川瀬佑介著、マンガにしうら染『マンガで教養 はじめての西洋絵画』時代背景と絵画の見方も知れるおすすめ入門書!

クラシック・西洋美術から見るヨーロッパ

『マンガで教養 はじめての西洋絵画』時代背景と絵画の見方も知れるおすすめの入門書!

今回ご紹介するのは2019年に朝日出版社より発行された川瀬佑介著、マンガ にしうら染『マンガで教養 はじめての西洋絵画』です。

前回の記事では高階秀爾著『近代絵画史(上下)』をご紹介しました。

この本は19世紀からの西欧近代画の歴史を学べるおすすめの作品でしたが、「絵もたくさんあり、それぞれの名画の解説や時代背景まで学べる本」ということでおすすめしたいのが今回ご紹介する『マンガで教養 はじめての西洋絵画』です。

早速この本について見ていきましょう。

西洋の名画を楽しむための見方や、
おおまかな西洋美術史の流れがわかる西洋絵画の入門書。
古代、ルネサンス、バロックから現代美術のはじまりまで、
時代別に代表的な画家と作品をマンガ+解説文で丁寧に紹介します。


Amazon商品紹介ページより

この本は時代順に名画を見ていくのでその名画の特徴や見方だけでなく、西洋絵画の歴史の流れまで知れるおすすめの作品です。以下Amazon商品紹介ページにありますサンプルです。

この本はタイトルにもありますように「マンガ」でわかりやすく西洋絵画を学べる1冊です。

ですが入門書といって侮るなかれ。この本の解説はかなり充実しています。私は色々な入門書を読み比べてみたのですがこの本はその中でも特におすすめしたい1冊です。

この本の「はじめに」で著者は次のように述べています。

本書は、大まかにいって14世紀から20世紀前半にかけてヨーロッパで制作された絵画の歴史を紐解くものだ。

まずこの章では、その誕生から20世紀前半まで、西洋絵画の歴史を概観してみたい。しかし、各時代の様式の特徴や重要な画家については、のちに続くマンガや作品紹介のぺージを通じて紹介するとして、ここでは時代ごとに異なる美術を生み出した創造の原動力と背景について、美術史的な観点から説明してみよう。

美術史的観点とは、簡単にいえば、作品をわたしやあなたがどう見るかではなく、作品が制作された当時、その場所で何が意図され、どのように見られたのかを、歴史を遡って考えてみるということである。美術作品は芸術家個人による創造物で、それをどう鑑賞するかは鑑賞者個人の自由だ。美術鑑賞に正解はない。しかし、例えばフェルメールは17世紀オランダという時代と社会の常識や美意識、価値観に基づいて制作したのであり、その作品を21世紀日本の物差しで見ている限り、理解できることには自ずと限りがある。だからそこを補って作品を見ることによってはじめて、我々は作者の意図に近づくことができるし、その作品がなぜ評価されるのかを知ることができるのだ。この書籍が西洋絵画の豊かな森に分け入っていく、みなさんにとっての小さな助けになれば幸いである。


朝日出版社、川瀬佑介著、マンガ にしうら染『マンガで教養 はじめての西洋絵画』P20

当時の時代背景を学ぶことで見えてくることがある。

これは私も強く共感します。

そしてこの本では入門書でありながらかなりかっちりした解説も聞くことができます。

しかも、詳しくなりすぎないけれども深い知識を学べるという絶妙なバランスがあります。詳しくなりすぎると専門用語や聞き慣れない人名や言葉も増えてきてだんだんついていけなくなってしまうものですが、この本ではそういうこともありません。

説明も簡潔ながら的確です。

絵と共に当時の時代背景と画風の特徴を見ていけるのでこれは非常にわかりやすかったです。そこに何が描かれているのか、何を表しているのか、そしてそれが描かれた理由は何なのかがわかってくるとどんどん絵画に親しみが湧いてきます。絵画の面白さや魅力を知るのに最適なガイドブックです!

ぜひぜひおすすめしたい1冊です。

以上、「『マンガで教養 はじめての西洋絵画』時代背景と絵画の見方も知れるおすすめ入門書!」でした。

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