日本

仏教コラム・法話

⑹苦行を捨てついに悟るブッダ。マーラ(悪魔)との対決やスジャータのミルク粥の逸話も

前回の記事では6年間に及ぶ厳しい苦行を行ったブッダの姿をお話ししましたが、いよいよそのブッダが悟りを得る日がやってきます。この記事ではそんなブッダ成道(※悟りの意)の顛末についてお話ししていきます。

また、ブッダにミルク粥を施したスジャータの逸話やブッダと悪魔の対決など、ブッダ伝における有名なエピソードもご紹介します。

インド仏跡インドにおける仏教

インド仏教をもっと知りたい方へのおすすめ本~入門から専門書まで私がぜひおすすめしたい逸品を紹介します

この記事では私がおすすめする仏教書をご紹介していきます。

まずはブッダやインドの仏教を知る入門書としておすすめの作品を紹介し、その後はもっと仏教を知りたい方におすすめの参考書を厳選してご紹介していきます。

私が仏教を学ぶ上で大切にしているのは「宗教は宗教だけにあらず」という視点です。

宗教は単に信仰や教義だけで成り立つのではなく、当時の時代背景や政治経済、文化、歴史、国際情勢など様々な要因が組み合わさり成立しています。ですので私は仏教を学ぶ上でも当時のインドの時代背景やバラモン教、ヒンドゥー教などの他宗教との関連性なども重視しています。

というわけで私のチョイスする参考書は仏教書としては一風変わったラインナップになりますがきっと皆さんの新たな発見のお役に立てるのではないかと確信しております。

インド仏教仏教コラム・法話

【仏教入門・現地写真から見るブッダ(お釈迦様)の生涯】⑴ネパールでの誕生から王子様シッダールタの幼少期まで

今回の記事からゴータマ・ブッダ(お釈迦様)の生涯を現地写真と共にざっくりとお話ししていきます。

私は2024年2月から3月にかけてインドの仏跡を旅してきました。

これからご紹介する写真は基本的には私が現地で撮影してきたものになります。

やはり実際にブッダが生きておられた場所を訪れると、これまで本や写真だけで知っていた世界とは異なるものを感じます。この記事でも現地ならではの体験を織り交ぜてお話ししていきます。

仏教の思想8中国仏教と思想・歴史

『仏教の思想8 不安と欣求〈中国浄土〉』~曇鸞、道綽、善導の思想と生涯、時代背景も知れるおすすめ参考書!

本書では曇鸞、道綽、善導の思想だけでなく彼らの生涯や時代背景も知ることができます。当時の中国の政治情勢あってこその仏教ということがよくわかります。度重なる戦乱や仏教弾圧の中で中国浄土教が発展し、善導の時代には繁栄極める国際都市長安の繁華街で善導浄土教が支持を受けていくという流れは非常に興味深かったです。やはり歴史に名を残す偉人たちと時代背景のつながりというのは面白いです。浄土真宗僧侶としてはどうしても親鸞や法然と向き合う時間が長くなってしまいがちですが、その源流を辿るというのもやはり大きな意味を感じます。源流を辿るからこそ親鸞の特徴や独自性が見えてくるというものです。

そういう意味でも本書は親鸞を学ぶ上でも非常に貴重な作品ということができるでしょう。

仏教の思想5日本仏教とその歴史

『仏教の思想5 絶対の真理〈天台〉』~法華経の思想や中国、日本の天台の流れを知れるおすすめ解説書!

天台といえば私たち日本人は比叡山延暦寺の最澄が開いた天台宗をイメージしますが、その源流は紀元1世紀から2世紀にかけてインドで生まれた『法華経』にあります。『法華経』の教えはインドから中国を経て日本に伝えられました。

本書ではそんな『法華経』の歴史や思想内容について知れるおすすめ作品です。

また、本書では時代背景なども絡めて語られますので、大きな視点から天台仏教を見ていけるのも魅力です。日本仏教の基礎を考える上でも天台宗や法華経を学ぶことは非常に重要であると私も思います。本書はその入り口として最適の一冊です。ものすごく面白いです。

大乗仏教 佐々木閑インドにおける仏教

佐々木閑『大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか』~日本仏教のそもそもを考える上でも重要な一冊!

「大乗仏教という言葉は知っているし、自分たちの住む日本が大乗仏教国であることも知っている。しかし、その大乗仏教というのがいったいどのような教えなのかは、さっぱりわからなかった。」
これは一般読者だけでなく、実は僧侶自身も同じ思いの方が多いのではないでしょうか。
と言いますのも、僧侶である私たちも仏教の基本を学ぶのでありますがやはり自分の宗派の教義の勉強が中心となってしまいます。
もちろん、大乗仏教とは何かや日本の主だった宗派の特徴などは習っていますが、その成立過程や経典、教義の細かい所まではなかなか立ち入れないというのが正直なところです。
そういう面でも本書はどの宗派の僧侶にとっても非常に意義のある解説書となっています。

三島由紀夫と仏教三島由紀夫と日本文学

三島由紀夫と仏教のつながり~『豊饒の海』の唯識思想など三島はどこで仏教を学んだのか

三島が仏教を学ぶ際、実際に何を読んだのかということまではわかりませんが、数々の入門書を読んで唯識へとたどり着き、大谷大学の山口益博士から教えを受けたということが今回参照した全集の記事からわかりました。

三島のライフワークとなった『豊饒の海』をより深く味わうためにも唯識をもう一度学び直したいと深く感ずることとなりました。晩年の三島の思いを知る上でもこれは重要なポイントになりそうです。

三島由紀夫 インドの印象三島由紀夫と日本文学

三島由紀夫『インドの印象』~晩年の三島はインド旅行で何を見て何を思ったのか。『豊饒の海』にも強い影響!

三島由紀夫は1967年秋に15日をかけてインドを旅しました。そのルートは広大なインドをぐるっと周遊するまさに強行軍です。

晩年の三島はインドについてかなり強い関心をもっていました。インターネットで何でも簡単に検索できる時代とは違います。自分から積極的に情報を集めなければヒンドゥー教について深く知ることはできません。こうしたインドや仏教への強い関心が三島文学、特に『豊饒の海』にも大きな影響を与えているようです。

このインタビュー記事が三島のインド観を知れる重要な資料であることは間違いありません。

行動学入門三島由紀夫と日本文学

三島由紀夫『行動学入門』~三島自らが自決について執筆!三島の自決を理解するためのおすすめ解説書

1970年11月25日の自決決行まで、ほぼ全ての人が三島の決起を予想していませんでした。たしかに、三島の漠然とした異変に気付いていた人も少なくはありませんでしたが、まさかそんなことまでしないだろうと考えていたのです。

ですが自決後時を経て、まさにこの本で三島の予言していた通りになったのでした。『行動学入門』には三島の思いが真っすぐ述べられています。自分はこれからやるぞ。行動するぞ。俺は口先だけの人間だけではないんだと強く迫ってくるような迫力があります。

三島由紀夫と楯の会事件三島由紀夫と日本文学

保阪正康『三島由紀夫と楯の会事件』~1970年自衛隊市ヶ谷駐屯地での自決に至るまでの詳しい過程を知れるおすすめ参考書

1970年11月25日、三島由紀夫と楯の会メンバー4人が自衛隊市ヶ谷駐屯地に立てこもり、バルコニーから自衛隊決起を促す演説をした後、三島と森田必勝両氏がそのまま切腹し自殺するという衝撃的な事件が起こりました。本書はこの衝撃的な事件の背景とその経緯を知るのに最高の一冊です。

この本では三島が自決に至る過程をかなり詳しく見ていくことができます。特に楯の会の結成やその進展、そして三島と自衛隊とのつながりについての解説は非常に興味深いものがありました。

その内容についてはここではご紹介できませんが、私も「えっ!」と驚くようなことがどんどん出てきました。この本を読む前と後では三島に対する見方がまた変わったように思えます。