木村元彦『悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記』~報道によって絶対的な悪者は作られる。NATO空爆の是非を問う衝撃作
先に言わせて頂きます。この本は凄まじいです。とにかく読んでほしいです。それも今すぐ!できるだけ早く!
ロシア・ウクライナ戦争に揺れている今だからこそ大切な一冊です。
この本で語られることはあまりに衝撃的です。引用したいところが山ほどあるのですが分量の制限もありますので今回の記事ではこの本の中でも特に印象に残った箇所を紹介していきます。
先に言わせて頂きます。この本は凄まじいです。とにかく読んでほしいです。それも今すぐ!できるだけ早く!
ロシア・ウクライナ戦争に揺れている今だからこそ大切な一冊です。
この本で語られることはあまりに衝撃的です。引用したいところが山ほどあるのですが分量の制限もありますので今回の記事ではこの本の中でも特に印象に残った箇所を紹介していきます。
1990年生まれの私はピクシーことストイコビッチ氏といえば監督のイメージがあったのですが、この本を読んでストイコビッチ氏がいかにすごい選手だったかがよくわかりました。
全世界から悪者と一方的に報道され制裁を受けたセルビア。そのセルビア(ユーゴ)代表として苦難の道を歩むこととなったストイコビッチ氏のサッカー人生は凄まじいものがあります。
私はこれまでボスニア紛争について学んできましたが、セルビア側から見たユーゴ紛争を知れたのは非常に貴重な読書になりました。
ディナモ・ザグレブやディナモ・キエフなどのチームは知ってはいました。ですがまさかそれが内務省や秘密警察から来ていたとは・・・!
内務省といえばロシアいうとあのKGBです。現在はFSBに名前が変わっていますが、KGBはプーチン大統領が在籍していたことでも知られる組織です。ソ連時代の恐るべき組織が「ディナモ」の由来だったと知り本当に驚きました。
これは名著です。思わぬところでものすごい本と出会うことになりました。
この本はサッカーを通して東欧の国々の歴史や文化を見ていく作品です。
特に一番最初に紹介されるクロアチアではユーゴスラビア紛争のきっかけとなったとも言われる1990年の「5.13」暴動事件について詳しく語られます。
著者は東欧を揺るがしたこの事件について詳しく検証していき、さらにはこの地で荒れ狂っていた民族対立の構図を取材していきます。サッカーを通して見えてくる民族対立の背景は非常に興味深いものがありました。
ロシア・ウクライナ戦争をきっかけに知ることになったロシアのオリガルヒ(新興財閥)。
その中でも最近ニュースで取り上げられているのが名門サッカークラブチェルシーのオーナー、アブラモビッチ氏です。
経済制裁によってアブラモビッチ氏の資産が凍結され、それに伴いチェルシーの運営が立ち行かなくなるというニュースには私も衝撃を受けました。
この本はそんなアブラモビッチ氏とは何者なのか、そしてなぜチェルシーのオーナーとなったのかを知ることができる作品です。
著者のクルコフはマイダン革命が起きた広場のすぐ近くに住んでおり、この革命の流れを最も近くで見ていたひとりです。そんな作家による混乱の日々の記録が本作品になります。
日記体で書かれているので当時の状況がかなりリアルに感じられます。
この本に書かれているのは現在のロシア・ウクライナ戦争に直接繋がる出来事です。この戦争をより知るためにもこの作品はぜひおすすめしたいです。
国民からの支持を得るために外敵を設定し、戦争を行う。そのためには手段を選ばない。
ただ、全面戦争ではアメリカやNATOから猛攻撃を受けるのでそうならないように細心の注意を払い、政治経済システムが脆弱な旧共産圏の国を狙いハイブリッド戦争を仕掛け自国に有利な展開を作ろうとする。
こうしたプーチン大統領の外交姿勢を学ぶのにこの作品はうってつけです。
この作品はかなり細かくプーチン大統領の国内政治を見ていきます。
その中でも特に印象に残ったのはやはりメディア統制によるプロパガンダです。なぜプーチン大統領が国民からここまで支持され、長期政権を可能にしているのかがよくわかります。
また、ナワリヌイ氏についての分析も非常に興味深かったです。
そして本の後半ではプーチン政権が抱える問題点が考察されていきます。「強いロシア」を掲げて他国への圧力を強めるプーチン大統領ですが、その副作用に苦しむ実態が明らかにされます。
この作品では彼の幼少期からKGB時代、ペテルブルク、モスクワでの官僚時代、大統領時代とじっくりとその道筋を見ていきます。ニュースではなかなか知ることのないプーチン大統領の姿を知ることができます。
また、プーチン大統領の政治のキーポイントとなる彼のメンタリティーについての分析も非常に興味深いです。
プーチン大統領とはいかなる人物かということを学ぶのにぜひぜひおすすめしたい作品です。
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