ニーチェおすすめ作品7選と解説記事一覧~ニーチェは面白い!哲学だけではなくその人生、人柄にも注目です
ニーチェおすすめ作品7選
フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)wikipediaより
前回の記事「おすすめニーチェ解説書10選~ニーチェとは何者なのか、その思想を学ぶために」ではニーチェを知るためのおすすめ参考書をご紹介しましたが、今回はニーチェのおすすめ作品を紹介していきたいと思います。
ニーチェの哲学書と言えばとにかく難解なイメージがあるかもしれませんが、それでもなお現代まで多くの人に愛され続けているのも事実です。難解なだけでなく、やはりそこに何か読者の心を打つような強いメッセージがあるからこそ多くの人に読まれ続けているのだと思います。
今回はそんなニーチェの哲学書の中でも私がおすすめしたい7つの作品とニーチェに関する興味深い解説をまとめた記事をいくつか紹介していきます。
リンク先の記事ではそれぞれについてより詳しくお話ししていますのでぜひそちらもご覧ください。
では、早速始めていきましょう。
『悲劇の誕生』
ニーチェは元々哲学者ではなく、古典文献学者でした。
ニーチェは古代ギリシア文献を当時の学問的常識とは全く異なる視点で見ていこうとします。その試みの結晶が『悲劇の誕生』という作品になります。
ニーチェはこの作品でデビューすることになったのですが、他の学者達から猛反発をくらい、ニーチェの学者としてのキャリアは消滅してしまったのでした。孤高の哲学者ニーチェは自ら進んでなったのではなく、この作品の発表によって学者達から締め出しをくらってしまったからなのでした。
ここではなぜニーチェが他の学者から猛反発をくらってしまったかはお話しできませんが、ニーチェ哲学の始まりを知る上でもこの作品は非常に重要なものとなっています。その顛末を知りたい方はこの記事でより詳しくお話ししていますのでぜひリンク先をご参照ください。
私の個人的な感想ですが、『ツァラトゥストラ』をはじめ後半の作品群と比べても文章がわかりやすいような気がします。ニーチェ作品の中では読みやすい部類に入ると私は思います。
ニーチェを学ぶ上で非常におすすめな作品です。
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『ツァラトゥストラ』
『ツァラトゥストラ』といえば「神は死んだ」という言葉で有名なニーチェの代表作です。
この本はこれまで私も何度も読んできました。学生時代、院生時代、社会人時代とそれぞれのタイミングで読んだ思い出があります。
ただ、以前の記事「ニーチェとドストエフスキーの比較~それぞれの思想の特徴とはー今後のニーチェ記事について一言」でも少しお話ししましたがやはりこの本は危険な書物です。
というのも、既存の秩序を破壊せんとするこの本ではかなり攻撃的な言葉が発せられ、これを読むとそれに感染してしまうということが起こりうるからです。
『ツァラトゥストラ』を読むとなぜか熱に浮かされるような、自分が強くなったかのような気がしてくるのです。正直、読むたびに「自分が他人よりもよく世界を知っている」という気にさせられ、そこから周りを見下してしまいそうな気分になってしまうのです(それは私が若かったからということや、私の読み方が未熟だったせいかもしれません。)
ですが、最近になって様々な参考書や、他の作品を読むことでそんなニーチェへの印象が変わってきました。
この記事ではそんな『ツァラトゥストラ』の私なりの感想を述べています。
この本はニーチェの中心思想がふんだんに説かれています。それぞれの箇所で様々な思いが浮かんでくると思います。私自身、初めてこの作品を読んだ時はニーチェの孤独など思いも寄りませんでした。「孤独」よりも「孤高」を感じていたくらいです。今でも「孤高」のイメージは無くなったわけではありませんが、初めて読んだ時とは違った空気を感じるようになっています。
同じ人間でもこうなのですから、それぞれ感じ方が異なるのは当然です。様々な読みができるのもこの作品の魅力なのではないでしょうか。
『ツァラトゥストラ』にニーチェの孤独の寂しさを感じる~「神は死んだ」で有名な代表作
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『道徳の系譜』
この記事の中では『善悪の彼岸』も解説に含めていますが、私がよりおすすめしたいのは『道徳の系譜』という作品です。
この作品には個人的な思い入れがあります。
というのも、学生時代、倫理学の授業の課題図書としてこの作品を読むことになり、ニーチェ作品で初めて手に取った作品が『道徳の系譜』だったのです。つまり、私の初めてのニーチェ体験がこの『道徳の系譜』だったのです。
この作品は『ツァラトゥストラ』のようなアフォリズムという形式ではなく、論理的にわかりやすい形で展開されます。これまであまりに自分の論が理解されなかったことから、彼はその論述スタイルを変更してまでこの作品を書き上げたのです。
おかげでニーチェ作品の中では非常に読みやすく、わかりやすいものとなっています。(それでも難しいですが)
この作品でニーチェはキリスト教世界における道徳の歴史を分析し、考察します。
善人とは何か、悪人とは何か。
はて、そもそも善悪とは何か。それは立場によって変わってくるのではないか。
いや、キリスト教道徳は悪が善に変わったという前代未聞の試みなのだ。弱きものが怨恨感情(ルサンチマン)によって強き者を引きずり落したのだとニーチェは驚くべき論を展開します。
私の初めてのニーチェ体験は彼のとてつもない道徳論に度肝を抜かれっぱなしでした。
キリスト教の道徳観をこれでもかと批判するニーチェ。これには圧倒される他ありません。この猛襲にほとんど私たちは置いてけぼりをくらうほどです。
ニーチェのすごい所は単にキリスト教を「宗教は迷信だ」「科学的に神はありえない」と切り捨てるのではなく、その在り方を徹底的に分析し考察している点にあります。単に「宗教はまやかしだ」と述べる無神論者とはかなり違った色があるのです。
普通の人なら思いもよらないところまでニーチェは潜り、より深く根源へ根源へと突き進んでいきます。そうした所から生まれてくるキリスト教への疑問や問題点をニーチェはえぐっていくのです。
ニーチェは究極的なところまで行こうとするのでその議論はたしかに極論のようになってしまっているところもあります。ですが、だからこそ彼の言葉に力があるというのも事実です。この本は恐るべき作品です。
私は同じく学生時代、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の「大審問官の物語」にも大きな衝撃を受けました。その時の顛末は以下の記事でもお話ししましたが、宗教における根源的な部分に戦いを挑む彼らの絶対的探究心、思想的闘いには本当に驚かされます。
『道徳の系譜』はニーチェ作品の中でも特に私の印象に残っている作品です。また、ニーチェの思想を知る上でもとてもおすすめな作品です。そして他の作品に比べて読みやすいというのもありがたいです。
ぜひおすすめしたい一冊です。
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『偶像の黄昏』
この本が書かれた1888年はニーチェが発狂する直前の時期で、この年が実質哲学者ニーチェ最期の年になります。そんなニーチェの最晩年の著作の一つがこの『偶像の黄昏』となります。
『偶像の黄昏』は価値転換の書というべき、私たちの価値観を揺さぶる強烈な言葉が続きます。
そしてここで語られる内容はこの直後に発表される『反キリスト者(アンチクリスト)』という作品に直結していきます。
キリスト教というこれまでの歴史を形作ってきた道徳体系に鉄槌をくださんとするニーチェの試みがこの作品でなされます。
また、この作品が書かれる直前の1887年にニーチェはドストエフスキー作品に出会い、衝撃を受けています。この作品においてニーチェはドストエフスキーについて次のように述べています。
ドストエフスキーこそ、私が何ものかを学びえた唯一の心理学者である。すなわち、彼は、スタンダールを発見したときにすらはるかにまさって、私の生涯の最も美しい幸運に属する。浅薄なドイツ人を軽蔑する権利を十倍ももっていたこの深い人間は、彼が長いことその仲間として暮らしたシべリアの囚人たち、もはや社会へ復帰する道のない真の重犯罪者たちを、彼自身が予期していたのとはきわめて異なって感じとった―ほぼ、ロシアの土地に総じて生える最もすぐれた、最も堅い、最も価値ある木材から刻まれたもののごとく感じとった。
ちくま学芸文庫、原祐訳『ニーチェ全集14 偶像の黄昏 反キリスト者』p138
ニーチェは1887年に偶然ドストエフスキー作品に出会い、彼の思想に共鳴し絶賛したのでありました。
ドストエフスキ―晩年の大作『未成年』や『カラマーゾフの兄弟』は読んでいなかったそうですが、『死の家の記録』や『虐げられた人びと』、『地下室の手記』、『悪霊』などを読み大きな感銘を受けたとされています。
『偶像の黄昏』では上のように述べていますが、彼の書簡やノートにはドストエフスキーに対する言及が数多くあります。ニーチェ最晩年の思想とドストエフスキーのつながりは非常に興味深いものがあります。
また、この記事ではフランクルの『夜と霧』とのつながりについてもお話ししていきます。ぜひリンク先もご参照ください。
この本はニーチェ最晩年の思想が凝縮されています。ニーチェ自身がこの本を入門として読むことを薦めるほどの作品です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
ニーチェ『偶像の黄昏』あらすじ解説~ドストエフスキー、フランクル『夜と霧』とのつながり
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『反キリスト者(アンチクリスト)』
ニーチェ研究者の西尾幹二はこの作品を晩年の傑作とし、ニーチェの対キリスト教思想における最重要の作品と見なしています。
ニーチェはこの作品でキリスト教教団がいかにして成立し現在まで続くかを心理的、歴史的に考察していきます。その切れ味は凄まじいほどで、これをぶつけられたら教団側も何と答えるのだろうかとこっちが固唾を飲んでしまうほどです。
そしてドストエフスキーという観点からニーチェを読んでいる私にとってはどうしてもこの『アンチクリスト』の主題が『カラマーゾフの兄弟』の大審問官の章と重なって見えてきます。
ドストエフスキーもカトリック教団の歴史と疑問点をイワンの口を通して極限まで突き詰めていきます。ニーチェもドストエフスキーも極限まで探究せざるをえない狂気の思索家でした。こうした2人の特徴が『アンチクリスト』を通して見えてくるように思いました。
また、ニーチェはこの作品を書くにあたり、ドストエフスキーの『悪霊』を参考にしていたことが彼の遺稿から明らかになっています。グロイター版を底本にした白水社版『ニーチェ全集第十巻(第Ⅱ期)』のその箇所を見てみると、『悪霊』のかなりの部分が抜き書きされていることがわかります。西尾幹二もこうしたドストエフスキーとのつながりを指摘しています。
そして個人的にこの作品で興味深かったのが、仏教とのつながりです。この作品ではキリスト教に対して容赦ない攻撃を浴びせかけますが、仏教に対してはかなり好意的です。これは僧侶である私にとっても非常に興味深いものでした。
『アンチクリスト』は西尾幹二が述べるように、私もニーチェ作品の中でも特に優れた作品であるように思えます。何より、読みやすい!そしてその思想の強烈たるや!この本はニーチェ作品の中で私の一番のお気に入りの作品です。ドストエフスキーが好きな方には特におすすめしたい1冊です。
ニーチェ『反キリスト者(アンチクリスト)』あらすじ解説ードストエフスキー「大審問官の章」や仏教とのつながりについて
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『この人を見よ』
この本の巻末解説によると、この作品はニーチェの誕生日10月15日に書き始められ11月4日には脱稿するという驚異的スピードで書かれた作品です。1889年1月初頭にはニーチェは発狂してしまうのでまさにこの作品は発狂直前のニーチェ最後の姿を知ることができる1冊となっています。
この作品はニーチェの自伝的な作品となっており、彼の思想の形成過程やこれまでの作品に込めた思いなどを知ることができます。
実際に本文を読んでいると正気と狂気のはざまを揺れ動くような言葉が続いていきます。読んでいて恐怖を感じるほど鬼気迫る言葉でニーチェは語り続けます。ほとんど狂気と言ってもいいような精神状態で書かれた言葉というのは、やはり凄まじい強さがあります。ドストエフスキーにもそれを感じますが、やはり天才と言われる人間の精神の在り様は通常のそれとはまるで違うということを考えさせられました。
ニーチェ最晩年の狂気すれすれの圧倒的パワーを感じられる作品です。かなり面食らう箇所もありますが、だからこそそのインパクトも絶大です。ぜひおすすめしたい作品です。普通の本を読むのとはまた異なる「黒魔術的な」読書とも言うことができるかもしれません。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
ニーチェの自伝的作品『この人を見よ』~発狂直前に書かれたニーチェ最後の作品
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『ニーチェ書簡集Ⅰ・Ⅱ』
この本は『ツァラトゥストラ』や『アンチクリスト』などの哲学書で有名なニーチェの意外な素顔を知れる1冊です。個人的にはニーチェ作品の中で最も興味深く読んだ作品です。
ニーチェといえばとにかく難解で何を言っているかわからない文章がひたすら続き、しかも厳しく、攻撃的な思想を述べるイメージがあるかもしれません。
ですがこの書簡集を読めばそんなニーチェのイメージががらっと変わります。
ここではその書簡を紹介することができませんが、ニーチェの精神の遍歴がこの書簡から見えてくるようで非常に興味深かったです。リンク先の記事でより詳しく書簡についてお話ししていますのでぜひご覧ください。少し見ただけでびっくりすると思います。ニーチェの意外な姿を知ることができます。
ニーチェの素顔を知る上でこの書簡集は非常におすすめです。ニーチェに対するイメージがきっと変わると思います。ぜひ読んで頂きたい本です。正直、哲学作品そのものよりもおすすめしたいくらいです(笑)それくらい面白いです。
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番外編・『権力への意志』
ここでご紹介するのはニーチェの死の翌年の1901年に彼の妹エリーザベトによって編纂され発表された『権力への意志』という作品です。
ニーチェの妹エリーザベトに関しては以前当ブログでも紹介しました。
ニーチェ自身も規格外の存在でしたがその妹もとてつもない人物でした。彼女は過激な反ユダヤ主義者の夫とともに南米パラグアイの奥地に純粋アーリア人の村を作り、そこの支配者として君臨し、村人たちを騙し続けていました。しかもニーチェ発狂後は彼の著作や手紙を改竄し、自分の都合のいいように「偉大な哲学者ニーチェ」を作り上げ、最後にはナチスに加担することになります。
では、そんなエリーザベトが『権力への意志』を編纂した過程を見ていきましょう
エリーザベトは、兄との関係のイメージを輝かしいものにするのに役立つとみれば、徹底して文書を偽造した。二ーチェがだれかほかの人に宛てた手紙でも、稀にみるような称賛の言葉を見つけると、手紙の冒頭の受取人の名前を自分の名前と差し替え、自分宛ての手紙だったように装ったことも一度ならずあった。
また、自分が受け取ったという手紙の《複製》を作り、もとの手紙はパラグアイにいるあいだに文箱のなかから盗まれてしまった、と言い張ったこともある。望み通りの印象をあたえてくれない手紙がどれほど破り捨てられたか、今となっては知る由もない。
フリッツ・ケーゲルが彼女のところを辞めるときには、ニーチェが自分について考えていたことを記した手紙のコピーを持ち出すことを恐れて、ケーゲルの相続人にたいして出版を差し止める法的措置をとった。
しかし、間違いなくエリーザべトの最大の過ちは『権力への意志』の出版だった。これはニーチェの最高傑作で、最後の昏倒の前に書かれた大いなる《すべての価値の価値転換》だとされているものだ。たしかにニーチェはそのような著作の構想をもっていたが、おそらく断念していた。出版する用意はなく、したがって出版を望んではいなかったのだ。それが完成しているのを見たら、きっと驚いただろう。単純な事実は、ニーチェは『権力への意志』という題名の本は書かなかったということだ。書いたのはエリーザべトである。
エリーザべトがぺーター・ガストの助力をえて一九〇一年に『権力への意志・習作と断片』という題で出版した本は、じつのところ、二ーチェ自身が破棄したり別のところで用いたりした哲学的がらくたを寄せ集めたものにほかならなかった。
後年には断片がさらに追加されて大部の本になり、予言者もしくは《価値制定者》としての二ーチェの名声を確立するために、表題もいっそうどぎつい『権力への意志―すべての価値の価値転換』に改められた。
エリーザべトは、本来ならば関連のない走り書きや手記や箴言を寄せ集め、そこにあるはずのない秩序をもたせて、これがニーチェの代表作だと言い張り、この本にまったく偽りの重要性をもたせた。
たとえば、『権力への意志』の第四部は「陶冶と訓育」と呼ばれているが、これは誤解を招く。たしかにニーチェは、数多い草稿の一つでこの題名を使いはしたが、それは放棄されたのだ。実際のところ、彼はここで陶冶についてほんのわずかしか述べておらず、しかもそのことごとくが、控え目にいっても曖昧であり、(フェルスターやエリーザべトや、のちのナチスが考えたような)生物学的陶冶についてはほとんど何も言っていない。
白水社、ベン・マッキンタイア―著、藤川芳郎訳『エリーザベト・ニーチェ ニーチェをナチに売り渡した女』P237-238
※一部改行しました
『権力への意志』という作品を「ニーチェの作品」として捉えていいものなのかということについては非常に大きな問題です。
ですが、この作品がどういう経緯で作られたのか、そしてそれが意味するのはどういうことなのかということを知った上でこれを読むことは文学や哲学、歴史を学ぶ上で大きな勉強になったと思います。この本の制作で起きたようなことはおそらくあらゆるジャンルで起こりうるものでしょう。そうしたことについても思いを馳せる読書になりました。
そうした意味でこの本を読めたことは大きかったなと思います。
ニーチェの主著?『権力への意志』妹によって捏造された幻の遺稿集
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ニーチェをもっと知るためのおすすめ解説記事
ここから先はニーチェを知る上で役に立つ記事をご紹介していきます。
多くの参考書の中からこれはと思ったものを引用し解説していきます。
これらを読めば意外な発見が必ずあると思います。私自身、ニーチェを学びながら驚きっぱなしでした。
ニーチェとドストエフスキーの比較~それぞれの思想の特徴とはー今後のニーチェ記事について一言
この記事ではなぜ私がニーチェを学ぶのか、そしてニーチェとドストエフスキーの特徴を比べてみることでどのようなことが浮き上がってくるかを解説していきます。
やはり比べてみるからこそ見えてくるものがあります。ニーチェとドストエフスキーを比較してみることでよりお互いの特徴を理解し深めていくことができるように思います。
ぜひ読んで頂きたい記事です。
ニーチェとドストエフスキーの比較~それぞれの思想の特徴とはー今後のニーチェ記事について一言
ニーチェとワーグナーとの出会い~巨匠ワーグナーの巨大な影響
ワーグナーといえばこの曲が有名です。誰しもが聴いたことのある曲だと思います。
ニーチェは若い頃から音楽を愛好していましたが、ワーグナーとの決定的な出会いは1868年、ニーチェ24歳の年に訪れます。彼はワーグナーの代表曲「トリスタンとイゾルデ」と「マイスタージンガー」が演奏されるコンサートに足を運びました。
この後ニーチェは頻繁にワーグナー邸を訪れ、二人は非常に緊密な関係を結ぶのでした。そしていよいよニーチェは哲学者として世界に一歩踏み出します。
ニーチェの思想は絶対的なものを求める戦いです。こうした絶対的なものを求めるニーチェの傾向とワーグナーの音楽ががっちりとはまったのでありました。
この記事ではそんな二人の結びつきについてお話ししていきます。
なぜニーチェは難しいのか、人によって解釈が異なるのかードストエフスキーとの共通点
この記事のタイトルにもありますようにニーチェといえばとにかく難しいというイメージがありますよね。
実際、『ツァラトゥストラ』などを読んでみると、短い文章が単発で繋げられていくアフォリズムという独特な形式やその語っている内容の難解さに面食らうと思います。私も毎度毎度読むたび面を食らっています。
そしてニーチェの難しい所は参考書を読んでもその著者によって様々な解釈があり、何が本当に正しいのかもわからないという点です。解釈の多様さもニーチェの特徴と言えるかもしれません。
この記事ではなぜニーチェはこんなに難しいのか、そして多様な解釈が存在するのかということを考えていきます。
ニーチェとは何者なのか、そして私たちはどうニーチェを読んでいけばいいのかもお話ししていきます。
特にニーチェ入門者の方、またニーチェの難解さに苦しんでいる方にこそ読んで頂きたい記事となっています。ぜひご覧ください。
なぜニーチェは難しいのか、人によって解釈が異なるのかードストエフスキーとの共通点
ニーチェは発狂したから有名になったのか~妹による改竄とニーチェの偶像化
ニーチェは偉大な思想家です。ニーチェが遺した作品は今もなお輝きを放ち続け、多くの人に読み継がれています。
しかし偉大な哲学者、作家にありがちなことですが生前は世間から理解されず不遇の生涯を送ることになりました。
そして彼はほとんど世間に知られることなく、1889年に発狂してしまいます。彼が45歳になる年でした。
ただ、皮肉なことにニーチェは発狂後に一気に有名になっていきます。発狂するまで思索した哲学者ということで世間の注目を引いたのです。ニーチェはその後重度の精神疾患から回復することもなく、1900年に亡くなっています。つまり彼は自分の著作が売れていることも知らずに命を終えていったのでした。
この記事では発狂後、彼の妹エリーザベトによってニーチェが偶像化され、神格化されていく過程を見ていきます。エリーザベトはニーチェを偶像化するためには捏造や改竄も厭いませんでした。その凄まじい偶像化の過程には驚きを通り越して唖然とするしかありません。
この記事もニーチェとは何者だったかを知る上で非常に興味深い事実が満載ですのでぜひおすすめしたいです。
ニーチェは発狂したから有名になったのか~妹による改竄とニーチェの偶像化
ニーチェ発狂の現場と『罪と罰』ラスコーリニコフの夢との驚くべき酷似
1889年1月、ニーチェ45歳の年、彼は発狂します。彼が発狂したというエピソードは有名ですがその詳細に関しては私もほとんど知りませんでした。
しかし、参考書を読み私は衝撃を受けました。その発狂の瞬間がドストエフスキーの代表作『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフが見た夢とそっくりだったのです。
ニーチェは発狂する二年前にドストエフスキー作品と初めて出会いました。ドストエフスキ―晩年の大作『未成年』や『カラマーゾフの兄弟』は読んでいなかったそうですが、『死の家の記録』や『虐げられた人びと』、『地下室の手記』、『悪霊』などを読み大きな感銘を受けたとされています。
この記事ではそうしたニーチェの発狂とラスコーリニコフの夢について考えていきます。
「ニーチェは自分の部屋を出て、カルロ・アルべルト広場に行くが、そこで辻馬車の御者が馬を殴っているのを見る。ニーチェは泣きながら馬を守ろうとして馬の首にしがみつく。同情に打ち負かされて、彼の精神は崩れ落ちる。」という発狂の仕方が、ラスコーリニコフが見た馬の夢に似ているという指摘 https://t.co/bMtPPtZ8Ry
— Naohito Saisu (@naohito_saisu) July 30, 2021
この記事に関してTwitterでドストエフスキー研究者の齋須直人さんにも言及を頂きました。記事の内容をまとめて下さりとても助かりました。
ニーチェの発狂とラスコーリニコフの夢の類似はかなり衝撃的な事実です。この記事ではその類似を実際に見ていきます。ぜひご覧になってください。かなり驚くと思います。
ニーチェ発狂の現場と『罪と罰』ラスコーリニコフの夢との驚くべき酷似
ニーチェ書簡におけるドストエフスキーへの言及について
『ニーチェ書簡集』ではドストエフスキーについて書かれた箇所がいくつも出てきます。
この記事ではそんなドストエフスキーに対するニーチェの言及が書かれている箇所を紹介していきます。
ニーチェとドストエフスキーの関係について学ぼうとしていた私にとって非常に興味深い情報となりました。ドストエフスキーファンの方にぜひ見て頂きたい記事となっています。
教養とは何か~読書や知識量で得られるものなのだろうか
この記事では『西尾幹二全集第五巻 光と断崖ー最晩年のニーチェ』を参考に「読書と教養」について考えていきます。
この本の中で私の目を引く興味深い指摘がありました。それがこちらです。
一体教養を積むとは本を読むことと同じであろうか、そう改めて問い直してみることも必要であろう。遠い外国の文化や遥かな過去の時代に 学ぶと称して、自らは座った儘で、単に書物を介して、見知らぬ世界に自分の精神の鍵を預けっ放しにして来た近代日本の教養のあり方ーいわば読書に安心して依存して来たその怠惰が、近年、愛想を尽かされ、報復を受けているという一面はないであろうか。
国書刊行会、西尾幹二、『西尾幹二全集第五巻 光と断崖ー最晩年のニーチェ』P9
これを読んだ時私はドキッとしました。
私は今、本に没頭した日々を過ごしています。教養を積むという目的のために読書をしているわけではありませんが、何とも胸が痛いといいますか、心に刺さる指摘です。
本を読んで知識さえ増えれば教養は得られるのか、いや、そもそも教養とは何なのかという問題をこの記事では考えていきます。
西尾幹二氏の的確な指摘が非常に爽快です。私もこの本を読んで「う~む!なるほど!」と思わず呻いてしまいました。教養とは何かということを考えるありがたい機会となりました。とてもおすすめな記事です!
おわりに
正直、私は当ブログでニーチェを紹介することをずっとためらっていました。
というのも、ニーチェは読む者に良くも悪くも強烈な影響を与える存在だからです。
ニーチェの言葉には悪魔的な強さがあります。その感染力たるや凄まじいものがあります。
そして私が懸念していたのはニーチェを読むことで「攻撃的になり、他者を見下す傾向が生まれやすくなる」という点です。
学生時代から私はニーチェを読んできました。特に『ツァラトゥストラ』は何度も読みました。この本はかなり過激で攻撃的な言葉が多いです。正直、読むたびに「自分が他人よりもよく世界を知っている」という気にさせられ、そこから周りを見下してしまいそうな気分になってしまうのです(それは私が若かったからということや、私の読み方が未熟だったせいでしょう。)
ニーチェは今もなお様々なところで引用されたり、「わかりやすい解説本」が出回っています。
ですが、私にはそれが怖いのです。
ニーチェは一歩間違えば他者を攻撃する根拠として使われてしまうのではないかと。
そしてそれは実際に歴史上何度も繰り返されてきたのでありました。あのナチスもニーチェ思想をプロパガンダとして利用していたのです。
こうした理由からドストエフスキーと関係が深いながらも、ニーチェをブログで紹介することを私はためらっていたのでした。私のブログのポリシーとして、他者を攻撃することに繋がる内容は書きたくないという思いがあったのです。
しかし、最近ニーチェ関連の参考書を読んだり、ニーチェ作品を改めて読み返してみると、これまでとは違ったニーチェが私の前に現れてきました。ニーチェを学ぶことはドストエフスキーの理解をさらに深め、さらに言えば浄土真宗の開祖親鸞聖人を学ぶ上でも非常に有益な視点を与えてくれることに気づいたのです。
ニーチェのおかげでまた新たな視点でドストエフスキーや親鸞聖人を見ることができるようになったと思います。そして、ニーチェその人に対する思いがかつてと変わったことが何より自分の中で大きかったです。
これまで紹介してきた記事に関してですが、私はニーチェの専門家ではありませんので、基本的にニーチェの言葉や思想についての解説は致しません。
気になった箇所や、参考書の興味深い解説を皆さんに紹介し、それについて私の感想を述べるにとどめます。学術的な思索や難しい哲学問題はこのブログでは立ち入りません。ただでさえニーチェは危険な存在です。私が軽はずみに彼の言葉を解釈したり、意味を付け加えたりするようなことはしないという立場で記事を書きました。ですので、入門者の方でも気軽に読める記事となっています。もちろん、ニーチェと親しい方にも新たな発見があると思います。
ぜひ気になった記事があれば覗いて頂けたらなと思います。
以上、「ニーチェおすすめ作品7選と解説記事一覧」でした。
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