目次
函館ハリストス正教会を訪ねて~ロシア正教の祈りとガンガン寺の鐘の音
2020年11月28日土曜の夕方、私は函館の元町地区にあるハリストス正教会を訪れました。
ハリストス正教会は日本で初めて建てられたロシア正教の教会で、函館のシンボルともなっている教会です。
夕方16時半頃ということで上の写真では少し暗くなってきた雰囲気がわかると思いますが夜になるとライトアップされ、とても美しい姿を見ることができます。
函館市民にとっても、多くの観光客の方にとってもハリストス正教会という場所はとても有名です。この教会は函館らしさを象徴する建物として愛されてきました。
ですが、この教会がどういう歴史を経て生れ、どのような信仰を持った人に支えられているのかというと意外と知られていません。
函館生れ函館育ちの私でしたが、正直最近になるまでハリストス正教会のことは知っていてもいざどんな建物でどんな宗教の建物かということになるとまったくわかっていませんでした。キリスト教の教会ということから先はほとんど知らなかったのです。
そんな私でしたが去年からドストエフスキーと関わることでキリスト教の中でもロシア正教という、ロシア独特のキリスト教を知ることになりました。
ロシア正教は同じキリスト教といってもカトリックやプロテスタントとはその教えや祈り方、文化がかなり違います。
そしてそのロシア正教が初めて日本に上陸し根付いたのがここ函館だったのです。日本に布教にやって来たニコライ神父はドストエフスキーとも面識があったと言われています。
ドストエフスキーを愛する私としては何か不思議なご縁を感じます。私が住む函館がロシア正教を学ぶ上で非常に大きな意味をもっていることに運命のようなものを感じてしまいました。
というわけで私は何度もここへ足を運ぶようになり、この日夕方のお祈りに参加させて頂くことになったのです。
事前に神父さんから特別に許可を頂き聖堂内の写真を撮らせて頂きました。
今回はその写真を皆様にご紹介します。
入り口正面からの写真です。
写真を見てお気づきのように絵の雰囲気が非常にリアルで厳かな雰囲気を感じさせます。
教会の厳かな空間やろうそくの火、神父さんの朗誦や堂内に響く聖歌隊の歌声・・・
お祈りに参加していると自分がまるで別世界にいるかのような感覚になりました。
昨年の世界一周の旅でも私はたくさんの教会にお参りしミサにも参加しました。しかしよくよく考えてみるとそのほとんどがカトリック教会のものでした。
カトリックのミサとロシア正教会ではかなり雰囲気が違います。うまく言葉では言い表せないのですが実際に体感してみるとその違いがよくわかります。
そして17時からのお祈りの後、私は特別に鐘撞堂に上らせて頂き、間近で鐘の音を聴かせて頂くことになりました。
鐘撞堂は教会の上部にあります。ここからガンガン寺という愛称で親しまれることになった鐘を鳴らしています。
早速その鐘の音を聴いていただきましょう。函館の夜景と共にお楽しみください。
函館の夜景を見ながら鐘の音を聴けるのはなかなかないことです。しかも鐘撞堂からの眺めとなるとなおさらです。
目の前で鐘が鳴り揺れている様を見ると、『ノートルダムの鐘』を連想してしまいました。
鐘撞堂からの眺めも素晴らしかったです。きれいな月も見れました。
さて、翌日も私は日曜の朝のミサにお参りさせていただきました。朝は朝でまた違った趣があって素晴らしいです。
昨日の夜上った鐘撞堂は上の写真の位置にあります。ここから夜景を眺めていたのですね。
この日も特別に鐘撞堂に入らせて頂きました。
やはり函館の景色は素敵です。
中心の鐘
昨日は暗くてあまり見えませんでしたが、鐘には文字が刻まれていました。
中心の鐘はかなり大きく、身体にずしんと来る音です。
昨夜の動画は短めにしか撮影していませんでしたのでここで改めて鐘の音をご紹介します。
お話によると、朝と夜では音色が変わり、気温や天気によっても音が変わってくるそうです。
ハリストス正教会についての詳しい情報はHPがございますのでそちらを参照して頂ければ教会の歴史や行事案内などを詳しく知ることができます。以下リンクです。
函館ハリストス正教会HP https://www.orthodox-hakodate.jp/
そして、要注意なお知らせがあります!
ハリストス正教会は間もなく修理工事に入るためしばらく拝観できなくなります。今の姿を見ることができるのもあとわずかとなっています。
ぜひお早めに教会に行かれることをお勧めします。
以上、「函館ハリストス正教会を訪ねて~ロシア正教の祈りとガンガン寺の鐘の音」でした。
関連記事
あわせて読みたい
僧侶の日記 「函館ロシア極東大学 はこだてロシアまつり2020」
2020年2月11日(火・祝)、函館元町にあるロシア極東連邦総合大学函館校にて第22回はこだてロシアまつりが開催されました。 私は今年の1月よりこの大学の公開...
あわせて読みたい
ユダヤ教の安息日、エルサレムの嘆きの壁の祈りに心が震えた! イスラエル編⑨
ユダヤ教徒にとって、毎週金曜夕方から土曜日の夕方までは安息日あるいはシャバットと呼ばれる特別な1日。
そしてシャバットの夜、すなわち金曜の夜は嘆きの壁でのお祈りはピークを迎えます。
というわけで、私もその夜、嘆きの壁に行ってみることにしたのでした。
そしてそこで私はその祈りに度肝を抜かれたのでありました。この記事ではその時の体験をお話ししています。
あわせて読みたい
早朝の聖墳墓教会~お堂に響くミサの歌声 イスラエル編⑩
エルサレムは時間によって見せる顔がまったく異なります。
私がこの日の早朝に見た聖墳墓教会は厳かなる祈りの世界でした。
エルサレムに長い期間滞在することにして本当によかったと思います。この街は様々な顔を私に見せてくれました。
あわせて読みたい
ローマカトリック総本山サンピエトロ大聖堂~想像を超える美しさに圧倒される イタリア・バチカン編④
ローマカトリックの総本山バチカンのサンピエトロ大聖堂。
そのあまりの美しさと迫力に圧倒されてしまいました。
そしてミケランジェロのピエタ像にも魅了され、衝撃的な時間を過ごすことになりました。
まさかここまですごいとは・・・!予想をはるかに超えた素晴らしさにただただ絶句するのみでした。
あわせて読みたい
奇岩山のモンセラット修道院を訪ねて~バルセロナからの日帰り観光でも有名な聖地に宿泊! スペイン編⑲
この記事ではバルセロナからの日帰り旅行先としても有名なモンセラット修道院をご紹介します。
奇岩山の上に立つこの修道院は黒のマリア像や聖歌隊が特に有名で、カタルーニャ地方の聖地として古くから信仰を集めてきました。
日中はバルセロナからの観光客でごった返すモンセラットですが、私はここに三泊宿泊し、人のほとんどいない朝と夜のモンセラットを堪能しました。この記事ではそんな静かなモンセラットをご紹介します。日帰り旅行で訪れる方が大半なモンセラットですがそれはあまりにもったいない!正直私はあと一週間でもいたいくらいの気持ちでした。非常におすすめの場所です。
あわせて読みたい
ハーレムの黒人教会での衝撃~ゴスペルと牧師さんの説法に度肝を抜かれる アメリカ編⑤
一体何だこれは!?何が起きているのだ!?
私は目の前の光景が信じられませんでした!
説教でこんなことがありえるのか!お寺ではまったく想像もつかなかったような光景が目の前で現実に繰り広げられている!
この記事では私が度肝を抜かれた黒人教会での体験をお話ししていきます。
あわせて読みたい
謎の国ロシアの歴史を年表を用いてざっくり解説!
正直、ドストエフスキーを学ぶまで私はほとんどロシアのことを知りませんでした。
「極寒の薄暗いどんよりした恐い国」
そんなイメージが頭にあるだけでした。
いつ頃からロシアという国が成立し、どんな歴史を経て今に至っているかなど全く想像すらできなかったのです。いや、興味関心もなかったというのが正直なところかもしれません。
謎の国ロシア。
ですが、いざ調べてみると実はこの国の歴史は非常に面白いことがわかってきました。
あわせて読みたい
「なぜ僧侶の私がドストエフスキーや世界文学を?」記事一覧~親鸞とドストエフスキーの驚くべき共通点
親鸞とドストエフスキー。
平安末期から鎌倉時代に生きた僧侶と、片や19世紀ロシアを代表する文豪。
全く関係のなさそうな2人ですが実は重大なつながりがあるとしたらいかがでしょうか。
このまとめ記事ではそうした私とドストエフスキーの出会いと、なぜ僧侶である私がドストエフスキーを学ばなければならないのかを紹介しています。
あわせて読みたい
ドストエフスキーとキリスト教のおすすめ解説書一覧~小説に込められたドストエフスキーの宗教観とは
ドストエフスキーとキリスト教は切っても切れない関係です。
キリスト教と言えば私たちはカトリックやプロテスタントをイメージしてしまいがちですが、ドストエフスキーが信仰したのはロシア正教というものでした。
そうした背景を知った上でドストエフスキーを読むと、それまで見てきたものとは全く違った小説の世界観が見えてきます。
キリスト教を知ることはドストエフスキーを楽しむ上で非常に役に立ちます。
あわせて読みたい
高橋保行『ギリシャ正教』あらすじと感想~ドストエフスキーとロシア正教を学ぶならこの1冊!おすすめ...
そもそもロシア正教とは何なのか。
カトリックやプロテスタントと何が違うのか。
それらがこの著書に詳しく書かれています。
ドストエフスキーに関してもかなりの分量を割いて解説されています。
あわせて読みたい
ドストエフスキー『白痴』あらすじと感想~キリストの創造~ドン・キホーテやレミゼとの深い関係
「無条件に美しい人間」キリストを描くことを目指したこの作品ですが、キリスト教の知識がなくとも十分すぎるほど楽しむことができます。(もちろん、知っていた方がより深く味わうことができますが)
それほど小説として、芸術として優れた作品となっています。
『罪と罰』の影に隠れてあまり表には出てこない作品ですが、ドストエフスキーの代表作として非常に高い評価を受けている作品です。これは面白いです。私も強くおすすめします。
あわせて読みたい
『カラマーゾフの兄弟』あらすじと感想~ドストエフスキーの最高傑作!!神とは?人生とは?自由とは?
『カラマーゾフの兄弟』が発表されてから120年。これだけの月日が経っても変わらずに多くの人から愛され続けているのはそれなりの理由があります。
この物語が持つ魅力があるからこそ、読者に訴えかける何かがあるからこそ、こうして読み継がれているのだと思います。
『カラマーゾフの兄弟』はドストエフスキー作品の中でも私が最も好きな、そして思い入れのある作品です。
長編小説ということでなかなか手に取りにくい作品ではありますが、心の底からおすすめしたい作品です。
コメント