ゾラとドストエフスキーの人間観の違い・空白の有無について考えてみた
この記事ではゾラとドストエフスキーの人間観、そして空白の有無という切り口から2人の作家を考えていきます。
空白の有無が謎を呼び、その謎が議論を生み、議論が議論を拡大する。
ゾラとドストエフスキーの違いがこうした面からも見れたのは私にとっても非常に興味深いものでありました。
この記事ではゾラとドストエフスキーの人間観、そして空白の有無という切り口から2人の作家を考えていきます。
空白の有無が謎を呼び、その謎が議論を生み、議論が議論を拡大する。
ゾラとドストエフスキーの違いがこうした面からも見れたのは私にとっても非常に興味深いものでありました。
ヨーロッパと日本という関係性、道徳観の違い。
これもゾラが日本でマイナーであった大きな要因であるように思います。
ですが現代はかつてのように貧しい社会や強力な「家の論理」が支配する日本ではありません。
何度もこのブログで申していますように、フランス第二帝政期は私たちのライフスタイルに直結しています。
現代を生きる私たちの生活はまさにゾラの描く世界がベースにあるのです。
であるならば、日本においては今こそゾラの描く小説が最も意味を持つ時代なのかもしれません。
前回の記事ではフランスでの発行部数からゾラの人気ぶりを見ていきました。
その圧倒的な売れ行きからわかるように、ゾラはフランスを代表する作家です。
ですが日本で親しまれている大作家が数多くいる中で、ゾラは日本では異様なほど影が薄い存在となっています。
なぜゾラはこんなにも知名度が低い作家となってしまったのでしょうか。
今回の記事では日本でゾラがマイナーとなってしまった理由と、それと比較するためにドストエフスキーがなぜ日本で絶大な人気を誇るのかを考えていきたいと思います。
ゾラは日本ではあまり知名度が高くはありませんが、フランスでは最も愛されている作家の一人です。
日本にいるとその偉大さは伝わりにくいですが、ちょうど私が読んだ『獣人』藤原書店、寺田幸德訳の訳者解説にフランスでのゾラ作品の発行部数が載っていたので、この記事ではその数字を参考にいかにゾラがフランスで人気だったのかを見ていきます。
ある作家がどのようなグループに属しているのか、どのような傾向を持っているのかということを知るには〇〇主義、~~派という言葉がよく用いられます。
ですが、いかんせんこの言葉自体が難しくて余計ややこしくなるということがあったりはしませんでしょうか。
そんな中、ゾラは自分自身の言葉で自らの小説スタイルである「自然主義文学」を解説しています。それが非常にわかりやすかったのでこの記事ではゾラの言葉を参考にゾラの小説スタイルの特徴を考えていきます。
世の中の仕組みを知るにはゾラの作品は最高の教科書です。
この社会はどうやって成り立っているのか。人間はなぜ争うのか。人間はなぜ欲望に抗えないのか。他人の欲望をうまく利用する人間はどんな手を使うのかなどなど、挙げようと思えばきりがないほど、ゾラはたくさんのことを教えてくれます。
そして何より、とにかく面白い!私はこれまでたくさんの作家の作品を読んできましたが、ゾラはその中でも特におすすめしたい作家です!
この記事では名著揃いのゾラ作品の中でも厳選した7作品を紹介していきます。
これまで20巻にわたり「ルーゴン・マッカール叢書」をご紹介してきましたが、この記事ではそれらを一覧にし、それぞれの作品がどのような物語かをざっくりとまとめていきます。
24年の間、ほぼ1年に1作のペースで長編小説を20巻も書き続けたゾラ。
1冊1冊の重みを考えると、まさしく異常とも言えるエネルギーでゾラは執筆し続けていたのでありました。
その集大成がこの『パスカル博士』であり、「ルーゴン・マッカール叢書」の締めくくりとしてゾラの思想が最もはっきりと見える作品となっています。
この作品は20作ある叢書の中でも私の中でもベスト3に入る作品です。叢書ラストを飾るこの作品も名著中の名著でした!
今作は日本ではあまり知られてはいませんが戦争文学の金字塔と評価されている作品です。
ゾラ得意の五感を刺激する文章はまるで自分が間近で戦争を見ているかのような感覚にさせます。
ゾラはやはり芸術家です。読む者に恐るべきインスピレーション、イメージ、ショックを与えます。彼は単に世の中の相を写し取っただけではなく、それを芸術に昇華させています。
『壊滅』は叢書のクライマックスにふさわしい重厚な作品でした。戦争文学の傑作、金字塔という名声は疑いようもありません。素晴らしい作品でした。
『獲物の分け前』で主に土地投機によって巨額の金を稼いだ主人公のサッカールでしたが、今作では巨大銀行を設立することで新たな戦いに身を投じていく様子が描かれています。サッカールのライバルのユダヤ人はあのロスチャイルド家がモデルになっています。フランス第二帝政期では実際に新興銀行とロスチャイルド銀行との金融戦争が勃発していました。ゾラはこうした事実を丹念に取材し、この作品に落とし込んでいます。