目次
朝ドラ『らんまん』の寿恵子さんとドストエフスキーの妻アンナ夫人がそっくりなのではないかという件について
今週のNHK朝ドラ『らんまん』で借金取りを見事に追い返した寿恵子さんを見て、私はドストエフスキーの妻アンナ夫人を連想せずにはいられませんでした。
アンナ夫人も生活能力ゼロのドストエフスキーを支え、原稿の清書、出版まで手掛け、さらには借金取りも撃退しています。
正直、これまでも『らんまん』を見ていて寿恵子さんにアンナ夫人を感じることが何度もあったのですが、今回の放送でそれは確信に変わりました。
ドストエフスキーとアンナ夫人が初めて出会ったのは1866年の10月のこと。ドストエフスキー45歳、アンナはなんと20歳の年でした。この時彼女はまだ速記の講義に通う学生だったのでした。
この点も牧野夫妻と似ています。圧倒的な才能を持つ夫と、若い妻。そして寿恵子さんもアンナ夫人も文学好きであることも共通しています。
そして何より、結婚後の貧乏暮らしもそっくりで、そこから妻が腹をくくり実務的な仕事まで切り盛りするのもまさに重なっています。
この点については以下の「【ドイツ旅行記】(27)帰国後のアンナ夫人の無双ぶり!借金取りも撃退!ドストエフスキーも全幅の信頼を寄せるその姿!」の記事で詳しくお話ししているのでぜひ見て頂けたらと思います。寿恵子さんとのそっくり具合にきっとびっくりすると思います。
あわせて読みたい
(27)帰国後のアンナ夫人の無双ぶり!借金取りも撃退!ドストエフスキーも全幅の信頼を寄せるその姿!
前回の記事「(26)ドストエフスキー夫妻の4年ぶりの帰国!旅を経てすっかり丸くなったドストエフスキーとアンナ夫人の成長とは」ではついにドストエフスキー夫妻がロシアに帰国したところまでをお話ししました。
今回の記事ではそんな旅を経て成長を遂げたアンナ夫人の姿をご紹介していきます。4年の月日が経ち、二人は出発前とは全く違う人間となって帰ってきました。一回りも二回りも成長した彼らは帰国後どんな生活を送ったのでしょうか。
私はこの数年間「親鸞とドストエフスキー」をテーマに学び続けてきました。そしてその集大成として「ドストエフスキーの旅」と題してヨーロッパのドストエフスキーゆかりの地を旅しました。
あわせて読みたい
『ドストエフスキー、妻と歩んだ運命の旅~狂気と愛の西欧旅行』~文豪の運命を変えた妻との一世一代の...
この旅行記は2022年に私が「親鸞とドストエフスキー」をテーマにヨーロッパを旅した際の記録になります。
ドイツ、スイス、イタリア、チェコとドストエフスキー夫妻は旅をしました。その旅路を私も追体験し、彼の人生を変えることになった運命の旅に思いを馳せることになりました。私の渾身の旅行記です。ぜひご一読ください。
私がこうまでしてわざわざヨーロッパまで旅したのは何よりも「アンナ夫人と共にいるドストエフスキー」が大好きだからです。
『カラマーゾフの兄弟』や『罪と罰』などの大作で有名なドストエフスキー。文豪としての彼はよく知られていますが、妻と歩んだ人生そのものの面白さも群を抜いています。正直、小説よりも面白いと言っても過言ではありません。それほどドストエフスキーと妻アンナ夫人の歩んだ生涯は桁外れのスケールです。
今『らんまん』を見ているとそんな二人の歩みを見ているようでとてもほっこりしています。
また、ドストエフスキーといえば難しくて重い小説を書いた人というイメージが強いかもしれませんが、実は奥様にデレデレでとびきりの子煩悩だったことでも有名です。
そのエピソードが私も大好きで、ドストエフスキーが大量のラブレターを書いたドイツのバートエムスという温泉町に去年私も行ってきました。
あわせて読みたい
(28)温泉地バート・エムスのドストエフスキーゆかりの地を訪ねて~結婚後10年経っても夫人に熱烈なラ...
私にとってバート・エムスはドストエフスキーのアンナ夫人への愛を感じられる象徴的な場所です。
結婚後10年経っても妻を熱愛したドストエフスキー。
彼はエムスからアンナ夫人に熱烈なラブレターを送り続けます。
あの『悪霊』を書いた文豪とは思えぬほどのデレデレぶりをぜひ皆さんにお目にかけたいと思います。
愛妻家としてのドストエフスキーを知るならここを超える場所はないのではないだろうかと私は感じています。
このタイトルにありますように、結婚後10年経ってもドストエフスキーはアンナ夫人にデレデレでラブレターを送り続けていたのです。この時ドストエフスキーは60歳近くと、最晩年でした。それでもなおドストエフスキーは妻を熱烈に愛し続けていたのでした。
これはやはり生活能力ゼロのドストエフスキーを献身的に支えたアンナ夫人への感謝と尊敬があったからこそでしょう。アンナ夫人の驚異的な実務能力や意志の強さには驚くしかありません。ドストエフスキーは本当に幸運な人間だと思います。アンナ夫人という伴侶がいなければ彼の人生はまさに破滅だったでしょう。
さて、今『らんまん』を楽しく観させて頂いております。それは魅力的な主人公万太郎と寿恵子の絶妙なバランスあってこそだと思います。いや、もはや天才すぎて突き抜けてしまっている万太郎より寿恵子さんに感情移入してしまう方も多いのではないのでしょうか(笑)応援したくなりますよね。天才も支えてくれる人あってこそということをこのドラマでは強く感じさせられます。
そしてもしこの二人に魅力を感じた方はぜひドストエフスキー夫妻のことも知ってほしい!そう願い私はこの記事を書きました。
以下の記事は私の旅行記の「おわりに」にあたる箇所ですが、この記事でドストエフスキーとアンナ夫人に対する私の思いも記しています。
あわせて読みたい
「ドストエフスキーの旅」を終えた私の思いと今後のブログ更新について~当ブログを訪れた皆さんへのメ...
私はドストエフスキーが好きです。ですが、何よりも「アンナ夫人といるドストエフスキー」が好きです。 そんな二人の旅路が少しでも多くの人の目に触れるきっかけとなったらこんなに嬉しいことはありません。
何か私の記事の宣伝のような記事になってしまいましたが、正直に白状しましょう。宣伝です!笑
ですが、ドストエフスキーといえば暗くて難しくて重い文豪というイメージがあるかもしれませんが、何とかしてそれを払拭したい!そんな思いが私にはあります。そして何より、ドストエフスキーとアンナ夫人の物語の面白さをぜひ多くの方に知って頂きたい!私はそう思うのです。
ドストエフスキーは巨大な人間です。彼は並の人間ではない、とてつもないスケールの人生を生きました。彼は何事も極端まで行かなければ気が済まない人間でした。彼の生涯は私たちに「世界の大きさ」を開いてくれます。そしてそれは彼の小説作品も然りです。
ドストエフスキー夫妻の人生はまさに巨大なスケールで語られた一つの作品にも等しいです。
私は二人の生涯に大いなるドラマを感じました。こんなに劇的で感動的な人生があるでしょうか。私はヨーロッパで彼らの足跡を辿り、何度心を打たれたかわかりません。
ぜひ二人のドラマを体感して頂けたらなと思います。
以上、「借金取りを撃退した『らんまん』の寿恵子さんとドストエフスキーの妻アンナ夫人がそっくりなのではないかという件について」でした。
Amazon商品ページはこちら↓
回想のドストエフスキー〈1〉 (みすずライブラリー)
関連記事
あわせて読みたい
アンナ・ドストエフスカヤ『回想のドストエフスキー』あらすじと感想~妻から見た文豪の姿とは。これを...
私はこの本を読んでドストエフスキーを心の底から好きになりました。
ギャンブル中毒になりすってんてんになるダメ人間ドストエフスキー。生活のために苦しみながらも執筆を続けるドストエフスキー、愛妻家、子煩悩のドストエフスキーなど、意外な素顔がたくさん見られる素晴らしい伝記です。ぜひ読んでみて下さい。きっとドストエフスキーのことが好きになります!
あわせて読みたい
(14)ドストエフスキーとアンナ夫人の結婚は運命だとしか思えない~なぜアンナ夫人は彼を愛し、守ろう...
「なぜアンナ夫人はこんなにもドストエフスキーを好きなのだろうか。なぜこんなにひどい目にあっても逃げ出さないのだろうか」。
私もこのバーデン・バーデンで改めてそう思わずにはいられませんでした。
しかしやはりこの二人の結婚は運命だったのです。この記事では私がそう確信する理由をお話ししていきます。
あわせて読みたい
ドストエフスキーおすすめ作品7選!ロシア文学の面白さが詰まった珠玉の名作をご紹介!
ドストエフスキーといえば『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』など文学界では知らぬ者のない名作を残した圧倒的巨人です。彼は人間心理の深層をえぐり出し、重厚で混沌とした世界を私達の前に開いてみせます。そして彼の独特な語り口とあくの強い個性的な人物達が織りなす物語には何とも言えない黒魔術的な魅力があります。私もその黒魔術に魅せられた一人です。
この記事ではそんなドストエフスキーのおすすめ作品や参考書を紹介していきます。またどの翻訳がおすすめか、何から読み始めるべきかなどのお役立ち情報もお話ししていきます。
あわせて読みたい
「なぜ僧侶の私がドストエフスキーや世界文学を?」記事一覧~親鸞とドストエフスキーの驚くべき共通点
親鸞とドストエフスキー。
平安末期から鎌倉時代に生きた僧侶と、片や19世紀ロシアを代表する文豪。
全く関係のなさそうな2人ですが実は重大なつながりがあるとしたらいかがでしょうか。
このまとめ記事ではそうした私とドストエフスキーの出会いと、なぜ僧侶である私がドストエフスキーを学ばなければならないのかを紹介しています。
あわせて読みたい
【ローマ旅行記】『劇場都市ローマの美~ドストエフスキーとベルニーニ巡礼』~古代ローマと美の殿堂ロ...
私もローマの魅力にすっかりとりつかれた一人です。この旅行記ではローマの素晴らしき芸術たちの魅力を余すことなくご紹介していきます。
「ドストエフスキーとローマ」と言うと固く感じられるかもしれませんが全くそんなことはないのでご安心ください。これはローマの美しさに惚れ込んでしまった私のローマへの愛を込めた旅行記です。気軽に読んで頂ければ幸いです。
あわせて読みたい
(13)ドイツ、バーデン・バーデン散策!カジノに狂ったドストエフスキーの足跡を辿る
この記事でぜひ皆さんに紹介したいものがあります。これは全世界に声を大にして伝えたいです!ここバーデン・バーデンに世界最高レベルの傑作彫刻があるのだと!
バーデン・バーデンでの日々はこの旅で最も強い衝撃を受けたものになりました。この旅のハイライトです!
ドストエフスキーが狂ったカジノ、山の中の散歩道、丘の上に立つドストエフスキーの彫刻、ぜひ皆さんにお薦めしたい記事となっています。
あわせて読みたい
(22)フィレンツェでのドストエフスキーの日々~ゆかりの地や彼お気に入りの芸術をご紹介!
悲しみや苦しみを分かち合い、今や二人は強固な絆で結ばれました。彼らの復活はいよいよここから始まっていきます。自分たちをミコーバー夫妻になぞらえたフィレンツェでの生活はこの旅の大きなポイントになったのではないでしょうか。
あぁ、美しきフィレンツェ!できるなら私ももっともっとゆっくり滞在したかった!さすがは花の都。この街の芸術には感嘆させられっぱなしでした。
あわせて読みたい
(15)ホルバインの『墓の中の死せるキリスト』に衝撃を受けるドストエフスキー~『白痴』にも大きな影...
バーデン・バーデンでの地獄の5週間を過ごしたドストエフスキー夫妻はスイスのジュネーブへ向けて旅立ちました。
そしてその途中、バーゼルという街で二人は1泊しある絵を観に行くことになります。
それがハンス・ホルバイン作『墓の中の死せるキリスト」という絵でした。
この絵はドストエフスキーに強いショックを与え、彼の長編『白痴』にも大きな影響を与えることになります。
コメント