マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

マルクス・エンゲルスの生涯と思想背景に学ぶ

(50)マルクス『資本論』の執筆の流れをざっくりと解説!

マルクスはアダム・スミスやリカードなど経済学者たちの著作を研究し、そこにヘーゲル哲学を組み合わせることで独自の理論を作り上げていくことになります。

これは経済を専門にする経済学者や、哲学のみを探究する哲学者にはなかなか思いも寄らぬ方法でした。

マルクスは独自に新たな理論を生み出したというより、既存のものをうまく合成することで新たなものを生み出したということができるかもしれません。

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(49)愛人メアリー・バーンズの死~エンゲルス・マルクスの友情の最大の危機

1863年のある日、エンゲルスの愛人メアリー・バーンズが急死してしまいます。

急な別れにショックを受けるエンゲルス。

ですがそれに対してマルクスが発した言葉がなんと思いやりのないことか・・・さすがのエンゲルスもこれに大激怒します。

マルクスからすれば正式な結婚もしないで遊び歩いていたエンゲルスがそんなにもメアリー・バーンズを愛していたとは思いも寄らなかったのでしょう。もしこの後で二人の関係性が回復していなかったら『資本論』が世に出ることはなかったかもしれません

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(48)イギリスで上流階級となったエンゲルスの優雅な社交生活とは

ここまでエンゲルスの生涯を見てきましたが、やはり彼は実務に非常に長けていて、社交的才能もあるということで実業界ではかなり優秀な人物でした。だからこそマンチェスターの社交界でも信頼され数々の役職を果たすことになりました。

矛盾に満ちた奇妙な人物ですが、やはりスケールの大きさと言いますか、魅力的なものがあるなというのはどうしても感じざるを得ません。

エンゲルスのブルジョワ社交家としての顔を見れたこの箇所は非常に興味深いものでした。

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(47)1852年『ルイ=ボナパルトのブリュメール十八日』を発表するマルクスとその反響

驚くことに、この作品は今となっては非常に有名ですが、出版直後はほとんど反響がなかったようです。

今から数十年前までバイブルのごとく読まれていた『共産党宣言』ですら、出版直後はほとんど反響がなかったくらいです。この作品があまり広まらなかったのは仕方ないことかもしれません。

ただ、そこから時を経てマルクスが亡くなった後から彼の作品が異様なほど評価されていったというのは注目に価します。生前評価されなかった作家が死後になって巨大な存在になって君臨する。その典型がマルクスと言えるかもしれません。

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(46)『資本論』制作に向け喝を入れるエンゲルス~二人の共同作業とエンゲルスの貢献

今となってはマルクスは世界中で知らぬものはいない超有名人ですが、存命中はそうではありませんでした。

ましてロンドンに亡命し始めてからは、無数にいる政治犯の一人という位置づけです。そんな中でくすぶっていたら為すべきことも成せません。

マルクスは完璧主義すぎて次から次へと本の海に沈没し、なかなか作品を書き上げることができないでいました。

そこでエンゲルスはマルクスに喝を入れたのです。

やはりマルクスはマルクスだけにあらず。エンゲルスという盟友あってこそだなと感じます。

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(45)マルクスの隠し子問題とエンゲルスが死の床で明かした秘密とは

マルクスとその妻イェ二ーの強い結びつきはどの伝記でも書かれています。ですが、それほどの仲でありながらも、マルクスは全てが崩壊してしまいかねない事件を起こしてしまいました。

このマルクス最大のピンチにおいても、彼を救った?のはエンゲルスでした。

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(44)1850年代以降、亡命先のイギリスで経済不況を待ち望むマルクス・エンゲルス

マルクス・エンゲルスの史的唯物論によれば、ブルジョワによる資本主義は経済不況を引き金にプロレタリアート革命によって倒されると論じられていました。

ですので革命には経済不況が不可欠です。これがないと何も始まりません。

ただ、これは逆に言えば、経済不況という状況さえあれば革命は自ずとやってくるはずなので、二人はこうした状況を今か今かと待ち望んでいたのでした。

しかし待望の経済不況がやってきたものの、その結果は二人の予想とは全く異なるものでした

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(43)マルクスと大英博物館図書館~毎日12時間研究に没頭する鬼のような読書家マルクス

マルクスは鬼のような読書家でした。大英博物館図書館に籠りひたすら本の海に飛び込むマルクス・・・

彼は原稿を書いては破り捨て、書いては破り捨てを繰り返し、何か思いついたかと思いきや今度は本の世界に飛び込みまた脱線した読書に夢中にのめり込む・・・

これでは原稿を待つエンゲルスが嘆くのも無理はないですよね・・・なかなか原稿を送ってくれない作家に振り回される編集者そのものです。

ただ、マルクスの天才ぶり、狂気ともいうべき姿を知れたのは大きなことでした。

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(42)マルクスは実は貧乏ではなかった?~ブルジョワ的出費と破滅的な金銭感覚

エンゲルスは父の経営する綿工場に勤めることになり、初任給から300ポンドという高給を取り、後には年収1000ポンドという高所得者となります。これを今日の貨幣価値に換算すると1500万円ほどになります。

そしてマルクスが彼から受けた経済援助はなんと、20年で少なくとも4500万円以上だったと言われています。それでもマルクスが貧困に苦しんでいたのはなぜだったのでしょうか。それをこの記事で見ていきます

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(41)労働者の搾取によって得たお金で書かれた『資本論』という気まずい真実

「気まずい真実は、エンゲルスの豊かな収入が、マンチェスターのプロレタリアートの労働力を搾取した直接の結果だったということだ。

彼とマルクスがあれほど細部にわたって非難した諸悪そのものが、彼らの生活様式と哲学に資金を供給していたのだ。」

エンゲルスは父の会社に就職し、そのお金をマルクスに送金していました。労働者を搾取する資本家を攻撃していた二人がまさにそうして生活していたという矛盾が今回読む箇所で語られます。