芥川龍之介

三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『河童』あらすじと感想~河童の国へ迷い込むとそこには?奇妙な異世界を通して近代日本を風刺した名作

芥川は「河童の世界」を通じて痛烈に日本のありさまを問うてきます。

ひとりひとり(一匹一匹?)の河童がなんと個性的でユーモラスなことか。そして、なんと不気味なことか・・・。

これが芥川龍之介の決死の抗議、人生最後の警告の意味も込めての作品だったかと思うとぞっとします。彼はこの作品の発表後一年も経たずして自殺してしまいます。

芥川龍之介の死から間もなく100年になります。ですが100年経っても芥川の作品は決して色あせません。文学の力は連綿と今を生きる私たちに受け継がれています。

三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『地獄変』あらすじと感想~地獄絵の完成には地獄を見ねばならぬ…天才画家の狂気を描いた傑作!

この作品を読んでいると、まるでサスペンス映画を観ているかのような緊張感に自分が包まれていることを感じます。天才画家良秀が弟子を鎖で縛ったりミミズクをけしかけるくらいまではまだいいのです。「また始まったよ良秀の奇行が」くらいのものです。ですがそこから段々妙な予感が私達の中に生まれ、次第に不気味に思えてきます。「まさか、良秀がやろうとしていることって・・・」とついハラハラしてしまいます。この徐々に徐々に恐怖や不安を煽っていくスタイルは、ミステリーのお手本とも言うべき実に鮮やかなストーリーテリングです。さすが芥川龍之介です。

この作品には「完璧な絵を描き上げんとする狂気の画家を、言葉の芸術家が完全に描き切るのだ」という芥川の野心すら感じさせられます。

この作品が芥川文学の中でも傑作として評価されている理由がよくわかります。

三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『羅生門・鼻』あらすじと感想~大人になった今だからこそ読みたい!悪へと進むその決定的瞬間を捉えた名作!

ま~それにしても芥川の短編技術の見事なこと!羅生門を上り、夜の闇に現れる不気味な気配。そこに何がいるのかと大人になっても変わらず夢中になって読んでしまいます。まるで映画的な手法と言いますか、臨場感がとてつもないです。

この作品である一人の男が悪の道へと踏み出すその瞬間を決定的に捉えた芥川。その微妙な心理状態を絶妙にえぐり出したラストは絶品です。

『羅生門』は厳しい。厳しい厳しい世の有り様をこれでもかと見せつけます。悪の道へ踏み出すというのはどういうことなのか、まさにそこへと通じていきます。実に素晴らしい作品です。

また、この記事では芥川龍之介とロシア文学、特にゴーゴリとのつながりについてもお話ししていきます。

三島由紀夫と日本文学

芥川龍之介『蜘蛛の糸』あらすじと感想~仏教童話として有名な名作短編!地獄に垂らされた救いの糸!

『蜘蛛の糸』は芥川龍之介が初めて書いた児童向け文学で、仏教説話としても有名な名作短編です。私も僧侶という仕事柄、この『蜘蛛の糸』のお話を法話や仏教書で見聞きすることは数多くありますが、このお話はお寺関係という枠を超えて日本人全体に親しまれてきた作品ではないでしょうか。

そして本書巻末解説では『蜘蛛の糸』制作についての詳しい解説が説かれていたのですが、これが私にとってかなりの驚きでした。簡単に要点をまとめると、⑴『蜘蛛の糸』が元々仏教由来なのかどうかはわからないということ、⑵この作品がドストエフスキーやトルストイとも関係があるという2点があげられます。この記事ではこのことについても詳しく見ていきます。