フランス文学と歴史・文化

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スタンダール『赤と黒』あらすじと感想~19世紀フランス社会を知るのにおすすめの傑作小説!名言の宝庫!

この作品ではまさに一九世紀前半から中頃にかけてのフランス青年の成り上がり物語が描かれています。

そして興味深いのがその成り上がりに「恋愛」が大きなウエイトを占めているという点です。

ナポレオンも下級貴族から自分の才覚で皇帝まで成り上がりました。そしてそれと同じように今作の主人公ジュリアン・ソレルも成り上がりを目論みます。

その手段として恋愛があり、それを足掛かりに一気に階級上昇を狙うという社会風潮がたしかにあったのがこの時代のフランスだったのでした。そんなフランス事情を知れるおすすめの作品です

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W・D・リット『スタンダールの生涯』~ナポレオンのモスクワ遠征にも従軍したフランスを代表する作家のおすすめ伝記!

私もこの伝記を読んで驚いたことがたくさんありました。

そもそもスタンダールという名前がペンネームであったことや、ナポレオンとのつながりについても非常に興味深いものがありました。

特にスタンダールがあのモスクワ遠征に従軍していたという事実には仰天しました。

19世紀フランス文学を知る上でもスタンダールは避けては通れない存在です。そのスタンダールの生涯をわかりやすく知れるこの伝記は非常におすすめです。面白いです。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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『ナポレオン言行録』読書は世界を制す?文学青年ナポレオンと読書~文豪達はなぜナポレオンに憧れたのか考えてみた

この作品はナポレオンが遺した手紙や言葉をパリの歴史家オクターヴ・オブリが編集したものになります。

この作品を読んでいて印象に残ったのはやはりナポレオンの言葉の強さでした。ナポレオンといえば軍人というイメージが強いかもしれませんが、驚くべきことに圧倒的な文才も兼ね備えていたのです。

ナポレオンが鬼のような読書家であったこと。そしてそこから多くのことを学び、人々の心を動かし皇帝にまでなったということ。

そのことをこの作品では知ることができます

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マイク・ラポート『ナポレオン戦争』~ナポレオン戦争の特徴を様々な観点から見ていくおすすめ参考書!

この本は「ナポレオンの天才的な軍事作戦」を解説するタイプの本ではありません。それよりもこの戦争が起きた背景や、戦争遂行に必要な様々なものをじっくりと見ていく作品になります。

ナポレオン一人の存在で戦争が起こったのではなく、すでに十八世紀の国際状況がそれを誘発するものをはらんでいたということ。そしてナポレオンの天才ぶりばかりが強調されがちな中で、実はその戦勝の背景にある個々の兵士たちの存在が大きな意味を持っていたこと。それらをこの本では学ぶことができます。

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A・ホーン『ナポレオン時代』~ナポレオンの生涯と特徴、社会への影響をコンパクトに学べるおすすめ解説書!

この本の特徴はナポレオンその人だけでなく、この時代の社会の様子も知れる点にあります。ナポレオンの登場によって社会はどのような影響を受けたのか、人々の暮らしはどのように変わったのかということを知ることができます。

軍人ナポレオンの足跡はもちろん、文化面まで幅広く見ていけるのはとてもありがたいです。

特に第5章の建築や、第7章の娯楽については他の参考書ではなかなか見ることがない内容だったのでこれは興味深かったです。

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『ビジュアル選書 ナポレオン』~ナポレオンの入門書としておすすめの図版多数のガイドブック!

この作品の特徴は何と言っても図版の充実ぶりにあります。タイトル通り、ビジュアルと共に人物とその特徴を追っていくのが本書になります。

解説の文章も初学者でもわかりやすいように書かれ、当時の時代背景も語ってくれるのもありがたいです。

この作品はナポレオンを知る入門書として非常におすすめです。

分量も150ページ弱と、とてもコンパクトなものとなっています。

これはぜひぜひおすすめしたい作品です。

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P・マクフィー『フランス革命史 自由か死か』~フランス革命の背景を大きな視点で捉えるおすすめ解説書

この本を読んで特に感じたのは革命のカオスぶりです。

あまりに多様な人々をどうひとつにまとめていくのか、何かひとつのことをする度に、必ず不利益を被る人が出てくる。そしてその人達は政府の反対者となり、革命の歩みは難しくなる。ではどうするのか?ギロチンか・・・

こうした問題にどうしてもぶつかってしまうのが革命なのかという事を考えさせられました。

また、こうしたことを考えているとどうしても連想してしまうのがレーニンによるロシア革命でした。フランス革命とロシア革命を比べながら考えるのも大切なことなのではないかと思ったのでありました。

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P・マクフィー『ロベスピエール』~フランス革命恐怖政治の独裁者は本当はどんな人物だったのかを追うおすすめ伝記!

ロベスピエールはあまりに劇的な最期を遂げたため、死後様々な立場から多種多様に語られてきました。そこに「語る者」の意図がどうしても色濃く反映されてしまいます。

ですが著者のマクフィーは歴史家としてそこからなるべき距離を置こうとします。

権力に飢えた独裁者、冷酷無比な虐殺者、政敵を無慈悲に断頭台に送り込んだ精神異常者。そんな単純な話で還元できるものではありません。

その姿勢こそ本書の最も特徴的なポイントであり、私が感銘を受けた点でした。

この本は人間の複雑さ、そして置かれた環境によって人間はどうなりうるのかということを考えさせられる名著です。

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G.ホルムステン『ルソー』~入門書に最適なおすすめ伝記!

この本のありがたいのは絵や写真などのビジュアル資料も豊富な点です。当時の様子などもイメージしやすかったです。

また、伝記としても当時の時代背景などの知識がない人にもわかりやすく伝えるように書かれています。非常に読みやすく、すらすらと進むことができます。波乱万丈なルソーの生涯やその思想の特徴を楽しく学ぶことができます。

これまで当ブログでも紹介してきたヴォルテールも同時代人です。そのヴォルテールとの因縁もこの本では詳しく知ることができます。ヨーロッパ思想を切り開いた両者がなぜ犬猿の仲になったのか、それも非常に興味深かったです。

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ヴォルテール『寛容論』~狂信、宗教対立に対するヴォルテールの告発とは!今こそ読みたい名著!

この本は「カラス事件」をきっかけに書かれ、当時の狂信に対するヴォルテールの激しい反発が込められています。

しかし、全体を読んでみると厳しい言葉や攻撃的な言葉が意外と少ないことに気づきます。彼は一線を越えないのです。この辺のバランス感覚の絶妙さがヴォルテールのヴォルテールたる所以であるように感じました。

彼はこの本で宗教的不寛容の実例をいくつも紹介し、その弊害を説きます。

『寛容論』は現代にも通じる名著です。寛容さが失われつつある現代こそ、この本は非常に大きな意味を持つのではないでしょうか。ぜひおすすめしたい1冊です。