへお越しの皆様へのご案内。まずはこちらへどうぞ

はじめまして。当ブログの管理人上田隆弘と申します。

このブログは、ブログタイトルにもありますように自問自答をモットーに日々の生活の中の様々なことに目を向け言葉を綴ってみようという私の試みから始まりました。

ですが皆さんもお気づきのように、いつの間にか「旅と読書のブログ」へと変貌を遂げていたのでありました。しかも記事の数も1500を越えようかという分量になり、最近では「何を読んだらいいかわからない」というお声を頂くことが増えてきて参りました。

というわけでこの記事では当ブログ内の大まかなご案内をしていきたいと思います。

当ブログへ初めて来られた方や何を読むべきか迷った方はまずこちらの記事をご覧ください。

ドストエフスキー作品

ドストエフスキーおすすめ作品4選!ロシア文学の面白さが詰まった珠玉の名作をご紹介!

あのトルストイと並ぶロシアの文豪、ドストエフスキー。

ドストエフスキーといえば『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』など文学界では知らぬ者のない名作を残した圧倒的巨人です。彼は人間心理の深層をえぐり出し、重厚で混沌とした世界を私達の前に開いてみせます。そして彼の独特な語り口とあくの強い個性的な人物達が織りなす物語には何とも言えない黒魔術的な魅力があります。私もその黒魔術に魅せられた一人です。

この記事ではそんなドストエフスキーのおすすめ作品や参考書を紹介していきます。またどの翻訳がおすすめか、何から読み始めるべきかなどのお役立ち情報もお話ししていきます。

産業革命とイギリス・ヨーロッパ社会

『オックスフォード 科学の肖像 パヴロフ』「条件反射」やパヴロフの犬で有名なロシアの偉大な科学者のおすすめ伝記!

「条件反射」や「パブロフの犬」といえば現代の脳科学や神経の研究とも直結してくる内容です。ですのでもっと最近のものであったり、イギリスやドイツ辺りで研究されていたものとすっかり思い込んでいました。

それがまさか19世紀のロシアだったとは!

ドストエフスキーやトルストイが科学をほとんど感じさせない心理的、宗教的著作を描いていたまさにその時、パヴロフが科学的研究に勤しんでいた・・・

これはロシア文学のことだけを考えていると、正直なかなかイメージできないものがありました。そういう意味でこの伝記は当時のロシアを科学といういつもとは違った切り口から見ることができたありがたい作品でありました。

僧侶の日記

本好き僧侶が薦めるおすすめ小説24選~入門から上級編までレベルごとにおすすめ作品をざっくりご紹介!

今回の記事では読書の初心者から上級者までレベルごとにぜひおすすめしたい小説をご紹介していきます。

基本的にここで紹介する本はどれも私が自信を持っておすすめする名著です。そのいずれもが最高に面白い作品ですので入門編や上級編などの分類を気にせず興味が湧いた本についてはぜひリンク先のページも覗いてみて下さい。リンク先ではそれぞれの本のより詳しい解説や関連書籍なども掲載しています。その本を通じてさらに多くの本に繋がれるようにサイトを作っていますので、ぜひ活用して頂けましたら幸いです。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

(1)妻アンナ夫人と出会うまでのドストエフスキー(1821~1866年「誕生から『罪と罰』頃まで)をざっくりとご紹介

この記事ではドストエフスキーが妻アンナ夫人と出会うまでの前半生をざっくりと振り返っていきます。彼の波乱万丈な人生を短くまとめるのはなかなかに難しいことではありますが、できるだけコンパクトに要点をまとめてみました。

ドストエフスキーがいかに苦しい人生を送ってきたかを知れば、アンナ夫人との出会いがいかに幸運なものであったかがはっきりすることでしょう。

ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行

上田隆弘『ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行』~文豪の運命を変えた妻との一世一代の旅の軌跡を辿る旅

これから先私は『ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行』という伝記と旅行記のハイブリッド型の記事を書いていく。基本的には奥様のアンナ夫人によって書かれた『回想のドストエフスキー』をベースに彼らの旅路を紹介し、実際に現地を訪れた私の所感も合わせてお話ししていく。

二人の奇跡のような旅路は超一級の小説を読むにも等しい冒険だ。

この旅行記を通して、暗くて厳めしい文豪ドストエフスキーではない、素顔のドストエフスキーを知って頂けたら何よりも嬉しく思う。

ドストエフスキー論

星野立子『シェイクスピアとロシアの作家・演劇人たち』~ドストエフスキーやトルストイとのつながりを知れるおすすめ作品!

この本はタイトル通り、シェイクスピアとロシアの作家・演劇人たちとのつながりについて書かれた作品です。

この本ではプーシキンやドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ、スタニスラフスキー、パステルナークと、ロシア文学界の大御所がずらりと並んでいます。

ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフと、ロシア文学を考える上で絶対に避けることのできない重鎮たちとシェイクスピアのつながりをじっくり見ていけるこの本はとても貴重です。

名作の宝庫・シェイクスピア

シェイクスピア『リチャード二世』あらすじと感想~雄弁で個性豊かな王と『ヘンリー四世』の前史となる傑作史劇

この作品はヘンリー四世が王となるまでイギリスを統治していた、リチャード二世という王を中心とした史劇になります。

この作品の大きな流れは民衆からも貴族たちからもあまり好かれていないリチャード二世の悪政と、それに対して反旗を翻したボリンスブルック(後のヘンリー四世)との戦いが主軸となっていきます。

『ヘンリー四世』はシェイクスピア史劇の中でも非常に有名な作品ですが、そこに直結する時代を描いたのが本作『リチャード二世』になります。