MENU

(5)セルバンテスの驚異の風刺技術!ガレー船での漕役刑と『ドン・キホーテ』のつながりとは

目次

トビー・グリーン『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖』を読む⑸

今回も引き続き、中央公論新社より2010年に出版されたトビー・グリーン著、小林朋則訳『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖』を読んでいきます。

あわせて読みたい
トビー・グリーン『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖支配』あらすじと感想~ソ連や全体主義との恐るべ... この本で見ていくのはまさしくスペイン・ポルトガルで行われた異端審問です。 この異端審問で特徴的なのは、宗教的なものが背景というより、政治的なものの影響が極めて強く出ているという点です。 この点こそ後のスターリンの大粛清とつながる決定的に重要なポイントです。

スターリン時代はちょっとでもスターリン体制から逸脱したり、その疑いありとされただけで問答無用で逮捕され、拷問の末自白を強要されます。実際に有罪か無罪かは関係ありません。

こういったソ連の歴史を読んでいると、私は思わずかつての中世異端審問を連想してしまいました。

異端審問も拷問の末自白を強要され、何の罪もない人が大量に殺害、追放された歴史があります。

そしてこの異端審問というものはドストエフスキーにもつながってきます。

ドストエフスキーと異端審問といえば、まさしく『カラマーゾフの兄弟』の最大の見どころ「大審問官の章」の重大な舞台設定です。

あわせて読みたい
『カラマーゾフの兄弟』大審問官の衝撃!宗教とは一体何なのか!私とドストエフスキーの出会い⑵ 『カラマーゾフの兄弟』を読んで、「宗教とは何か」「オウムと私は何が違うのか」と悩んでいた私の上にドストエフスキーの稲妻が落ちます。 私は知ってしまいました。もう後戻りすることはできません。 これまで漠然と「宗教とは何か」「オウムと私は何が違うのか」と悩んでいた私に明確に道が作られた瞬間でした。 私はこの問題を乗り越えていけるのだろうか。 宗教は本当に大審問官が言うようなものなのだろうか。 これが私の宗教に対する学びの第二の原点となったのでした。

この本はとても興味深く、勉強になる一冊ですのでじっくりと読んでいきたいと思います。

では早速始めていきましょう。

自白を勧めることしかしない弁護士。その理由とは。

プラド美術館所蔵、ベルゲーテ『異端審問』Wikipediaより

スペインで異端審問所が開設された当初の五〇年間は、被告が自分で弁護士を選ぶことができたが、それ以後、弁護人は異端審問官の指名した弁護団から異端審問官が自由に選ぶようになった。こうしたお手盛りの弁護士たちは、被告に「自白しろ」と言うだけで、ほかに何のアドバイスもしない。

職務はただ一つ、「ペルティナス(なかなか自白しようとしない強情な異端者のこと)」と思われた者を見捨て、キリスト教徒に真実を告げるよう忠告することでしかなかった。しかも、こうした連中にわざわざ弁護してもらう費用は、よほど貧乏でない限り、囚人が払うことになっていた。

弁護士のため公正を期して言うが、自白せよという忠告は、被告にとっては実は最善の道だった。何から何まで自白して、心からの悔悛を宣言し、悔い改めた証として「共犯者」を残らず告発した者は、教会と和解できるからだ。もちろん和解した後は、誰の目にも分かる屈辱の印とし、サンベニートの着用を強制され、財産はまず間違いなく異端審問所に没収され、公的に辱めを受けたことで子孫の名誉は永遠に傷つけられたままになるが、処刑の恐怖だけは免れることができた
※一部改行しました

中央公論新社、トビー・グリーン著、小林朋則訳『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖』P124

この時代に弁護士がいたというのも驚きですが、やはり案の定といった結末です。

異端審問所の過酷な牢獄

状況が何から何まで囚人に不利だったため、異端審問の牢獄で問題が持ち上がることも少なくなかった。実態は牢獄ごとに違っていて、場所によっては管理が緩く、囚人が日中に外出したり、刑期の一部を自宅軟禁に振り替えたりできた所もあるが、たいていは非常に過酷だった。一七七〇年代でさえ、ポルトガルとゴアでは自殺が深刻な問題となっており、両地域の異端審問服務規程では、牢獄で自殺した者の処置に数章が割かれている。

ブラジルで活躍した有名な宣教師でイエズス会士のアントニオ・ヴィエイラは、一七世紀半ばの異端審問所の監房の様子を、淡々とした調子で次のように記している。

「監房には、通常四、五人が入れられるが、ときにはそれ以上に増えることもある。(中略)各人には、八日分の水が入った水差し(八日を待たずになくなった場合は我慢しなくてはならない)と便器が与えられるほか、排泄物を入れておく容器も渡され、これも八日ごとに空にされる。(中略)監房はたいていがネズミだらけで、悪臭もひどく、囚人はここを生きて出られれば何よりだった」。
※一部改行しました

中央公論新社、トビー・グリーン著、小林朋則訳『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖』P125

犯罪者の牢獄は古今東西過酷なものですが、やはり異端審問でもかなり厳しいものだったようです。

ある日突然そういう場所に閉じ込められるとしたらそのショックたるや凄まじいものになることでしょう。

衝撃!セルバンテスの驚異の風刺技術!ガレー船での漕役刑と『ドン・キホーテ』のつながり

異端審問の裁判記録を読むと分かることだが、囚人を恐怖させたのは火刑ではなく(そもそも火刑は、必ず行なわれるとは限らなくなっていった)、この制度の情け容赦ない非道ぶりだった。逮捕された者は、経済的・肉体的・精神的に破滅させられるだけでなく、その身に受ける屈辱の費用を払わせられた。

たとえばオックスフォード出身のウィリアム・コリンズは、一五七二年に囚人としてラバに乗せられメキシコシティ異端審問所に連れてこられたが、彼はこのラバを引いてきたラバ追い人の費用を負担しなくてはならなかった。ちなみにコリンズは、最終的にルター派として有罪になり、ガレー船での一〇年の漕役刑を科された。このほか、鞭打ち刑の執行費用を出すのは異端審問所ではなく、鞭打ち刑を受けた者が、自分をめった打ちにした執行人に金を払わなくてはならなかった。
※一部改行しました

中央公論新社、トビー・グリーン著、小林朋則訳『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖』P126

この箇所を読んだ時、私はビリビリっとしたものを全身に感じました。

と言うのも、ガレー船での漕役刑というのはセルバンテスの『ドン・キホーテ』にも登場し、漕役囚たちとドン・キホーテのエピソードは私の中で非常に大きなインパクトを占めていたからです。

この『ドン・キホーテ』の話に入る前に改めて異端審問における漕役刑について見ていきましょう。

ガレー船の漕役刑は異端審問の刑罰としてよく用いられていたようです。

そして上の引用にもありますように「逮捕された者は、経済的・肉体的・精神的に破滅させられるだけでなく、その身に受ける屈辱の費用を払わせられた」という点が重要です。火刑に処されることは勿論恐怖ですが、生き残ってもこれまでの生活は破壊され破滅させられてしまうというところに人々の恐怖はありました。

しかもこれが実際に罪を犯したかどうかなど関係なく、ただ単にひがみや憎しみなどから密告されたり、ちょっとしたことで目をつけられただけでもこうした目に遭ってしまうのです。日常生活を送る上でこれほどの恐怖はなかなか存在しなかったことでしょう。

さて、『ドン・キホーテ』の話に戻ります。

『ドン・キホーテ』は騎士道本に憧れ正気を失ってしまったドン・キホーテが遍歴の騎士としてスペイン各地を冒険し、様々な珍事件を繰り広げていくという小説です。

あわせて読みたい
名作『ドン・キホーテ』のあらすじと風車の冒険をざっくりとご紹介~世界最高の小説の魅力とは スペイ... 『ドン・キホーテ』といえば、作中ドン・キホーテが風車に突撃するというエピソードが有名です。ですがその出来事の理由は何かと問われてみると意外とわからないですよね。 この記事ではそんな『ドン・キホーテ』のあらすじと風車のエピソードについて考えていきます

ざっくりとした流れは上の記事でもご紹介していますが、このガレー船での漕役刑の物語は『ドン・キホーテ(前編)』の第二巻の冒頭、「第二十二章 行きたくもない所へ無理やり連行されていく、多くの不幸な者たちにドン・キホーテが与えた自由について」という所に描かれています。

タイトルの名前からしてすでにセルバンテスの皮肉がたっぷりです。どうもこれは異端審問によって強制的に連行される人たちを暗に示しているのではないかと思われます。

この章ではドン・キホーテと従士サンチョが鎖に繋がれ連行されている一団と出会います。

そしてその一団を目にしたサンチョはドン・キホーテにこう話しかけます。

「あの鎖につながれているのは、王様に無理強いされて、ガレー船へ船漕ぎに行く連中だね。」

「なに、無理じいされた連中だと?」と、ドン・キホーテが訊いた。「王ともあろう者が、人民を力ずくで引き立てるなどということがあってよいものであろうか?」

「いや、そういうことじゃねえ」と、サンチョが答えた。「あの連中は自分がおかした罪の償いとして、ガレー船で力いっぱい王様に仕えるために、無理やり連れていかれる囚人だと言ったんですよ。」

「要するに」と、ドン・キホーテがひきとった、「事情はどうあろうとも、あの者たちは無理やり引かれていくのであって、決してみずからの意志でまいるのではないのだな。」

「そのとおりでございます」と、サンチョは言った。

「そういうことであれば」と、主人が続けた、「今こそ、抑圧と屈辱を取り除き、弱きを助けることを任務といたす拙者が力を発揮すべき時じゃ。」

「いいですかい、旦那様」と、サンチョがあわてて遮った、「国の法律っていうのは、そっくりそのまま王様みたいなもんだから、こうした連中にひどいことをしたり、恥をかかせたりするようなことはねえ、ただ、あの衆がしでかした罪を罰するだけだってことを忘れねえでくださいましよ。」

岩波書店、セルバンテス、牛島信明訳『ドン・キホーテ 前編 ㈡』P10-11
岩波書店、セルバンテス、牛島信明訳『ドン・キホーテ 前編 ㈡』より

ドン・キホーテは彼らに近づき、なぜ連行されることになってしまったかひとりひとりに聞いていきます。

そこでわかったのは、ここにいるのはたしかに罪を犯した者であり、その中にはかなりの悪人も含まれているということでした。

普通ならここで彼らとお別れとなるのでしょうが狂気の騎士ドン・キホーテは一味違います。彼はこう述べます。

親愛なる兄弟たちよ。諸君が拙者にしてくれたこれまでの話からはっきりと分かったことは、諸君が、みずから犯した罪の報いとはいえ、決して好んで苦役に赴くのではなく、いやいやながら、おのれの意に反して引きたてられていくということでござる。

思うに、ある者は拷問に耐えるだけの気力を欠いていた、ある者は袖の下に使う金がなかった、またある者はコネがなかったということらしい。さらには裁判官の判断があやまっていたことが諸君の破滅の原因であり、諸君が身の証を立てられなかった原因なのかも知れぬ。

そして頭に浮かぶこれらのことすべてが拙者に、天帝が拙者をこの世におつかわしになったその目的を、まさにこの場で、諸君のために実行に移すようにと説き、うながし、追ってくる。

つまり天帝は拙者をして騎士道にこの身を捧げるようになしたもうたのだが、わしは騎士道の実践において、苦境にあって助けを必要としている者、強者にしいたげられている弱者を救うという誓いを立てたがゆえに、今こそ諸君のために力を発揮しなければあいならんのじゃ。

とはいえ拙者も、和をもってなしうることを暴力をもってするのが賢明な策でないことはよく承知いたしておるので、ここは護送のお役人方にお願いして、諸君の縛めを解き、諸君を自由の身にしていただこうと思う。

諸君よりもよい機縁でもって国王陛下に御奉仕する者には事欠かぬであろうし、それよりも何よりも、神と自然がもともと自由なものとしてお創りになった人間を奴隷にするというのは、いかにも酷いことに思われるからじゃ。
※一部改行しました

岩波書店、セルバンテス、牛島信明訳『ドン・キホーテ 前編 ㈡』P25-26

こうして護送の役人に彼らを解放するよう説得しに行くドン・キホーテですが、当然ながら断られます。当たり前ですよね。犯罪者を解放したらそれこそ大変なことになります。

しかしドン・キホーテは引き下がりません。説得が無理とわかると、なんと彼は実力行使に出たのです。

不意を衝かれた護送人は地面に倒れてしまいます。そしてこれは好機と囚人たちも自分たちの鎖を引きちぎり、現場は大混乱になります。

やがて役人たちは逃げ出し、囚人たちは皆自由の身になったものの、その後ドン・キホーテとすったもんだのやりとりの末今度はドン・キホーテがぼこぼこにされてしまうのでありました。

せっかく解放した囚人たちにひどい仕打ちを受けるという散々な目にあったドン・キホーテでした。

私が初めてこの箇所を読んだ時は正直さっぱり意味がわかりませんでした。

ドン・キホーテの行動があまりに意味不明で理不尽なように思われたのです。こんなの、ただの大迷惑なおじさん以外の何者でもないじゃないかと。

犯罪者を解放してしまうなどというのは、物語の主人公としてあってはならないことではないかと思ってしまったのです。

その後私は参考書を読んだ後に何度も『ドン・キホーテ』を読み返しましたがやはりこの箇所についてはあまりピンとは来ていませんでした。

しかしトビー・グリーンの『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖』の上の引用箇所を読んだ時、それこそ鳥肌が立つほどのショックを受けました。「これか!そういうことだったのか!」という瞬間です。

ここはセルバンテス得意の風刺と皮肉全開の箇所だったのです。異端審問で生活を破滅させられ、虐げられた弱きものたちが重荷を背負ってどこかへ連れていかれることを風刺していたのです。

だとしたらドン・キホーテの一見奇妙な行動がまったく違ったものとして見えてきます。冒頭のサンチョの言葉もとてつもない皮肉として読めてきますよね。

これには驚きました。セルバンテス、恐るべしです。

『ドン・キホーテ』という作品のあまりのすごさに改めて衝撃を受けました。こんな風刺や皮肉がそこら中に散りばめられているのです。しかも、それを知らなくとも面白い小説として読めてしまうのですから驚異と言うほかありません。ますます大好きな小説になりました。

異端審問という歴史を知ることで、文学の見え方も変わってくる。

これは非常に興味深いことでありました。ぜひ皆さんも『ドン・キホーテ』を手に取ってみてはいかがでしょうか。古典だから読みにくいとかそういうことはありません。ものすごく面白いのでとてもおすすめです。

『ドン・キホーテ』については以下の記事でもそのすごさをお話していますのでぜひこちらもご覧ください。

あわせて読みたい
『ドン・キホーテ』はなぜ名作なのか~『ドン・キホーテ』をもっと楽しむためのポイントを解説 スペイ... この記事では世界の名作『ドン・キホーテ』がなぜ世界の名だたる著名人から愛されたのかをお話ししていきます。 古典と言えば小難しくて眉間にしわを寄せて読むものだというイメージもあるかもしれませんが、『ドン・キホーテ』においてはまったくの逆。 私は元気を出したいときや明るい気分になりたいときに『ドン・キホーテ』を読みます。 理想に燃えて突進し、辛い目にあってもへこたれず明るく前に進み続ける。そんな『ドン・キホーテ』を読んでいると不思議と力が湧いてきます。 名作と言われる理由がわかればきっとこの作品を読みたくなると思います。ぜひご一読下さい。

続く

Amazon商品ページはこちら↓

異端審問: 大国スペインを蝕んだ恐怖支配 (INSIDE HISTORIES)

異端審問: 大国スペインを蝕んだ恐怖支配 (INSIDE HISTORIES)

次の記事はこちら

あわせて読みたい
(6)スペイン料理や名物タパスに隠された意味~食文化と信仰のつながりとは スペインの食文化を代表するタパスには実は裏の意味がありました。 スペインではキリスト教徒、改宗ユダヤ教徒・イスラム教徒は共存し、もはや同化していましたので単に見た目だけでは誰が何を信じているのかはわかりませんでした。ですのでこうした食べ物を通して信仰の如何を確かめようとしていたのです。 例えばですが、ある家で会食をしようとなったときに、客たちはそれぞれ料理を持ち寄ることになります。そしてその時に豚肉のソーセージをわざと持ち寄るのです。それで家の主人や他の客人がそれを食べようとしなければ隠れユダヤ教徒やイスラム教徒であることがばれてしまうのです。

前の記事はこちら

あわせて読みたい
(4)スペイン異端審問時代の秘密主義と密告の横行による社会不信~疑心暗鬼の地獄の世界へ この記事で見ていくのは単に「異端を裁くだけのシステム」と思われていたものが、社会全体の病気となっていく過程です。 最初は疑わしき者を罰するだけでした。 しかしそれがどんどんエスカレートし、もはや誰が誰に密告されるなどわからない疑心暗鬼の世界に変わっていきます。 ここまで監視と密告が定着してしまえば、人間同士の信頼関係は崩壊です。 こうなってしまえばひとりひとりの国民にはほとんどなす術がありません。スペインは徐々に活力を失っていくのでありました・・・

「『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖』を読む」記事一覧はこちら

あわせて読みたい
ソ連や全体主義との恐るべき共通点ーカラマーゾフとのつながりも「『異端審問 大国スペインを蝕んだ恐怖... 中世スペインの異端審問は過去の遺物ではなく、現代につながる人間の本質的な問題であることをこの本で学びました。 これまで学んできたレーニン、スターリンのソ連や独ソ戦と非常に強いつながりを感じました。 そしてこの本の面白い所は所々で著者の思いが吐露されていて、単なるデータの羅列には終わらない点にあります。読み応え抜群です。読んでいて本当に面白い本でした。 この本はとてもおすすめです。ぜひ皆さんも読んでみてはいかがでしょうか。

関連記事

あわせて読みたい
牛島信明『ドン・キホーテの旅』あらすじと感想~これを読めばドン・キホーテが面白くなる!ぜひおすす... この本は本当に素晴らしいです。これを読めば一読しただけでは苦戦しがちな『ドン・キホーテ』が全くの別物になります。もう面白くて面白くてたまらないというくらいの大変身を遂げます。 『ドン・キホーテ』はパロディ作品です。表面上に出てくるものの裏を見れなければ面白くありません。 そんな漠然と読んでもまず気付くことができない『ドン・キホーテ』の面白さをこの本ではこれでもかと解説してくれます。 この本を読めばまず間違いないです。私は自信を持っておすすめします。それほど面白い入門書となっています。
あわせて読みたい
ウナムーノ『ドン・キホーテとサンチョの生涯』あらすじと感想~ドン・キホーテ愛溢れる名著!読めば元... 私はこの作品を読んで感激しました。「こんなに『ドン・キホーテ』を読み込み、熱き思いを語る人がいるんだ!」と胸が熱くなりました。「愛」そのものですね!それが伝わってくるんです!これはすごい作品です。 この作品は『ドン・キホーテ』ファン必読の名著中の名著です。 タイトルにも書きましたが、この作品は読めば元気が湧いてくる名著です。現代日本においてもこの作品は圧倒的に大きな意味があると私は信じています。私はこれからも折に触れてこの本を読み返していきたいなと強く感じています。それほどこの作品のパワーはすさまじいです。
あわせて読みたい
風車の町カンポ・デ・クリプターナを散策~ドン・キホーテの舞台を歩く! スペイン編⑧ カンポ・デ・クリプターナはクエンカと同じくドン・キホーテで有名なラ・マンチャ地方にある町。 この町で最も有名なのが丘の上に立つ風車の景色です。 そしてその風車こそドン・キホーテが巨人と間違えて突進していくという有名なシーンのモデルになったと言われています。 『ドン・キホーテ』が大好きな私にとってはここは聖地中の聖地です。この記事ではそんな聖地を訪れた私の体験をお話ししていきます。
あわせて読みたい
カンポ・デ・クリプターナの夕焼けの風車 スペイン編⑨ 風車の丘で雄大な景色を楽しんだ後は一旦宿に戻って待機。 今回カンポ・デ・クリプターナに宿を取った理由は、なんと言っても夕日に照らされた風車を見るためです。 カンポ・デ・クリプターナの風車の丘は夕陽で有名・・・というわけではありません。 しかし、真っ白な風車が夕陽で真っ赤に染まっていく景色をぜひとも見てみたいと私は旅を始める前から考えていたのでした。 そしてその期待通り、日没間近の風車の丘は言葉に尽くせぬほどの美しさでした。 地平線に沈んでいく夕陽、そして真っ赤に染まった大地。 世界の色彩が時間と共に刻々と変化していく様はまるで夢のようでした。
あわせて読みたい
サンタクララのチェ・ゲバラの霊廟とドン・キホーテの意外な関係 キューバ編⑦ サンタクララはチェ・ゲバラと切っても切れない関係のある街。 キューバの歴史を学ぶ中で知ることになったチェ・ゲバラの存在。 理想を追い求めた革命の戦士。 世界で最も尊敬される革命家。 どうして彼はこんなにも世界中の人を惹き付けるのでしょうか。 彼のことを調べているうちに、私はあることを知ることになりました。 チェ・ゲバラの愛読書が『ドン・キホーテ』であり、彼はドン・キホーテの生き様に大きな影響を受けていたという事実だったのです。 この記事ではそんなゲバラと『ドン・キホーテ』の関係とゲバラのお墓参りをした私の体験をお話ししていきます。
あわせて読みたい
(1)スペイン異端審問はなぜ始まったのか~多宗教の共存の実態とその終焉について 異端審問が導入された当初、町の人々がそれを拒んだというのは驚きでした。人々は国から送られてきた役人、つまり異端審問官が町の文化や社会を壊してしまうことを察知していたのです。 共存しながら生活していた人々が恐怖や憎しみ、嫉妬、相互不信によって引き裂かれていく過程を見ていきます。
あわせて読みたい
(2)スペイン異端審問の政治的思惑と真の目的とは 異端審問というと宗教的な不寛容が原因で起こったとイメージされがちですが、このスペイン異端審問においては政治的なものがその主な理由でした。 国内に充満する暴力の空気にいかに対処するのかというのがいつの世も為政者の悩みの種です。 攻撃性が高まった社会において、その攻撃性を反らすことができなければ統治は不可能になる。だからスケープゴートが必要になる。悪者探しを盛んに宣伝し、彼らに責任を負わすことで為政者に不満が向かないようにする。これはいつの時代でも行われてきたことです。
あわせて読みたい
(3)敵を打ち負かし、理想の実現を図るため拷問は行われる~犠牲者を人と見なさない心理とは 異端審問官であれどさすがに自分の手を汚すのは精神的にダメージがあります。そこで自分たちの心が痛まないように神という絶対的な権威を利用していたのでした。これはスターリンやヒトラーによる虐殺の時にも見られたものです。絶対的な権威による免罪があるからこそ、淡々と暴力を振るうことができたのでした。
あわせて読みたい
岩根圀和『ドン・キホーテのスペイン社会史 黄金時代の生活と文化』あらすじと感想~ドン・キホーテの時... この本では『ドン・キホーテ』をより知るために様々な観点から時代背景を見ていきます。 その中でも特に私がありがたいなと思ったのは『アマディス・デ・ガウラ』とドン・キホーテについての解説が詳しくなされている点でした。 この本はドン・キホーテが活躍したスペインの時代背景を知るのにおすすめの作品です。文章も読みやすく、図版も多数掲載されているので気軽に読み進めることができます。 これはぜひおすすめしたい作品です。
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

真宗木辺派函館錦識寺/上田隆弘/2019年「宗教とは何か」をテーマに80日をかけ13カ国を巡る。その後世界一周記を執筆し全国9社の新聞で『いのちと平和を考える―お坊さんが歩いた世界の国』を連載/読書と珈琲が大好き/

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次