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A・ホーン『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』概要と感想~ナポレオンの生涯と特徴、社会への影響をコンパクトに学べるおすすめ解説書!
今回ご紹介するのは2017年に中央公論新社より発行されたアリステア・ホーン著、大久保庸子訳の『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』です。
早速この本について見ていきましょう。
若き砲兵将校としてフランス革命に参加したナポレオンは、数々の軍功により頭角を現した。クーデタで政権を奪取し、ついには皇帝に即位。欧州大陸を制覇して広大な帝国を築く。軍事以外にも不朽の事績として民法典の編纂が知られるが、彼の影響力は建造物、室内装飾、ファッションから教育制度などにまで広く及んだ。近現代フランス史の泰斗が、一代の英雄の全盛期を活写し、その「遺産」を検証する。
Amazon商品紹介ページより
この本はナポレオンの生涯とその特徴を知るのにおすすめの作品です。
そしてこの本の特徴はナポレオンその人だけでなく、この時代の社会の様子も知れる点にあります。ナポレオンの登場によって社会はどのような影響を受けたのか、人々の暮らしはどのように変わったのかということを知ることができます。
監修者序文でもこの本について次のように述べられています。
ナポレオンは日本でも広く親しまれているが、日本では軍人のイメージが強いのではないかと思う。ナポレオンは政治家でもあり、本書では、「軍人ナポレオン」よりも「政治家・統治者ナポレオン」の側面に焦点が当てられている。ナポレオン時代のフランスはどのような社会であったのかが本書のメインテーマであり、他の本では知り得ないような興味深い情報が満載されたユニークな本である。堅苦しさもなく、楽しく読める。
中央公論新社、アリステア・ホーン、大久保庸子訳『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』Pⅰ
こちらが目次になりますが、ご覧のように様々な観点からナポレオン時代を見ていきます。
軍人ナポレオンの足跡はもちろん、文化面まで幅広く見ていけるのはとてもありがたいです。
特に第5章の建築や、第7章の娯楽については他の参考書ではなかなか見ることがない内容だったのでこれは興味深かったです。
また、ナポレオンその人の特徴について語られた箇所もとても面白かったです。上の監修者序文にもありましたように、「堅苦しさもなく、楽しく読める。」まさにこれです。
その中でも特に印象に残った箇所をここで紹介します。
ナポレオンと配下の兵士たちとの関係について、最も際立つ特徴の一つは絶対的献身を兵士に求めることができた点にあると思われる。のちの百日天下の日々、再びマスケット銃〔大口径の歩兵用の銃〕を手にしたのは、彼のためにモスクワに侵攻し、退却を余儀なくされた親衛隊だった。
ナポレオンの人となりについて、議論の余地のない点をもう一つ挙げるとすれば、それは超人的と言っていいようなエネルギーの持ち主だったということだ。
彼に心酔していたゲーテが感じたように、そのエネルギーこそがナポレオンの「研ぎ澄まされた状態を限りなく持続させ、それによって彼は、後にも先にも例が見出せないほど、自らの運命を輝かせることに成功した」のだった。
彼は一日一八時間、集中力を途切れさせずにいることができた。「私は常に稼働している」と、ナポレオンがロデレール伯爵に言ったことがあった。「周囲を驚かせるような状況下で、伝えておかなければならないこと、しておかなければならないことが突然浮かぶのは霊感が働くからではなく、私が常に考え、常に熟考しているからだ」
※一部改行しました
中央公論新社、アリステア・ホーン、大久保庸子訳『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』P71-72
ナポレオンのカリスマ性がこれほどわかりやすく説かれた箇所はなかなかお目にかかれるものではありません。
そしてあのゲーテと絡めて解説してくれているのもゲーテ好きの私としては嬉しいところでした。
この作品はナポレオンと文化面を繋げて話してくれるので、戦争以外の話も聞けるのが特徴です。文章も読みやすくスイスイ読んでいけるのでナポレオン入門としてとても優れた作品だと思います。
ぜひおすすめしたい作品です。以上、「A・ホーン『ナポレオン時代』~ナポレオンの生涯と特徴、社会への影響をコンパクトに学べるおすすめ解説書!」でした。
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ナポレオン時代 – 英雄は何を遺したか (中公新書 2466)
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この作品はナポレオンを知る入門書として非常におすすめです。
分量も150ページ弱と、とてもコンパクトなものとなっています。
これはぜひぜひおすすめしたい作品です。
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『罪と罰』にはそのような面白さをもたらしてくれる思想的な奥行きがこれでもかと描かれています。
そのひとつがラスコーリニコフの言うナポレオン思想です。
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